【京都市青少年科学センター】
人工衛星を探せ!
日没後,星空を観察しているとその中に人工衛星を見つけることができます。
肉眼で観察できるくらいに輝く人工衛星は数百機あると言われ,そのなかには国際宇宙ステーションや 宇宙観測衛星,通信衛星,軍事利用衛星などがあります。ポイントをつかめば誰でも見つけることがで きますので挑戦してください。観測できた人工衛星の種類や名前を調べるのは容易ではありませんが,軌道高度を調べるくらいなら簡単にできます。

写真1.
マイナス等級の輝きで,はくちょう座付近を通過する人工衛星 30秒間の撮影。 ベガ(写真上部),デネブ(同中央左)より明るい。

写真2.
かんむり座を貫く人工衛星の軌跡 約6秒周期で増減光を繰り返す。30秒間の撮影。
1. 日の入り後,もしくは日の出前の2時間以内を目安に空を見上げましょう。
人工衛星は太陽の光を反射して輝きます。 しかし,肉眼で見える多くの人工衛星は地球の すぐ近くに軌道を持つため,真夜中には地球の陰に入ってしまって見えません。 ですから,日没後か日の出前の空が暗いときだけにしか見ることができません。
2. 星々の間をゆっくりと進む白い光点を探しましょう。
夜空にちりばめられた星々をじっと見ていると,すぅと動く星が見つかるはずです。 それが人工衛星です。 全天を約3~5分かけて移動するくらいのゆっくりしたスピードです。 写真1のように1等星と同じくらいに明るく輝く場合もありますが,たいていは暗いため, 注意深く探してください。
3. 飛行機と人工衛星を見分けよう。
赤や青の色が付いていたり,チカチカと早い周期で点滅しているのは飛行機のライトです。 人工衛星であれば点滅はしません。 ただし,写真2のように長い周期で光が強くなったり 弱くなったりすることがあります。 よく反射する面とそうでない面をもつ人工衛星が自転 しているために起こる現象です。
4. 人工衛星の高度を計算してみましょう。
人工衛星の移動する速さは様々ですが,実は高度の高いものほど動きが遅く見えています。 この関係を利用すれば,次のように軌道高度を概算できます。 まず,天頂付近で人工衛星 を探しましょう。 この衛星が10°移動する時間を測ります。 手を一杯伸ばしたときの握りこぶしの大きさが約10°です。「星空観察に役立つグー」を参考にしてください。この時間 (秒)に43を掛けた値がおよその高度(km)となります。この関係は質量や大きさには無 関係なので人工衛星の素性がわからなくても使えます。
写真2の人工衛星は天頂付近で10°移動するのに約15秒かかりました。よって高度約650kmと推測されます。
このような方法で見つけられるものは高度200kmから1000kmくらいです。 中には気象衛星や放送衛星など高度が約36000kmにも及ぶものもあります。高度が高くなればなるほど,見かけの移動速度は遅くなっていきます。太陽の周りを回る惑星も同じで,太陽に近い水星や金星は数日のうちに星座を移動していきます。逆に, ずっと遠くにある土星は見かけの位置をほとんど変えないのと同じです。
星空観察会に彩を添える人工衛星,探してみませんか。