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【京都市青少年科学センター】

ゾウリムシと,その仲間たち

 最も一般的なゾウリムシ(学名Paramecium caudatum )の体はぞうりの形やスリッパの形をしています。英語では,ゾウリムシのことをSlipper Animalcule(スリッパ形の微小動物)といい,他の国の人達も同じように感じていたのだと納得してしまいます。大きさは170~290μm(1μm=0.001mm)で,体は1個の細胞からできています。そして細胞のまわり一面には,ほぼ同じ長さの短い毛(繊毛)が生えています。この繊毛を動かして,泳いでいます。

体のつくり
体のつくり
接合の様子
接合の様子

 体の各部分は上の図のようなつくりで,ぞうりのかかとの側にあたる上の方が前で,その方向に泳いでいきます。また,体のつくりをよく見ると,細胞の前端部から溝が走っており,その一番底になる部分が細胞口で食べ物を取り入れるところです。取り入れた食べ物は食胞で消化し,不要なものは細胞肛門から捨てています。収縮胞は周期的に収縮し,ゾウリムシにとって余分な水分や不要物を排出し,浸透圧を調節しています。また細胞内には,通常の核である大核と,生殖活動の際に減数分裂する小核と呼ばれる小さな核があります。小核は,多細胞生物の場合の生殖細胞のような役割を果たしています。ゾウリムシのこの生殖活動のことを特に「接合」とよんでいます。このようにゾウリムシは原生動物の中で最初に性の存在が発見(Sonneborn 1937年)された生物として知られています。

 なお,自然界ではこのゾウリムシは,かなり汚れた溝などに生育しており,普通の湖や池ではあまり見られません。農薬には弱く,水田などでは見つけにくいようです。

 写真で見ると,ぞうりのような平たい形に見えますが,実際に顕微鏡で泳いでいる様子を観察すると,回りながら進む姿を見ることができます。実はゾウリムシはラグビーボールのような形をしているのです。科学センター2階展示場の「水中の微生物」のコーナーには,ゾウリムシの立体模型も展示していますので,ぜひ一度ご覧下さい。

 さて次に,ゾウリムシの仲間を紹介しましょう。
 ゾウリムシと言えば,半透明で無色の体を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが,中には下の写真のように緑色をしているものもいます。大きさは85~150μmで少しゾウリムシよりも小さく,形も少し違いますが,れっきとしたゾウリムシの仲間で,ミドリゾウリムシ(学名Paramecium bursaria)といいます。緑色をしているのは,細胞内にクロレラという緑藻類を共生させており,クロレラがもっている葉緑素の緑色が見えるからです。クロレラはミドリゾウリムシに守ってもらい,ミドリゾウリムシはクロレラが光合成でつくった糖類を分けてもらって生活する「共生」という生き方をしているのです。自然界では,かなりきれいな沼などに多く,底の方に生息しています。



 ゾウリムシの2つ目の仲間を紹介しましょう。

ミドリゾウリムシ
ミドリゾウリムシ
ブレファリスマ
ブレファリスマ

 上の写真のとおり,ゾウリムシによく似ていますが,赤色をしています。微小生物の中でこのように赤色をしているものは,大変珍しいです。大きさは70~250μmで,形もつくりも似ているのですが,これは ブレファリスマ(和名:ベニミズケムシ,学名 Blepharisma japonicum )といい,生物学的にはゾウリムシとは全く違う仲間に分類されます。けれども,形がそっくりなので「赤いゾウリムシ」とも呼ばれます。

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