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【京都市青少年科学センター】

鉄バクテリア

 写真1のような赤い泥のようなものを川や排水溝などで見たことはありませんか?
 これは「赤水」「赤泥」「ソブ」とも呼ばれており,鉄バクテリアという目に見えない生き物が作り出したもの(写真2)の集まりなのです。

 鉄バクテリアは,土壌や水の中など,どこにでもいるバクテリア(細菌)です。
 水に溶けている鉄分の形を変える( Fe²⁺→Fe³⁺ )ことでエネルギーを取り出して,水中の二酸化炭素 (CO₂)から炭素(C)を自分の体に取り入れています。

 地下水には二酸化炭素が溶けています。鉄分の多い土地を通ってきた地下水が,染み出したり井戸から汲み上げられたりすることで,空気中の酸素が溶け込みます。条件が揃うと,図1のように鉄バクテリアの活動が活発になります。その結果,水酸化第二鉄( Fe(OH)₃)を作り出すことになり,写真2のような鞘(さや)状の殻のようなものがどんどん作られます。これが赤褐色(せきかっしょく)の沈殿物の正体です。
 春の田んぼや山の中の池などで写真3の油膜のようなものを見たことはありませんか?これも鉄バクテリアが作り出した水酸化第二鉄が膜状になったものです。その様子からよく油膜と間違われて,「どこかの油がこぼれているのではないか?」と問題になります。油膜は油特有の臭いがありますが,水酸化第二鉄の膜には臭いはありません。また,油膜はつついても割れたりしませんが,水酸化第二鉄の膜は写真4の様に,つつくと割れます。

 鉄バクテリアもその生成物である赤褐色の沈殿物も,自然環境中に存在する程度であれば無害なのですが,場所によっては排水パイプ内が赤褐色の沈殿物で詰まったり,公園の遊水地が赤褐色に染まったりします。
 一方,京都府城陽市第3浄水場では,自然ろ過池(平成5年~28年現在)において,鉄バクテリアの特徴を生かして地下水の鉄分を取り除いて,水をきれいにすることに利用されています。

 参考文献
・小島貞男,1961,「鉄バクテリアによる除鉄」,用水と廃水3(10)45_52
・村上政嗣,1965,「近畿地方における地下水の分布-特に深層地下水について-」,地下水技術協会 Vol.7 No.7
・田村太喜男他,1999,「鉄バクテリアを利用した生物濾過法による地下水の除鉄・除マンガンの開発」,水道協会雑誌 第777号
・八木正一,2001,「鉄バクテリアを利用した除鉄除マンガン処理について」,環境技術 vol.30 No.12,907-911
・大阪広域水道企業団,平成23~26年度,「水質試験成績並びに調査報告」
・城陽市上下水道部,「上水道のしおり」

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