学校長からのお便り 5月号

けんかして ぬれたひとみに 石蕗の花(つわのはな)

人権月間に寄せて

 6月14日のことでした。本校に河口良治さんを招いて,お話を聞きました。河口さんは障害者です。車椅子生活をされています。体が不自由で,話し言葉も聞き取りにくいところがあります。生きる情熱は私たちのお手本でした。河口さんのお話を聞いて,子どもたちはこんな感想を書いていました

「私は,お話を聞いて最後に,『生きる』という字を書かはったことが,一番心に残った。いのちが,本当に大事だとよくわかった。障害を乗り越えてすごいところがあるとよくわかった。」「一生けんめいにしゃべってくれはった。電動車いすに乗りながら,一生けんめい生きることの大切さを教えてくれはった。」と。この他にもたくさん,感動的な感想を書いていました。

 数日前に,パラリンピックのビデオを見ました。障害者スポーツの祭典です。水泳・バスケットボール・マラソン・テニスなど,障害を感じさせないすばらしい競技の様子を視聴しました。大会会場の様子も同時に映し出されていました。そこには,日本ではほとんど見かけることのない光景がありました。義足・義手が,また欠損部位が衣類等で覆われることのない姿が。装置をつけていること,障害のあることが一目で分かります。そこで,はたと考え込んでしまいました。もし,身近でそのような姿の人を見かけたら,私たちはどう反応したり,行動したりするのかと。

 きっと,映し出された場は,障害があるということや義足・義手をつけているということより,一人の人間として受け止められている,受け止める場だったからでしょう。パラリンピック会場だけでなく,欧米にはそのような国がたくさんあるといいます。私たちの住む日本ではどうか,考えなければなりません。

 さて,今月12月は人権月間です。一人ひとりが人間として大切にされているか,悲しい思い,辛い思いをしていないか。市民的権利が守られているか,じっくりと見つめなおしてみなければなりません。それだけでなく,私たち自身が人権ということに対して,どのような見方や考え方をしているのか,問い直してみる必要もあるでしょう。

 12月の児童朝会は人権についての話をします。「からすたろう」(やしまたろう・偕成社)という本を子どもたちに紹介しながら,話をしようと考えています。

 


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