京都市の施策

1 京都市の状況

ここ数年微減傾向にあるものの依然として高い水準にあり,一人一人の児童生徒の自己存在感や自己有用感を徹底的に大切にした集団づくりを一層,推進するとともに,不登校傾向にある児童生徒の小中における情報連携を密に図るなど,不登校の未然防止の観点からの取組の強化を行っています。  

       ※ ここでの「不登校」とは,基本的生活習慣の未定着,学力の不振,交友関係の不調,その他(心理 的な情緒不安定・混乱等)による理由で,継続もしくは断続して年間30日以上欠席している状態を指しています(ただし,病気や経済的理由によるものを除く) 


2 不登校への主な取組
   ※ 京都市立学校在籍の児童生徒を対象としています(こどもパトナカウンセリング
センター,フリースクール等民間団体との連携事業の一部を除く)

(1)  教育相談総合センターにおける取組
   こどもパトナカウンセリングセンター  
     ※ 京都市在住又は京都市立学校に通う小学生から高校生までの児童生徒及び保護者を対象としています
      子どもの不登校やいじめ,友人関係,性格,行動,学習,学校生活,その他心のケアを要すると思われることなど,子どもの教育上の様々な課題や子育ての不安について,教育・心理専門のカウンセラーが来所相談を行っています。
  ふれあいの杜    
      学校生活や家庭生活などで不安や緊張感が高く登校したくてもできなかったり,人間関係が原因で不登校が長期化した子どもたちの学びや活動の場です。
  今,在籍している学校とは「長い廊下でつながった別室」であり,小集団での体験活動や,学習活動等を通じて,学校復帰や社会への適応を支援します。
  ふれあいの杜は,市内5箇所に開設しており,各学習室の活動内容に特色を持たせることで,多様な子どもたちの状況に合わせることができます。
(2) 洛風・洛友中学校
  洛風中学校 
      「不登校を経験した子どもたち」のための中学校です。平成16年10月に構造改革特区制度を活用し,こどもパトナの敷地内に開校しました。洛風中学校では,子どもたちが通いやすい環境のなかで,生き生きと学ぶことができるよう,様々な工夫を凝らしています。
  洛友中学校 
      平成19年4月,郁文中学校跡に開校しました。不登校を経験した「昼間部」の生徒と,様々な事情により義務教育を修了できなかった方への教育保障を行う「夜間部(二部学級)」の生徒が,世代や国籍を超えて,ふれあい,学びあうことにより,学校の楽しさや学ぶことの喜びを実感できることを目指しています。,
(3)  スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの活用 
    不登校やいじめをはじめとする児童・生徒の問題行動等に対応し,子どもたちのこころの居場所づくりを推進するため,心理相談に関して高度に専門的な知識・経験を有するものをスクールカウンセラーとして京都市立学校259校(小学校:166校,中学校:73校,高校:12校 ※平成28年度)に配置しています。また,いじめ,不登校,暴力行為,児童虐待など生徒指導上の課題に対応するため,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉等の専門的な知識や技術を用いて,児童生徒の置かれた様々な環境に働きかけて支援を行うスクールソーシャルワーカーを京都市立小学校28校,高校1校(※平成28年度)に配置しています。
(4)  ICTを活用した学習支援事業「はーとあくせす」
   インターネット上のオンライン学習ソフトを活用することにより,ひきこもり傾向にある不登校生徒の学習機会を確保し,学習に対する意欲の継続・向上を図るとともに,学校とのつながりを深めることで不登校状況の改善を目指しています。
(5)  フリースクール等民間団体との連携事業
   不登校の取り組みで実績のある市内フリースクールと連携し,体験活動や家庭訪問,保護者向け学習会等を実施し,不登校児童生徒の心の居場所作りを進めています。
(6)  中1ギャップの解消と小中連携
    小中学校が連携して不登校児童生徒一人一人の様態に応じた支援・指導計画を作成し,中学校入学後に不登校が急激に増加する問題(中1ギャップ)等,不登校に関わる様々な問題の解消を目指しています。
(7)  学生ボランティアの活用
    「別室登校」の状況にある児童生徒が悩み等を気軽に話せる環境づくりを行い,ストレスを和らげるとともに,学習効果も上げながら教室に復帰することを目指して,児童生徒の相談相手,学習の補助者として活動を進める「学びのパートナー」や洛風中学校,洛友中学校に通う生徒の話し相手・相談相手,学習の補助者として活動する「洛風パル」,ふれあいの杜に通級する児童生徒の心理面,学習面等のサポート,生活の意欲や対人スキルの向上等に向けて活動する「ふれあいアシスタント」等,児童生徒の健全育成に向け,学生ボランティアの活用を行っています。

(8)  クラスマネジメントシートの活用
    学級担任等がクラスや子どもの状況を適切に把握し,学級経営をより効果的に進めるための本誌独自
ツール「クラスマネジメントシート」の活用を市立小・中学校において進めています。