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「21世紀の『理科』を考える京都市民会議」
第5回 会議要録

1.開催日時: 平成15年5月15日(木)午後2時〜5時
2.場   所 : 京都市青少年科学センター 図書室
3.出席委員: 日高 敏隆 委員(座長),今福 道夫 委員(副座長),兼松信夫 委員,山田 秀司 委員,
          廣瀬 佳治 委員,山本 壯太 委員,佐藤 愛子 委員,柳原啓見 委員,宇野 里枝 委員,
          下岡 多佳子 委員,河野 文彬 委員,阿古目 良子委員,向井 宣夫 委員,蔭山 薫 専門員(順不同)
     
  教育委員会: 谷口 賢司 教育政策監

4.議事次第
    (1)開会
    (2)第4回会議の討議内容についての報告
    (3)理科教育等に対する意見交換

 


(会議概要)

座 長:
4,5回の討議を経た内容を骨子に,まとめの作業に入りたい。
委 員:
 理科好きな子供を育成するには,理科に興味を持たせる環境が必要。面白さや不思議なことを体験する場がいると思う。原理・原則を理解させるために,大学生等の指導できる人員を配置しておくことも考えられる。
委 員:
 大学生が物を知っているとは言い切れないし,知っていても説明ができるかは別で,説明すればかえって混乱する場合もある。
委 員:
 内容によっては,小中学校で教えていない内容もあり,前提を飛ばした説明では,混乱する場合がある。
委 員:
 例えば,カラーテレビの色はどうしているのか,具体的に説明できる親がどれだけいるのか。これはこうだと説明しても,理科への興味につながらない場合が多い。
委 員:
 子どもの「もっと知りたい」という要求はどこから出てくるのか。今の子どもは我々が子どもの時分に不思議だな思ったことを見ても,疑問も持たない。非日常的な現象に出会わないと学習しようということにならないのかもしれない。常には手にしたことのない鳥の羽を利用して,その構造を具体的に見せ,空を飛ぶ原理などを教えると一生懸命に見聞きする。つまり,非日常的な体験をさせる場が必要ではないか。
委 員:
 日常の生活の場で,理科好きな子どもを作ることが大事である。そのためには,学校の先生の取り組みが大事である。昨年ノーベル賞を受賞した小柴氏が,理科好きになったのは,教科としての理科が好きだったからではなく,尊敬する先生がたまたま理科の先生で,同じことをしたいということから理科に進んだという話をされていた。
 学力検査に関しても,当初予想された60%の正答率で,ある意味では素晴しいとも思うが,教え込まれた内容の暗記力テストでは,意味が違う。好きになるには,きっかけがあり,そういう場を設け,そういう人格を磨く意味で先生にがんばってもらいたい。
委 員:
 各府県,各都市でさまざまな取組をしているが,理科をテーマに取り上げている京都市の取組は稀有であり,会議のニュース「Life & Science」に「Life」があることは素晴しい。
 理科好きな子どもを作る要素として,次のことを考えている。生命の尊厳→今,子どもの世界では,ゲームに代表されるバーチャルな意識が主流で,人が死んでも,リセットすれば一からスタートする感覚で物事を考え,生命の尊厳など考えていないだけに,徹底した教育が必要。自然環境→身の回りの自然環境を観察し,考えるために,そうした環境の中で教育することが必要。母親の再教育→今の小中学校の児童生徒の母親が小学生だったころ(約30年前)は,日本では公害や環境破壊が大きく,自然への恐怖感や忌避感が強かった。そのため,大人になった今も子どもに自然との付き合いを上手に教えられない。そういう意味で,子どもと一緒に再教育する必要がある。
 視聴覚教材としての番組は,それなりの効果があるが,視覚と聴覚への刺激しかない。これで何もかもがわかるわけがない。実際に手に触れ,行動することが必要である。
委 員:
 視聴覚教育の継続と自分自身で観察,実験する機会を作ってやることが大事。家庭で,その時間が作れない子どもに,学校がそうした機会を設けてやることも大切。身近に活用している家電製品の仕組みや原理を教えることにより,「なるほど」と思わせれば,興味・関心を持つのでは。また,夏休みの課題研究に自然観察などを取り入れ,質問コーナーを常設するなど,学校との連携強化も必要。
委 員:
 人間も含めた動物にとって。基本となる大事なことは「身を守ること」「繁殖すること」「食べること」の三点である。
その中で日常的に行われている「食べること」について考えることが重要である。自然界の食物連鎖は誰もが知 っているが,人間も自然界の一員だとは思っていない。動物は全て最終的には,植物に依存している。生きるために食べているのだが,これは自然を食べていることであり,もう一度原点を見つめる教育を行うべきではないか。
委 員:
 学校の実験室の授業だけでは,子どもの興味を引く実験はやりにくい。巡回実験教室など考えてほしい。「火を
起こす」というイベントを実施したとき,父親の参加が多かった。理科好きの子どもを作っていくには,母親の役割もあると思うが,父親の参加も重要である。
委 員:
 理科好きな子どもの育成には,家庭での関わりが大きな要素を持っている。先日の新聞報道でも,子どもの将来の進路希望調査が掲載されたが,「研究・開発」分野への希望が男の子の1位を占めた。これは「田中耕一」効果と呼ばれているらしいが,きっかけ作りが大事なことを示している。
 また,原理そのものを知らなくても,不思議なものや面白いものには興味・関心を持つ。原理を説明してもらってもわからないものでも,面白さをわからせることが大切。
委 員:
 街中には,公園など人工的な施設を除き,自然がない。各学校でビオトープを整備し,自然観察を行う環境を作ってもらっているようであるが,今の子どもは,眼の前にある事象の説明を聞くだけで,それ以上,「なぜ」とか「どうして」という発問さえしない。パトナの「水琴窟」設置は,素晴しい。こうした人工的な自然であっても,環境整備は進めてほしい。
委 員:
 京都には自然が多く,恵まれている。こうした自然に触れ合うことが大切である。また,子どもが「なぜ」を問いかけたときに,周囲の大人がきちんと対応をしなかったために,「なぜ」を問いかけることをやめてしまったのではないか。上手に原理などを説明してくれる先生にめぐり合えれば,理科好きになるのではないか。
委 員:
 教師の役割が非常に大切である。また,自然とのふれあいで学ぶことは多い。
委 員:
 自然とのふれあいが大切なことがわかっていても,どこの家庭でも実践できることではない。各行政区単位で,植物や昆虫などの専門家をボランティア登録していただき,高齢者の生涯学習で行っているような学習の場を子ども向けに行うことができればいいのではないか。学習という概念より,戸外の子ども遊びという雰囲気で,勉強というイメージを払拭する。理科的なものに興味・関心を持たない子どもへのアプローチを考えるべきである。
委 員:
 興味・関心を子どもたちから引き出すのが,教育であり,教師の役割である。「田中耕一」効果は,その好例である。「生きる力」をどう身に付けるか,「生き方」にもつながる課題であり,自然に囲まれた「花背山の家」の活用なども,家庭と学校の連携が必要。
委 員:
子どもに具体的にものを教えるより,子ども自身が知りたいと思うように,発問するほうが,たとえ周囲の大人に結論を聞くにしても,懸命に調べたり,知ろうとする努力をする。押し付けられたものでなく,自発的な行為であるからこそ,子どもの意欲を喚起したのではないかと思う。
 
<座長まとめ>
○ 
学校以外のところで教育する必要があるのか。理科好きな子どもの育成は科学者を養成することではない。


    

○ 
大人も子どもの質問にごまかしではなく,わからないものは,「わからない」と答えるべきである。親の知らないことを子どもが発見し,発問したことを喜んでやれば,子どもも喜ぶし,発奮するのではないか。頭から押さえつければ,問いかけさえなくなる。
○ 
答申をまとめていくにあたって,今まで,「理科好きのこども」と当然のように用いてきたが,具体的に「理科」とは何かについても,言及する必要がある。従来の答申のようにありきたりのものにはしたくない
○ 
思い切った内容にし,さすがは京都の会議であるという答申をしたいので,ご協力願いたい。
ー 以 上 ー

 

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