郷土資料室

ピアノ式紋彫機が学校に寄贈される。

平成14年6月27日・郷土資料室

 京都の伝統産業である西陣織ができるまでには数多くの工程があります。
 糸にかかわる仕事,図案にかかわる仕事,織機などの機械にかかわる仕事など
実に多くのそれぞれの専門家の手によって1枚の織物は出来上がります。
 本校の郷土資料室には,そうした資料が数多く保管されています。今では,仕事
の機械化によって使用されなくなった道具も多くあります。
 このたび,地元より寄贈いただいたこの「ピアノ式紋彫機」も現在では使用されな
くなった機械のひとつです。
 この機械は,西陣織の複雑な文様を織っていくもとになる紋紙を彫る機械なので
す。この機械で彫られた紋紙は,下の写真のように1枚1枚が糸で結ばれ織機の
上に取り付けられた「ジャガード」を通ることによって,縦糸の上がり下がりがコント
ロールされ,その間をさまざまな色彩の横糸が織り込まれていき,美しい西陣織が
できます。
 15年程前から,織機にコンピュータが導入され,紋紙からフロッピー・ディスクに
変わってきました。
 室町学区で織物業を営む,中村 陽さんから寄贈していただきました。
写真(右)のように,紋紙となる黄ボールが差し入れられ,パンチの中を通ります。
 正面の台の上に織物の元になる図案をおき,黄ボール紙に穴をあけていきます。
 これは紋彫機を操作しているところです。ピアノ式と呼ばれるように,手元の操作が
ピアノのキーのようになっており,穴をあけたい場所のキーを押してパンチしていきま
す。機械の裏側からみると,指先でキーを押さえているようすがわかります。
 台の上にのっている紋紙は,この日,試運転であけてみたものです。
 このようにして,1枚の織物につき,何百枚もこのような細長い紋紙が作られて
いきます。そして,それらの紋紙は次の工程で糸によって順序とおりに結ばれ,
織機のジャガードの取り付けられます。
 西陣金襴青年会の皆さんの協力で,この機械を搬入し,また調整をしていただき
ました。