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【京都市青少年科学センター】

短時間で昆虫標本を製作する方法

 昆虫の体のつくりを詳しく調べるためには,翅や脚,触角などの形を整えて観察しやすい状態にすること,すなわち標本にすることが必要になります(「標本のススメ」の項をご覧ください)。標本にするとき,一番よいのは採集してすぐに標本にすることです。
それなら,生きているときとほぼ同じように翅や脚を動かして形を整えることができます。

 しかし,いつでも採集の後に標本を作る時間があるとは限りません。そのときには,採集した昆虫を冷凍庫で保存します。冷凍保存には大きなメリットが2つあります。それは,採った昆虫に寄生虫やダニなどがついていた場合,そのままで展翅・展足を行うと,乾燥中に標本を食べられてしまうことがあります。もう一つは,常温で放置しておくと水分が蒸発して乾燥してもろくなったり,逆に湿気を吸ってカビが生えたり,腐敗することもあります。冷凍保存することによってこのようなことを防ぐことができます。

 ところが,冷凍にすると乾燥し,関節などがが固まってしまうので,そのままでは標本にすることができません。そこで,体を元の通り柔らかくする作業(軟化)が必要となります。従来の方法は,すのこ付きの密閉容器を用意し,標本が水につからないように水を張り,蓋をして一晩おくというものです。この方法は時間がかかりますので,すぐに標本作りができません。せっかく軟化できても,用事ができてまた冷凍庫に戻すことになりかねません。

 そこで思い出したのが,まだ電子レンジが普及していない頃は冷めたお赤飯などを蒸して温めていたことでした。同じことが昆虫標本でもできないだろうか。それが「チンして軟化」のきっかけでした。

 まず,蓋付きの容器にタオルやふきんなどを水でぬらし,軽くしぼって底に敷きます。蓋をして,容器ごと電子レンジで1~2分温めます。これで,蒸しタオルができます。この方法だと,冷めた状態で作業を行うので水加減がしやすく,熱湯をわかす必要がないのでやけどの危険が少なくなります。

 次に,蒸しタオルの上にガーゼを敷き,三角紙ごと冷凍標本を入れます。その上にガーゼをもう1枚かぶせ,蓋をします。ガーゼではさむのは,水滴が標本につくのを防ぐためです。

 こうして,しばらく待つと冷凍標本が柔らかくなります。時間の目安は,モンシロチョウなどで5分,ナミアゲハ程度のチョウなら7~8分,モンキアゲハやナガサキアゲハなどの大型のチョウで10分程度です。それでも固く感じるときは,無理に展翅をしないで,もう一度蒸しタオル作りから行ってください。

 このやり方は,チョウ目,カメムシ目(セミ,カメムシなど)ハチ目などで使えます。セミやハチのように,鱗粉が取れる心配がない昆虫は,そのままガーゼにはさんで軟化できます。従来のやり方に比べると格段に短時間で軟化できますので,思い立ったときにすぐに標本作りに取り組むことができます。忙しい日々の合間をぬって標本作りに取り組んでいるあなた,ぜひ一度試してみてください。

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