> 21世紀の『理科』を考える京都市民会議>第6回会議要録
| 「21世紀の『理科』を考える京都市民会議」
第1回 分科会 会議要録 |
[生涯学習としての理科・科学の振興] 部会
1.開催日時: 平成15年8月26日(火)午後2時〜4時
2.場 所: 京都市青少年科学センター 図書室
3.出席委員: 今福 道夫 委員(部会長), 山田 秀司 委員, 光井 正人 委員, 下岡 多佳子 委員,
佐藤 愛子 委員, 阿古目 良子 委員, 白須 正 委員, 蔭山 薫 専門員(順不同)
[日敏骰タ長]
[理科好きな子どもが育つ環境づくり] 部会
1.開催日時: 平成15年8月27日(水)午前10時〜12時
2.場 所: 京都市青少年科学センター 図書室
3.出席委員: 瀬戸口 烈司 委員(部会長), 兼松 信夫 委員,廣瀬佳治委員,宇野 里枝 委員,
河野 文彬 委員, 柳原 啓見 委員,向井 宣夫 委員,山本 壯太 特別専門員(順不同)
[日敏骰タ長]
(分科会会議録)
[生涯学習としての理科・科学の振興(子どもにとっての環境)]
部会長: |
前回の分科会をまとめると,生涯学習とは,子供の環境整備としての大人のあり方を学ぶことであった。子供は大人を見ているから,大人のための生涯学習でもいいという意見もあった。昔はコミュニティ社会があり,共同で子育てをしたが,今はない。昔は職住接近で,子は親の背中を見て育つという言葉があったが,今はそういう環境がない。大人と子供が断絶している現在,接点を設ける必要がある。 学校は教育施設だが,授業外も大人が参加できる施設として利用法を考えてはどうか。学習は主体的に学ぶ姿勢が重要視されているものだと思う。 |
委 員: |
親が子どもに教えようとして勉強するのとはちがう。 |
委 員: |
人間が万物の不思議さを知ろうとするのは普遍的なもの。一生涯続くもので,大人が勉強しようとするときに傍に子どもがいてもいいのではないか。 興味・関心も年代に応じて変わっていくので勉強しようとする姿勢がある限りそれを受け入れる条件整備がいる。 |
部会長: |
今回の諮問の意図は,科学や理科に対するものの考え方が大切だから,そういう思考の人を育てようということだ。一般論としての生涯学習とは違う。そのためには意識の問題,システムの問題,施設の問題がある。 |
委 員: |
万葉集の勉強などは,年代に応じて感じ方が違うので,勉強すること自体はよいことだが,カルチャーセンターで学べばその姿を子どもが知ることがない。これが子どもにとっていい環境といえるのかという問題がある。青少年科学センターで虫の話をしても親のほうが面白がっていろいろ聞いてくることがある。 親が面白がって勉強すると子どもにいい影響を与える。 |
委 員: |
親自身の問題というより,子供への影響という意味で大きい問題。普段から親が自然に親しませることを考えるべきなのだろう。 |
委 員: |
現在は意識の有無にかかわらず,科学とは縁が切れない生活を送っているのだということを喚起させることが大事ではないか。 |
委 員: |
毎日の生活で,順調にいっているときに,そういう気持ちを喚起することは非常に難しい。子どもを通じて親も学ぶということが生涯学習の一歩ではないか。PTA活動で,いろんな企画をしても来てほしい人は来ない。 |
委 員: |
子どもにどう還元するのかということに絞って考えるべきではないか。この会議の役割は家庭とか,地域の中で子どもにどのような環境を与えてやれるかを協議することなのだろう。地域の教育力,包容力が希薄になっている。これをどう高めるか,施設や企業,個人をどう組織化して,子どもに用意することができるのかが,大きなポイントになる。環境づくりに焦点を絞るべきではないか。 |
委 員: |
子どもが好奇心を持ちつづけることは不可能なので,親の役割が大切になる。 |
委 員: |
きっかけということで言えば,子どもの時には関心がなくても大人になってから興味・関心を持つとい うこともありうる。それが生涯学習のあり方ではないか。そういう意味で,きっかけというのはとても大切。 |
委 員: |
子どもが「これ何?」と問い掛けることが理科であり,科学の基本ではないか。何を見ても「何?」とも思わないことのほうが問題。 |
部会長: |
これまでの議論の中で最大の課題は,いかにしたら好奇心を持てるか,きっかけができるのかということだと思う。 |
委 員: |
きっかけや好奇心を持ったときに,疑問を解くかぎは,解決できる手順を知るとか,コミュニケ−ション の手段としての約束事を具体的に学ぶことであり,それをするのが基本的に教育の役割であり,学校ではないか。その上に,地域の中で学ぶことが可能な施設や企業,大学の研究室等を組織化し,いつでも学べるシステムを作っていく必要があるのではないか。 |
部会長: |
疑問が生じたときに,システムを使いこなすこと自体が学び方になるのだろう。子どもが「これは何?」といってきたときに,「わからない」という対応もあれば,「図書館で調べなさい」とか,「いっしょに図書館で調べよう」というようにいろいろなレベルがある。このように使い方も含めてある程度教えて指導することが大事。 |
委 員: |
人生とは,設計どおりでなく,偶然が大きな発見を導き出すことがある。組織化すれば何とかなるものではない。 |
委 員: |
好奇心を喚起するにも,みんなに周知する方法論が大事である。関心のある人ではなく,ない人への呼びかけであるだけに工夫がいる。京都には島津創業記念館などがあり,他都市でもトヨタなどの企業が産業技術博物館を運営している。京都ももっと企業のPR活動が必要である。企業秘密や最先端部分の公開はできないなど制約はあると思うが,実生活に結びついた展示が必要。 |
部会長: |
子どもが好奇心を持つような,あるいは親が学ぶ姿を見せるということが大切ではないか。ただ,利用できるような情報源,知識だけをストレートに与えることがいいのか。インターネットは,便利な道具には違いないが,世の中には分からないことがいっぱいあるのに,インターネットを利用すれば,すぐ答えが出てくる。子どもの環境としての親のあり方がどうであればいいのか,難しい問題だ。 |
委 員: |
1年生の生活科で朝顔の栽培をさせているが,芽吹きのときと開花のときの子供の顔は輝いている。命があることに気づいている。 |
委 員: |
モンシロチョウの飼育は,家庭でもやるのか。学校だけで完結すると「教育」のみになり,家では学校での取り組みや子どものかかわりがわからない。学校には,その点を考えることが抜けている。 |
委 員: |
子どもの好奇心を引き出すのは,教師であり,親の役目だと思う。調べるための共同作業をする上でのメニューがあればいいなと思う。 今は,コンピュータの原理など分からなくても,利用できればいいという考え方が主流になっている。教える側が,自分も知らない立場から,子どもと一緒に調べて学ぶというのが必要だと思う。 |
委 員: |
一つの問題を論じるときに「こうでなければならない」というものでもない。分からないことは「分から ない」と答えたあと,調べればいいのではないか。 |
委 員: |
先生が完璧であれということではなく,分からないということを前提に,子どもとともに理解するためにどうしたらいいのか考えられる先生であれば最高だ。 |
委 員: |
それは,教師にとっての生涯学習で,親にしても同じことだと思う。子どもに実態を観察させ,アドバイ スを与え,子どもがきちんと理解することを手助けするのが教師の役割だ。その過程で教師による説明は不可欠だが,どう説明するのか,どれだけいい過ぎないように気をつけるかということも大事である。 |
[理科好きな子どもが育つ環境づくり] 部会
部会長: |
前回は低学年向きの理科のあり方について議論を進めるべきだとの話があった。理科好きな子どもは多いのに,理科の免許所有者は少ない。また,京都は自然や学術的にもいい環境を持っているのに十分に相互活用ができていない。 大人という環境の中で子どもが育っていることを踏まえ,大人の教育はどうあるべきかを議論したい。 |
事務局: |
教員免許については,小学校の教育免許と中・高校とは違う。小学校は全教科を教えるのに対し,中・高校は教科単位で教える。小学校の教員が理科を教えられないということではなく,小学校では女子比率が高いため,理科の免許所有者が少ないことにつながっていると思う。ただし,理科の免許は持っていなくても理科に熱心な教員も多くおり,免許の有無よりも教師自身が興味・関心を持っているかどうかという影響のほうが大きい。 |
部会長: |
生徒が理科に関して興味を示しても,それをうまく受け止め生徒を上手に誘導できる先生が少ないとの話もあった。 |
委 員: |
親の生涯学習というのは,親が何かを懸命に勉強するということでは無しに,子どもと一緒に何かすることのほうが大事ではないかということが,生涯学習の部会で話し合われた。 |
委 員: |
カルチャーセンター的機能を充実させることが大事。大学の先生が,子どもを教えるのもいいことではないか。理科は,情報を伝える内容であり,大学の空いた教室の活用も含め,コミュニティ形成も図れるようにしたらどうか。 |
部会長: |
今,高校と大学が連携して,高校の興味・関心のある生徒を対象に講義などを実施。際立った教師がいるところの学習は効果が大きいと思う。そういう意味からも教師の力量アップを図るための再教育として,大学や博物館などで研修することは重要。単なる研修では理科分野は補えない。 |
委 員: |
小学校の教員免許は教科ではなく,カリキュラムも特殊であり,小学校教育を前提としている。ただ, 教員のインターシップ等や再教育は必要であると思う。 |
事務局: |
理科の免許を持っていない教員でも,興味・関心を持って研修を受ければ,再教育は可能。 |
委 員: |
総合教育センターにカリキュラム開発センターができたので,そういう内容の計画も検討したらいいと 思う。内発性か外発性かは別にして,きっかけを作ることが大事。理科に関する十八番授業的な優れた実践を集めることで,教師のやる気を引き出すことができるのではないか。 |
委 員: |
子どもが自分の中で何かを考えるというのは嘘で,自分で何かやろうとしても,知らないことはやりようがない。授業だけでやろうとすれば大変なので,授業以外の分野できっかけをどう作っていくのかが,問題。 |
委 員: |
自然とか,生き物,命のあるものを育てるという視点も取り入れた総合学習としての研修にすべきかもしれない。教育のあり方という意味で教師にだけ責めを負わせるように思っていたが,一般の社会人としても,こうした心構えは社会の構成員としての責務かもしれない。 |
委 員: |
今の教育は危機的な状況にあると思う。子どもが平気で人を殺す。生命への認識が足りない。学校だけに任せるわけではなく,家庭も担うべきと思う。バーチャルな世界から,実物を手に触れる教育への回帰が必要。せめて,土・日は自然に触れようというキャンペーンを実施すべきでは。 |
委 員: |
大事なことは知識の獲得ではなく,いろいろな人と出会い,世の中はこうなっているということを学ぶのが大切と思う。知識を教え込む時期(育てる時期)とその活用を図る時期とがあり,育つのは,環境が整えられたとしても,子どもの自発性によるものだ。 |
委 員: |
先日,カブトムシを子どもに見せるにはどこがいいかという質問があった。カブトムシの来る木や状態を調べてから行くべきだといったが,親の側にすぐにでも見せたいという気が強い。 |
委 員: |
苦労してもだめだったというのも経験である。失敗してもいいから,そこと思うところへいって,今度は見つけようと親子で話し合って帰ってきたら,親子の会話も成立する。 |
委 員: |
ある意味での成功体験がないと後が続かない。教員研修でもそうであるのに子ども相手ではなお,成功体験が必要ではと思う。そのための自然環境を整備するのも一つの方法ではないか。 |
委 員: |
人的ネットワ−クを活用できたらいいと思うが。子どもの質問にすべて答えられるような人材をそろえるのは不可能。分からないことも多い。 |
委 員: |
きっかけづくりは偶発的な要素もあるので,システマティックに作ることは難しい。一人の先生が多くの生徒にいろいろなきっかけを与えるのは難しい。 |
委 員: |
問い合わせ先をリストアップしておいて,電話で聞けるようにしたらいいのでは。興味を持った子どもに,あらゆる質問に答えることは難しい。きっかけに味をつけて,子どもの興味・関心を伸ばしていける人材も必要だ。 |
委 員: |
今の学校は,本来学校ではなく家で教えるべきような内容に関しても教えているため,学校でやるべき時間数が不足しているのではないか。また,型にはまったことしか教えられない教師が多い。人間的魅力のある先生が少なくなってきている。 評価に関しても教科書中心のテスト重視で,結局体験学習もおざなりになってしまっている。 |
委 員: |
知識よりも,不思議だなと思うことのほうが大事。 |
委 員: |
理科の分野では,自由研究・自然研究などを宿題や課題にするときっかけにもなっている。 |
委 員: |
宿題が必ずしもいい効果をあげるとは限らない。かえって,課題となったために親が手伝ったり,嫌いになるかもしれない。限界を理解しておかないと。 |
委 員: |
課題になると親も手伝う。子どもが何かに熱中するものを与える場は,やはり学校の中だろう。 |
委 員: |
各学校が得意分野を持ち,課外学習については各学校の情報を流して,子どもが自由に選んで参加できるシステムをつくっても面白い。地域の協力ももちろん必要になる。 |
部会長: |
きっかけづくりに関しては,科学センターがその役割を果たすべきだろう。意識的にきっかけを作る必要があるが,そのためには何をすべきか。 |
委 員: |
付録つきの科学雑誌に夢中になった経験からいうと,副教材を使って体で覚える学習というのも大切ではないか。 |
委 員: |
いろいろな関心を持つ子どもがいるはずなので,それぞれに応じた機会を設ける必要がある。教え込むだけは,避けるべきである。 |
部会長: |
科学センターの役割がますます重要になる。[京都の恵まれた環境を生かす(参考資料):参照] |
事務局: |
科学センターと理科研究会,総合教育センターとの連携は強まっているのだが,全体的な連携を視野に入れた取り組みが課題である。具体的にどうすべきか,論議していただきたい。 |