【京都市青少年科学センター】
重ソウで葉脈標本
重ソウの正式名称は(炭酸水素ナトリウム)で、ワラビのアク抜きやホットケーキ・カルメ焼きなどの膨らし粉として使われます。重ソウを加熱すると炭酸ナトリウムという物質に変化します。これを水に溶かしてできるやや強いアルカリ性の水溶液に葉を入れて加熱すると、葉肉がとけて葉脈だけになります。用いる葉は、ナンテンやヘデラ・ケヤキ・ミカン・カナメモチ・イチョウなどのしっかりしているが堅すぎないものを選びます。
アルカリ性の水溶液は危険ですので、注意事項を丁寧に読んで、大人の人と一緒に実験して下さい。
製作方法
- 鉄底のフライパンに100g程度の重ソウを入れ、ガスの中火で空炒りします。しばらくすると気体(二酸化炭素)が発生します。10分ほど加熱して気体発生が止まれば、火を消して冷します。これで、重ソウは化学変化して炭酸ナトリウムになりました。
- ステンレスかホーローの鍋に1リットル程度の水を入れ、炭酸ナトリウムを溶かします。かなり強いアルカリ性の水溶液ができます。危険ですので、液が目に入ったり皮膚につかないように注意して下さい。
- 葉を入れて、弱火で数十分から数時間加熱します。水が減れば、その分を追加してください。葉が内部まで濡れたようになれば、試しに1枚取り出して水洗いし、ブラシで少したたいては水をかけます。葉脈だけになれば、同じ種類の葉を水の入った容器に移します。ブラシは、堅めの絵筆が利用できます。
- 葉脈を移した水に食酢を入れ、アルカリ性を中和します。炭酸ナトリウムの水溶液には多めの食酢を入れ、液のヌルヌルがなくなってから捨てます。
- ブラシで丁寧にたたいては水洗いし、葉脈標本をつくります。弱い葉は、水中でピンセットなどを用いてクリーニングし、水に差し込んだ画用紙ですくい上げます。
- 仕上がった葉脈標本は、ビニール袋に入れたりラミネートフィルムで台紙とともに封入して保存します。
染色する場合は、中和した後、洗濯用の塩素系漂白剤に数時間浸けて漂白します。漂白剤濃度は、説明文の標準使用量を参考にしてください。よくすすぎ洗いをしてから5.の作業に移り、その後、木綿用の染料やカラーインキなどで染めます。
参考資料
- 「科学技術体験活動マニュアルVol.3」P65~67、杉原和男、1997、財団法人日本科学技術振興財団
- 左巻健男編著、「たのしくわかる化学実験辞典」P168~169、杉原和男、1996、東京書籍