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【京都市青少年科学センター】

 オオセンチコガネ


 みなさんは,オオセンチコガネという昆虫を知っていますか。オオセンチコガネは,北海道から九州まで日本中どこの里山や奥山でも見ることができます。体長は16mm~22㎜ ほどです。ハイキングやキャンプなどに出かけると,林間の高さ50㎝~1m ぐらいの比較的低いところを飛んでいるのを見かけます。オオセンチコガネは,キラキラと光っていますので,きっと目を引くことでしょう。

図1 地表を歩くオオセンチコガネ

 オオセンチコガネのお食事は?

 オオセンチコガネは,何を食べて生きているのでしょうか?林の中だと,葉や草を食べているのでしょうか?山の中だと,ドングリなどの実や種を食べているのでしょうか?じつは,どちらでもありません。「こんなにきれいな虫が!」と驚くようなものを食べているのです。それは,山林に住む動物たちのふんです。山には,タヌキ,イノシシ,シカなどの野生動物が住んでいます。オオセンチコガネは,いろいろな野生動物の糞を食べているのですが,京都市ではタヌキの糞を好んで食べていること,愛知県ではオオセンチコガネの分布がニホンシカの分布とほぼ一致すること,北海道ではエゾジカの分布と一致することが報告されています。


 図2 糞に集まるオオセンチコガネ

 オオセンチコガネは何色をしているの?

 ニホンジカが,たくさんいるところと言えば,奈良公園が思い浮かぶのですが,奈良公園でもたくさんのオオセンチコガネを見ることができます。ニホンジカの糞の上にちょこんとオオセンチコガネがとまっているなんて姿を見ることができるかも知れません。また,奈良公園で見ることができるオオセンチコガネは青色をしています。ところで,みなさんの家の近くの山林で見かけるオオセンチコガネは何色をしていますか。奈良公園と同じ青色をしていると思った人は,奈良県,和歌山県,三重県南部もしくは屋久島に住んでいる人でしょう。なぜ,そのようなことが分かるのでしょうか。実は,オオセンチコガネは地域によって色が違っているからです。青色のオオセンチコガネは,奈良県,和歌山県,三重県南部,鹿児島県屋久島でしか見ることができません。では,他の地域ではどうでしょうか。京都府南部,滋賀県南部,三重県北部と北海道南部では緑色のオオセンチコガネをみることができます。その他の地域では,ほとんどが赤色です。いろいろな地域でオオセンチコガネを観察して,色の違いを楽しむのもおもしろいでしょう。


 図3 3色のオオセンチコガネ(左から長野県(赤色),滋賀県南部(緑色),奈良県(青色)

       

 忍法”隠れ身の術”?

 オオセンチコガネがキラキラと光っていることは,最初の方でもお伝えしました。キラキラと光って目立っていると鳥などの敵に襲われやすいように思ってしまいますが,そうではないようです。山林を飛ぶオオセンチコガネをよく観察してみて下さい。日向を飛ぶオオセンチコガネはキラキラと輝いていますが,ずっと目で追いかけると日かげに入った途端に見失ってしまうことがあります。このことを利用して,敵から身を守っているのだという説があります。他にも,キラキラ光るはねを持つモルフォチョウも同じようにして身を守っています。


参考資料
      日本のオオセンチコガネ 塚本珪一ほか むし社 (2014)
      小学館の図鑑NEO 昆虫 小学館(2002)



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