image


【京都市青少年科学センター】

大岩のチャート

 京都市の北部,いわゆる北山と呼ばれている地域は丹波層群という中古生代に堆積した地層が露出しています。丹波層群は南方の海で堆積した石灰岩,チャート,緑色岩などが海洋底の移動によって運ばれてきてくっついた付加体と呼ばれる堆積岩からできています。 そのため,年代や成因の異なる岩石が地層の中にブロック状に入り込んでいます。大岩のチャートは,上記のように非常に大きなチャートのブロックが周囲の地層に入り込んだものだと考えられています。

 チャートという岩石は二酸化けい素という成分からなります。チャートの成因は複数ありますが,その一つは暖かい海にすむプランクトンの一種である放散虫という二酸化けい素の殻を持つ生物の遺骸が堆積してできたというものです。二酸化けい素は非常に硬く,化学的にも安定しています。しかし,ふっ酸という薬品を用いると溶かすことができ,放散虫の化石を取り出すことができます。放散虫は0.1mm程度の小さな化石ですが,進化の速度が速いため,化石の種類を調べることによってその地層が堆積した年代が分かる示準化石として優れた化石です。

 写真は大岩のチャートから見つけた放散虫(Follicucullus sp.)の化石の写真です。この放散虫(Follicucullus sp.)から大岩のチャートは古生代のペルム紀という今から2億5000万年以上前の時代に堆積したことが分かります。

 また,大岩の表面には断層ができたときに生じた擦過痕(さっかこん・すりきず)も見られました。このように京都の地学関係者にとってはとても有名な岩でしたが,先日の道路工事によって露出していた部分が削られ,断層の痕跡も見られなくなりました。道路が広くなり我々の生活は便利になった反面,地学の観察地が削られて寂しい気がします。

« 一覧に戻る