【京都市青少年科学センター】
大文字山の地学
東山一帯は,深海の底で,泥・砂・生物の遺骸などが堆積してできた丹波層群という地層からできています。この地層が,地殻変動 (中生代ジュラ紀:今から約1億5千万年前)によって陸地になり,その後中生代白亜紀(約9千5百万年前)に,地下にマグマが上昇してきました。このマグマは,地下でゆっくり冷えて固まり,花こう岩という岩石をつくりました。
また,このマグマの高熱でまわりの地層は熱変成作用を受けました。そのため,丹波層群の泥岩や砂岩は,ホルンフェルスという硬い岩石に変えられてしまったのです。そして長い年月の間に,比叡山と大文字山の間の花こう岩が分布する所は浸食されて低くなり,硬いホルンフェルスでできた比叡山と大文字山は浸食されにくいために高く残り,現在の東山の山並みがつくられました。
花こう岩
地下深くでマグマが冷え固まってできた岩石。敷石や墓石などによく利用されている。
石英・長石・雲母などの鉱物からできている。
大文字山の花こう岩には,鉛筆の芯のような褐簾石(カツレンセキ)という鉱物が見つかることもある(赤丸部分)。この鉱物は弱い放射能を持ち,日本ではこの大文字山で初めて発見されたものである。
泥質ホルンフェルス
泥岩が熱変成を受けてできた岩石。ホルンフェルスとは「角のように硬い岩石」という意味。
この中に六角柱状の菫青石と呼ばれる鉱物が含まれていることがある。菫青石(キンセイセキ)は熱変成を受けたときにできたもので,中には整った結晶の形が桜の花びらのように見えることから「桜石」とよばれるものがある。
大文字山の麓にたたずむ銀閣寺には,大文字山に関係した岩石が見られます。
銀閣寺山門前の敷石は,ほとんどが近くの山でできたホルンフェルスです。
また,銀閣寺の庭に敷き詰められている砂は,「白川砂」といって花こう岩が風化してできたものです。