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【京都市青少年科学センター】

当世電力事情

 現在,家庭や工場のエネルギー源として電気が大きな比重を占めています。電気はコンセントを差し込むだけで使え,器具を使用しても有害な気体や二酸化炭素を排出することもありません。地震等の災害時にも比較的早く復旧できるなどのメリットがあります。

 しかし,電気のもっとも大きな欠点は,基本的にガスや石油のようには蓄えておくことができないということです。蓄電池に蓄えるという方法はありますが,たくさんの電気を蓄えることはコストの面で不可能ですから,非常用の電源や離島用の電源以外にはあまり用いられていません。

 電力消費量は季節や時間帯によって大きな差があります。電力会社ではもっとも消費量の多い,真夏の平日の昼間,つまり工場やオフィスが電気を多く使い,さらに家庭でもエアコン等を使うことが多い時間帯の電力消費量をもとに発電所を建設しています。
 その中でも原子力発電所は出力の調整が難しいので,ほぼ一定の出力で発電し続けています。そして昼間たくさんの電力が必要な時には火力発電所や水力発電所の出力を上げて調整します。また,夜間等の電力が余る時には揚水式発電所に電気を送って水を上のダムに汲み上げ,電力を水の形で蓄えておきます。
 このような形で各電力会社は需要と供給のバランスをとっているのですが,今回の東京電力のようにある電力会社が電力不足におちいった場合はどうするのでしょうか。

 実は南は九州電力,北は北海道電力まで日本の電力会社はすべて50万Vの送電線で結ばれています。ですから,今回のようにある電力会社が電力不足におちいった時はもちろん,普段から各電力会社ではお互いに電力を融通しあっています。例えば自社の発電所に余裕があったとしても,よりコストの安い電気があれば他の電力会社から電気を購入しているそうです。
 このように日本中が送電線のネットワークで結ばれているのですが,1つ大きな問題点があります。それは電気の周波数が西日本では60Hz,東日本では50Hzと異なっている点です。家庭の電気器具でも周波数が異なれば使えないものがありますが,送電線も周波数が異なるとそのまま流すことはできません。この場合いったん直流に変換して,さらに交流に変換しなおすという手間のかかることをしなければなりません。これを行う施設が周波数変換所で,日本には2ヶ所ありますが合わせて90万kWしか変換することができません。ですから,いくら東日本で電力が不足していても西日本からは90万kWしか送ることができないのです。

 このような不便が生じたのは明治時代にいろいろな国からばらばらに発電機を輸入したために周波数が異なっていたのが原因です。時代が下るにつれ,周波数は次第に統一されていったのですが,周波数が変わると電気器具の交換が必要なため,とうとう1つに統一することはできませんでした。そのため,今回のようなこまった事態が生じたわけです。ビデオにも似たようなことがありましたが,規格を統一するというのは大変かつ必要なことなのですね。

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