(しも)(ばれ)や 大きく見える ランドセル



「星はすばる。 ひこぼし。 ゆうづつ。よばひ星,すこしおかし。尾だになからましかば,まいて」清少納言の枕草子の一説です。 星の中でも美しいのは「すばる」「ひこぼし」「金星」「流れ星」と清少納言が言ったように,冬の夜空には,一際くっきりとスバル(プレアデス星団)を見ることができます。

 星が明るく美しい夜は気温もぐっと下がり冷え込みます。こんな夜には空気中の水分が凍り,霜となって地上に降ってきます。そんな夜を霜夜(そうや)とも言いますが,夜が明けると一面の霜,霜,畳霜。真っ白な一面の霜の上には,真っ青な空が広がるものです。そのときの天候が霜晴。空気が凛々と冷え込み,膚にちくちくとささるように寒さを感じます。

 こんな朝,今では霜柱をミシミシと言わせながら登校する姿はなくなりましたが,子どもたちが学校へと足を急がせます。寒さで肩をすぼませながら歩く姿は愛らしくもあります。肩をすぼめると体は小さくなりますが,ランドセルの大きさはそのまま。かえって,ランドセルの方が大きくなったようにも感じます。そんなひとコマから

   霜(しも)晴(ばれ)や 大きく見える ランドセル



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