image


【京都市青少年科学センター】

ダイコクコガネ

 「ダイコクコガネ」という昆虫をご存じでしょうか? 大型のオスは立派な角を持ち,その角は大黒様が袋を背負うように反りくりかえっています。まるで小さなカブトムシのようです。写真や標本を見ただけなら「ほしい」・「採ってみたい」と思う子どもは多いのではないでしょうか。

 ではどうして,このかっこいい甲虫に人気が出てこないのでしょうか。もちろん,昆虫愛好家には憧れの虫かもしれませんが,一般的にカブトムシやクワガタのような知名度はないと思います。実は,このダイコクコガネ・・・「うんち」を食べているのです!!

ダイコクコガネ

 ダイコクコガネはカブトムシと同じコガネムシのなかまですが,糞虫(フンチュウ)と呼ばれる食糞性昆虫です。「フンコロガシ」といわれると,聞かれたことがあるかもしれませんね。

 ダイコクコガネは糞を転がしたりはしないので,フンコロガシではありませんが,動物の糞をえさとして生活する点では,同じ糞虫なのです。

 ダイコクコガネは牛の放牧場に生息していることが多く,新鮮な牛糞をえさとしています。そのため採集するときには,糞をスコップなどでひっくり返しながらの採集となります。

 臭いのはもちろん,たくさんのハエやウジに苦闘しながらの虫とりとなります。
また採集できても飼育するためには,新鮮な牛馬の糞を必要とします。これらのことから,採集や飼育が困難となり,なかなか人気者になれないのかもしれません。

ダイコクコガネ

ダイコクコガネ

[体長]20㎜~30㎜ぐらい
[特徴]光沢のやや弱い黒色で,土にもぐるため頭部は平たくシャベルのようになっている。また前脚は土をかき出せるようにギザギザの外歯が目立つ。雄には角があり,大型になると前角が大きく湾曲し,後角は切れ込んだ二叉になる。雌には角がない。
[分布]北海道・本州・九州と分布は広いが各地で激減している。
[発生]5~10月,(8~9月に数を増す)

 ダイコクコガネを観察や採集するためにはどこへ行けばよいのでしょうか。残念ながら,ダイコクコガネを観察するのはなかなか難しいです。

 30年ほど前までは,日本全国に広く生息しており,熊本の阿蘇・兵庫の生野・長野の菅平など大多産地が点在していました。しかしその後,生息地・生息数とも急激に減少しました。放牧地の減少,飼料添加物や駆虫薬などが原因といわれますが,はっきりとしたことは分かっていません。
最近では北海道や九州地方での記録が多いですが,昔ながらの牧場を探すとまだまだ発見できる可能性はあると思います。本州でも岡山県・広島県など中国山地に点在する放牧場,信州や東北地方の古い牧場など新たな産地がきっと眠っているに違いありません。ダイコクコガネを探して牧場を回るのも楽しいかもしれません。

 また,シカ糞に依存する個体群もあるようで,シカが多く出没する山系も可能性があると思います。近縁種のミヤマダイコクコガネはニホンジカの分布と重なっており,ダイコクコガネに会えなくてもミヤマダイコクに会えるかもしれません。

 それでは最後に,ダイコクコガネがやってきた牛糞の写真を載せておきますので,観察や採集を試みる際の参考にしてください。糞の下には,格好良い宝物がありますよ!

 ダイコクコガネは,牛糞の下に坑道を掘り潜んでいます。糞の周りの土盛りが目印です。
※牧場に立ち入る際は,必ず所有者か管理者の了解を得てください。

« 一覧に戻る