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【京都市青少年科学センター】

1年中鳴くコオロギ

 コオロギは節足動物(背骨がなく外骨格という殻をもつ生物)に含まれる昆虫のひとつです。昆虫の中ではバッタ目〔直翅目(ちょくしもく)〕といわれるなかまに入り,鳴く虫が多いグループです。中でもフタホシコオロギは繁殖力が強く,栄養価も高いため,動物園や水族館などで他の生き物の餌としてよく利用され,最近はペットショップでも販売されています。ところが,成虫になる前に餌として利用されてしまうことが多いので,鳴き声を楽しんでいる人はあまり多くないようです。

 さて,コオロギは鳴く虫の代表として有名ですが,からだのつくりを観察したことのある人はあまり多くないと思います。そこでフタホシコオロギを例にして,からだのつくりをごらん下さい。


鼓膜(点線内)

鼓膜(点線内)

 フタホシコオロギの名前は,翅(はね)の前方に星のような白い斑点があることから名づけられています。

 昆虫の特徴として,からだが頭部・胸部・腹部の三つに分けられ,頭部には触角や複眼があり,胸部からはあし6本・翅4枚が出ています。翅は2枚しかないように見えますが,この翅は前ばねで,この下にやわらかい後ばねが隠れています。おしりの中央部分に細長く伸びているのが後ばねの先端部です。

 コオロギもカブトムシのように翅を広げて飛べそうな感じがしますが,実はコオロギは飛ぶことはできません。暗くて安全な石の陰や草むらなどで生活している間に,飛ぶ必要がなくなってしまったと考えられています。

 暗いところで生活することが多く眼だけでは見えにくいので,前方を探るために触角が重要なはたらきをしています。後方は触角で探ることが難しいので,尾毛(びもう)というアンテナのようなものが腹部の端にあり,後方の震動などを感じ取っているのです。また,前あしにある鼓膜を使って音を感じていると言われています。

 では,暗いところで生活している雄と雌はどのようにして出会うことができるのでしょう? その手段として,雄が鳴くことによって,雌はお気に入りの雄をさがすことができるのです。雌が鳴くことはありません。



ところでコオロギの雄はどのようにして鳴くのでしょう? 

 ヒトのようにのどで声を出しているのでしょうか。それともセミのように腹部を使って鳴くのでしょうか? 実はコオロギは左右2枚の前ばねを使って音を出しています。左の翅の上に右の翅が重なっており(時々,左右が逆のコオロギもいます),左の翅の上の固い出っ張りと,右の翅の裏側のやすりのようなギザギザをこすり合わせることで音を出しているのです。スズムシやマツムシなどバッタ目のなかまも同じ方法で鳴きます。

 特にコオロギのなかまは,音をもっと大きく響かせるために,翅の形を変えてしまいました。トンボやチョウなどの昆虫の翅は紙のように平たくて、飛ぶために適していますが,コオロギの翅は折れ曲がっています。コオロギは鳴くときに,前ばねを少し立てて腹部と前ばねの間に空間(写真の赤色点線で囲んだ部分)をつくり,翅をこすり合わせて出した音が響くようにしているのです。

 フタホシコオロギは飼育しやすいので,みなさんの家庭でも一年中フタホシコオロギの鳴き声を聞くことができます。最初は雄と雌を数匹ずつペットショップで購入し,産卵できる場所を準備して飼育します。しばらくして慣れてくると,交尾して産卵します。約2週間で孵化し,その後約2ヶ月で成虫になります。雄が成虫になると約1ヶ月間は元気に鳴きます。餌がなくならないようにすることはもちろんですが,気温が低くなる冬は家の中で飼育し,約20℃に温度を保つことと,水分をきらさないことが大切です。繰り返して産卵しますので,卵から孵化するごとに飼育ケースを分けておけば,1年中鳴き声を聞くことができるようになります。

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