学校長からのお便り

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人権月間に寄せて 「思い遣り」そして「労わり」

「人も物も大切にする子ども」
これは,音羽小学校の目指す子ども像の一つです。言葉で書くとわずか12文字です。しかし,この言葉の意味することは実に奥深く幅広いものだとみなさんは気づいておられることでしょう。
 毎日のニュースを見聞きしていても,痛ましい事件,人を人とも思わないニュースが連続しています。残念なことに次から次へと同様の報道が続くので「またか」という思い受け流してしまうこともあります。子どもたちへの影響も非常に大きいことでしょう。

 翻って自分自身のことに当てはめ,私たち一人ひとりが「人も物も大切にする『大人・人間』であるのか」と振り返ってみると,反省しなければならないことが少なからず出てくるかもしれません。

 人は周りの対象物(人や物)との関係性で,自分の感情や意思,行動などをコントロールします。例えば欲しいものを手に入れたときと様々な事情で手に入れられないときとでは,嬉しい,悲しいなどと感情に変化が生じます。時に感情は,物よりも人(相手)との関係性で大きく変化します。喜怒哀楽は人間らしい感情ですが,人(相手)との関係で増幅するものです。

 さて子どもたちからの相談事の多くが,友達との揉め事です。じっくり整理して話し合えば解決することがほとんどなのに,その対処がうまくできていません。自分の印象や感情を前面にだして,「うっとしい」「かなん」「チョーむかつく」などという言葉に置き換えて表現しています。感情は言葉に置き換えて表現するのですが,そのほとんどがこのような言葉でくくられてしまっています。他の言葉でもっと自分の感情を表現できないか,相手に自分の思いが具体的に伝わるように表現できたらいいのにと思います。「言葉の貧困」と言われていますが,ここにもそれが表れているようです。

 「思いやり」という言葉があります。素晴らしい日本語です。思いを相手に遣(や)る。(相手に自分の思いを遣ツカわす。送るという意味)そんな思いで人と接することができれば素敵です。
「労(いた)わる」とは相手を気遣いやさしい対応を心がけること,慰めの言葉をかけることを表した言葉です。この二つの言葉を大切な言葉,そして語彙として持ち,相手と接したり関係性を築いていったりしたいものです。

 今月,12月は人権月間です。一人ひとりが人間として大切にされているか,悲しい思い,辛い思いをしていないか。市民的権利が守られているか,じっくりと見つめなおしてみなければなりません。そんなとき自分たちが使っている言葉から考え,見つめなおしてはいかがでしょうか。

 音羽小学校では12月の第一週を人権週間と位置づけ,人権集会を開いたり,学級で人権について考えあったりします。人権集会では,校長からの話と共に,児童会が中心となり各学級で知恵を絞った人権標語の発表会をします。また,日を改めて人権に関わる作文の発表会も行います。
 それぞれのご家庭でも,家族それぞれの思いや考えを伝え合う団らんの時間をとってみてください。コタツに入りながら,あるいは暖房器具のそばに集まりながら,ゆったりとした家族の時間を過ごしてください。



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