平成17年度
研 究 部 の 取 組
研究主題

ひびき合う 喜びを求めて

   〜音も心もひびき合わせる音楽活動を通して〜


2 研究主題について
人格形成に果たす音楽教育の役割

 今日の子どもたちを取り巻く状況は,健康な心身を育むにはたいへん厳しいものがある。音楽教育においては,音楽の持つ力を通して,子どもたちの中に『自己表現する力』『コミュニケーションの能力』を育て,そして何よりも一人一人の子どもたちの内に『自己尊重の感情』が生まれるようにしなくてはならない。自己の表現が周りに受け入れられ,音楽を通して自己の存在が認められることが大切である。一人一人の表現はそれぞれ異なるが,その個性の違いを受け入れられるような学習の場をつくり出すことが望ましい。「人間として大切な人権の感覚」また「創造的に思考し自律的な精神生活,社会生活を営む力」を培う音楽教育は,子どもたちの生きる力を育む上で重要な役割を担っている。

ひびき合う喜びと心の豊かさ

  私たちは,人が音楽とのかかわりの中で味わうさまざまな喜びを,

表現や鑑賞の活動を通して
  『音楽そのもののひびき合う美しさを感じる喜び』


一つの音楽をつくる仲間としてあるいは演奏者と聴き手として
  『音楽を通して心のひびき合いを感じる喜び』

であると考え,ひびき合う喜びを求めて研究を進めてきた。

 子どもたちの心や感覚はすばらしく柔軟で,可能性に満ちている。音楽教育の役割は,音楽を通して,子どものもつよさや可能性,美しいものに感動する気持ちを無理なく引き出し,伸ばし,育てていくことである。子どもたちがさまざまな音楽や音楽活動に進んでかかわり,自らの感受性を深め,豊かな音楽の世界,心の世界を求めて主体的に学び,創造的に音楽を楽しむことができるよう音楽教育を展開しなければならない。

 また,このような音楽活動を友だちや先生と一緒に楽しむことに大きな意義がある。一人一人が自分のよさを発揮しつつ互いのよさを理解し,認め合いながら一つのものをつくり上げていくような自己実現の過程であってこそ,大きな満足感や充実感を得,その中で自信を持ち,自分を大切に思う気持ちもまた育っていく。言い換えれば,音も心も共にひびき合っていてこそ「楽しい音楽」が成立するということである。ここに,本研究の主題「ひびき合う喜びを求めて」の大きなねらいや願いがある。

 私たちは,音も心もひびき合うような,主体的・創造的な音楽科学習を創り上げる中で音楽に対する感性や音楽活動の基礎的な能力にとどまらず,協調性や社会性も含めた全人的な心の豊かさをも育てていきたいと考えた。

ひびき合う喜びを求めて

 このように,自己を豊かに成長させる音楽活動の創造においては,一人一人が自分の感性を豊かに働かせながら音楽とのかかわりを深めていくことと合わせ,自己の表現が周りに受け入れられ,音楽を通して自己の存在が認められることが求められる。子どもたちが「音楽美を鋭く感得する力」を深め,美しい心に感動したり,他を思いやる心や優しさなどを自ら育んだりすることが大切であると考えている。

 そこで,「子どもたちの『コミュニケーション能力』や『自己表現する力』の育成を考えた音楽活動に取り組むことにより,個々の感性を育て,より豊かな人間形成に繋げることができるであろう。」という仮説に基づき,本年度は「音も心もひびき合わせる音楽活動」を意識しながら研究を進めたいと考えた。

「音も心もひびき合わせる音楽活動」を意識したさまざまな音楽との出会いを通して,

関心や意欲をふくらませながらおもいをもって主体的・創造的に音や友達・先生とかかわり, 音楽の基礎的な能力を身に付けていこうとする子ども
自分の音にこだわりをもち,大切にしながらも,友達と協調し,みんなでつくり上げたことを喜び合える社会性豊かな子ども
豊かな音楽活動を通して,音楽の本質的な楽しさにふれ,豊かにおもいをふくらま せたり音楽を深く味わったり,友達を認め,心の通い合いを楽しんだりすることがで きるような柔軟な感性をもつ子ども
を育てたいと考える。

3 研究の重点
 ○ 自らの感性を働かせながら,主体的に学び合い,豊かに表現する音楽科学習の創造


4 求める子どもの姿

養護育成部会・・音楽の楽しさを感じ取り,人と関わりながら,自分らしく表現する子ども

低学年部会・・・音楽の楽しさにひたり,友だちと一緒に,体じゅうで表現を楽しむ子ども

中学年部会・・・音楽の美しさを感じ取り,心を通い合わせ,いきいきと表現を楽しむ子ども

高学年部会・・・音楽の美しさを味わい,心を響きあわせ,豊かに表現する子ども

5 研究の重点達成のための取組

  ◎ 子ども一人一人のおもいや願いを音楽表現として生かす取組

ア 子ども一人一人のおもいや意識の流れに沿った学習の創造
           達成感・満足感・充実感のある学習

 ○ 

主体的に音楽にかかわる子どもを育てるための指導計画の工夫
・児童の実態・興味・関心を大切にした題材設定の工夫
 他教科との関連・地域性
子どもが自らのよさを発揮するための学習指導の工夫
・児童の実態に即した学習内容・学習目標
・一人一人のおもいを生かす学習活動・学習展開の工夫
子どもの学習意欲と主体性を高める評価の工夫
・目標に準拠した適切な評価規準の設定

・児童の実態に即した学習目標の設定と子どものよさを伸ばす評価
・指導計画・指導方法・教材・学習内容などを振り返るための評価
・評価を生かした適切な指導と指導者の共感的なかかわり
学習環境の設定
人的環境
・互いに認め合い,高めあえる学級集団づくり
・子どもの心にひびく指導者の言葉かけや話し方
物的環境
・朝の会・終わりの会・音楽集会の企画
・音楽室経営
・校内掲示物の工夫

心の豊かさを育む音楽学習の工夫を取り入れながら進める取組
心を揺さぶる学習。感動のある出会い・発見。
音楽に『浸り』,音楽の『本質』にふれるために
表現・鑑賞への関心や意欲を高める取組

・仲間とのかかわりをもち,共につくり上げることのできる場の工夫
・ストーリー性・ドラマ性のある学習展開の工夫
他学年との交流学習の工夫        
・ゲストティーチャーによる働きかけの工夫 
・知的好奇心への働きかけ
・教具の工夫

音楽的な感受を深める取組

・板書・掲示物の工夫
・さまざまな『聴く』活動の工夫

聴くポイントをはっきりさせて

・音楽の要素(リズム・旋律・和音・拍の流れ・フレーズ・演奏形態など)
・歌詞内容・情景
・表現の工夫(強弱・速度・音色・奏法など

比較しながら
よさを見つけながら
・選曲の工夫(曲・演奏形態・演奏者など)
・出会いの場の工夫(CD・生演奏など)
・学習ノートの工夫
・資料提示の工夫