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【京都市青少年科学センター】

北上するキマダラカメムシ〔カメムシ観察のすすめ〕

 キマダラカメムシは,日本では江戸時代にあたる1770年に長崎県の出島で発見され,1783年に新種として記載されましたが,その後,約150年の間発見されませんでした。
 ところが近年,九州地方で分布が拡大し,最近,急速に北上・東進を開始しています。本州では,1995年に広島県,2002年に山口県,2005年に岡山県・京都府・大阪府,2006年に奈良県,2008年に兵庫県・滋賀県・東京都,2009年に島根県で記録があります。
 キマダラカメムシは,ソメイヨシノなどの広葉樹の樹液を吸って生活しています。樹木の種類にはあまりこだわらず,ケヤキ・カシ類・ビワ・イロハモミジなどの多様な樹木にとりついていますが,スギやマツのような針葉樹では見かけたことがありません。



キマダラカメムシ成虫(左)と幼虫(右)
         2018.8.25 京都市右京区

 春から夏にかけては前の年から越冬したと思われる個体や,その年に生まれた小さな幼虫などを梢(こずえ)や枝・葉の上で見かけます。この時期は,数が少なく見つけにくいかもしれません。ところが,夏から秋にかけては,成長して大きくなった幼虫や成虫が幹に張り付くように樹液を吸っていて,目にする機会がが多くなります。秋が深まると,越冬場所をもとめて家の中に入ってくることもあります。

 キマダラカメムシの分布域の拡大は,この虫の飛翔能力に加え,広範囲な樹木にとりつくことや,成虫のまま越冬することから,樹木や物資の移動といった人間の活動で運ばれている可能性が大きいものと考えられます。温暖化に伴い,それまでの生息域より北に位置する場所でも生活できるようになったのかもしれません。 



樹液を吸うキマダラカメムシ成虫
         2012.9.27 京都府宇治市

 また,自然が多く他の生物も多い郊外より,生物の少ない市街地にある公園や駅前の街路樹などで多く見つかるのは,この虫を食べる他の天敵生物と関係があるのかもしれません。
 キマダラカメムシの生息調査は誰でも簡単に行えます。「夏から秋にかけて,市街地の公園や学校,駅前の街路樹などの前に立って,根元から目の届く範囲までを,樹木を一周しながら1分間真剣に探す」という方法です。生息していればこの方法で簡単にみつけることができます。一度試してみませんか?

カメムシ観察のすすめ


 カメムシと聞いただけで,「ああ、あのくさいムシ」と顔をしかめる人が多いのですが,カメムシは種類も多く,変わった形のものや,鮮やかな色をしたものなど,じっくり観察するとなかなか興味深い昆虫のなかまです。何種類かを紹介しておきますので,自分でも探して観察してみましょう。

アカスジカメムシ
         2003.6.2 京都府亀岡市

アシビロヘリカメムシ
         2003.6.2 沖縄県八重山郡竹富町

アヤナミカメムシ
         2009.8.29 京都市伏見区

ウズラカメムシ
         2003.6.2 京都府亀岡市

エサキモンキツノカメムシ
         1997.9.23 京都市右京区

オオキンカメムシ
         2007.11.24 三重県志摩市

オオクモヘリカメムシ
         1994.4. 京都市伏見区

キバラヘリカメムシ
         2002.8. 京都市右京区

クサギカメムシ
         1999.11.21 京都府長岡京市

クモヘリカメムシ
         2007.7.9 京都市下京区

クロジュウジホシカメムシ
         2000.3. 沖縄県石垣市

チャバネアオカメムシ
         2001.11.25 滋賀県栗東市

ツノアオカメムシ
         2000.7.8 長野県伊那市

トゲシラホシカメムシ
         1997.7.30 滋賀県米原市

ナガメ
         2004.5.5 兵庫県穴粟市

ナナホシキンカメムシ
         2001.3.10 沖縄県石垣市

ジュウジナガカメムシ
         2002.9.8 長野県飯田市

ヒメホシカメムシ
         2012.5.16 京都市伏見区

ブチヒゲカメムシ
         2006.7.9 京都市右京区

ホソヘリカメムシ
         2007.8.25 京都市左京区

マルカメムシ
         2003.6.2 京都府亀岡市

ヨコヅナサシガメ
         2012.5.21 京都市伏見区

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