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【京都市青少年科学センター】

ダンゴムシって何のなかま?  


図1:オカダンゴムシ(オス)
2010年8月17日撮影

図2:(左)オス (右)メス
2010年8月25日撮影

 今回ご紹介する生き物は「ダンゴムシ」です。
 小さくて色は黒く,ダンゴムシを指でつつくと体を丸めます。ダンゴムシは庭先や公園で見つけることができ,マルムシといった愛称で親しまれています。私たちにとって非常に身近な生き物ですが,一体どんな生き物なのでしょうか。

分類

 私たちがダンゴムシと呼ぶ生き物は一般にオカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)という種類を指します。日本にはオカダンゴムシが属するオカダンゴムシ科の他に,森林内に多いコシビロダンゴムシ科,海浜域に住むハマダンゴムシ科が存在します。ダンゴムシは名前に「ムシ」と付いていますが,昆虫ではありません。実はエビやカニと同じ仲間の動物です。詳しくは節足動物門-甲殻類鋼-等脚目-ワラジムシ亜目の一種に分類されます。

オスとメスの違い

 オスとメスの違いを見分ける方法は一般に背中の模様で判断します。背中が真っ黒なものはオス,金色の模様があるのはメスです。ただし中には金色の模様があるオス(図1)がいます。より正確な方法として,生殖器で判断します。ダンゴムシの生殖器はおしりの裏側にあります。オスには2本のペニスがありますが,メスにはありません(図3)。またメスの特徴としておなかに薄い膜があり,その中に黄色い卵を持っているときがあります。卵の数は50~200個です。

図3:(左)オスの生殖器 (右)メスの生殖器
2010年8月25日撮影

生活


  1. 分布
    北海道では稀ですが全国各地の庭・道路わき・畑地などに多いです。例えば公園や庭先の枯葉の下,植木鉢や朽ち木の下など探してみましょう。ただし無人島・離島など人間の営みが及ばない環境では生息する密度が極めて低いです。
  2. オカダンゴムシの一生
    繁殖期はおよそ6月末から9月はじめにわたっていますが,種によって時期は多少異なります。既に記述しましたが,メスのお腹には薄い膜で覆われており卵を育てる保育室のようになっています。この中で孵化した幼生は自力で外へ出て,第1回目の脱皮をします。脱皮前の幼生の胸部は6節ですが,脱皮後は7節になります。この繁殖期にオカダンゴムシの個体数は最も高くなりますが,10月頃にはもとの個体数近くまで減ります。幼生時の死亡率はかなり高いですが,どのような原因・割合で減少するのかはまだわかっていません。脱皮にはかなりのエネルギーを消費します。体への負担を減らすため,オカダンゴムシは体の前と後の2回に分けて脱皮を行います。脱皮を繰り返し成体へと成長します。寿命は3~5年と推定され,最大のものは体長が1.5cmにも達します。
  3. 食性
    オカダンゴムシは普段枯葉を食べています。特に腐敗がすすんだやわらかい枯葉を好みます。ただしクスノキの枯葉は食べません。これはクスノキの葉に殺虫剤に使われている物資(樟脳)が含まれているからです。
    「枯葉を食べている」と書きましたが,ダンゴムシは雑食です。枯葉以外にも色々なものを食べます。動物・昆虫の死骸,地面に落ちた木の実を食べます。飼育下ではカツオ節・にぼし・キャベツなど与えると食べます。

自然の中での役割

 自然界においてオカダンゴムシは「分解者」の役割を担っています。植物の枯葉・木の実,昆虫などの死骸といった「有機物」を食べることで「無機物」へと分解します。無機物は再び植物の栄養となり,成長を助けます。「田畑を荒らす害虫」として嫌われ者にされたりしますが,公園や神社などの身近な自然では,生態系を維持するための一員として位置付けられています。



参考文献

  • 金子信弘・鶴崎展巨・布村 昇・長谷川元洋・渡辺弘之 (2007) 土壌動物学への招待[採取からデータ解析まで] 東海大学出版会:223-224
  • 布村 昇 (2004) ダンゴムシ.育てて、しらべる 日本の生きものずかん4:26
  • 布村 昇 (2007) だんごむし.フレーベル館 だいすきしぜん:24
  • 寺田美奈子 (1973) 鎧を着た愛嬌物.自然科学博物館 40 :185-188
  • 寺田美奈子 (1980) 土壌動物としてのダンゴムシ.動物と自然 10(2):34-35

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