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【京都市青少年科学センター】

 京都府の岩石「鳴滝砥石」

 丹波山地一帯は,深海の底で泥・砂・生物の遺骸などが堆積してできた丹波層群という地層からできています。この地層は地殻変動(中生代ジュラ紀:今から約1億5千万年前)によって陸地になったと考えられています。この地層の中には,マグマの熱によって弱い熱変性作用を受けたり,風化したりして,少し軟らかくなった粘土岩(泥岩)が含まれています。それらの中で,刃物を研(と)ぐのに適した岩石を「鳴滝砥石」と呼んでいます。この鳴滝砥石と呼ばれる岩石は,学術的には「珪質粘土岩」や「砥石型珪質頁岩」などと呼ばれています。この珪質頁岩の中には,鉄がけずれるほどの硬い石英の粒が含まれています。この石英の粒の大きさは数㎛(マイクロメートル:1㎛=0.001mm)ほどです。この石英粒子は太古の昔(中生代三畳紀:今から約2億4千万年前)に偏西風によって数千kmも吹き飛ばされた砂漠の砂などであると考えられています。


 鳴滝砥石が採掘されていた山には,砥石として使えない珪質頁岩が落ちています。それらをルーペなどで観察すると「コノドント」と呼ばれる化石を見つけることができます。だいたい1mm程度の大きさで,歯や櫛(くし)のような形をしている化石です。コノドントは,それを含む地層がいつの時代にできたかを教えてくれる化石(示準化石)です。



 今は刃物を砥石で研ぐことも少なくなりました。また,性能のいい人工砥石も多く作られています。そんな現在でも,宮大工や料理人の中には,“刃物の研ぎの最終仕上げには,やっぱり鳴滝砥石がいい”という方がいます。鳴滝砥石は,良く切れる刃物を作り,繊細な京都の伝統技術を支えてきたのです。




参考資料
          『京都天燃砥石の魅力』,京都天然砥石組合記念誌編集委員会,京都天然砥石組合,2003
          『包丁と砥石大全』,一般社団法人日本研ぎ文化振興協会,2014
          『京 天と地と人と』,京都地学教育研究会,京都新聞出版センター,2015
          『地域地質研究報告 京都西北部の地質』,井本伸宏ほか,地質調査所,1989
          『京都市青少年科学センター報告 vol.41』,京都市教育委員会,2010
          京都府レッドデータブック2015,京都府HP,http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/red/geo/db/soi0081.html
          京都府の件の石,日本地質学会HP,http://www.geosociety,jp/name/content0147.html#kyoto



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