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【京都市青少年科学センター】

「ミョウバンの結晶づくり」の落とし穴!(1)

 物質は水の温度によって溶ける量が決まっています。
 水溶液の温度が低くなれば,とけきれないミョウバンが結晶として出てきます。これを再結晶といいます。
 夏休みの自由研究で人気の実験ですが,このミョウバンの結晶作りをしようとする人が,つまずきやすい点を紹介します。

1.ミョウバンについて

 一般的にミョウバン【明礬】と言えば「硫酸カリウムアルミニウム」のことであり,他のミョウバンと区別するために「カリミョウバン」「カリウムミョウバン」と呼ばれています。
 みなさんがよく作ろうとするミョウバンの結晶は,正しくは「ミョウバン12水和物」というものです。しかし,スーパーや薬局で手に入れられるものは,「ミョウバン12水和物」を焼いて,水分を飛ばした「焼ミョウバン」というものです。この「焼ミョウバン」を使って,ミョウバンの結晶を作ろうとすると,「ミョウバン12水和物」よりも多くの水が必要になります。教科書や参考書には「ミョウバン12水和物」の情報しか載っていないことが多いので,下のグラフや表を参考にしてみてください。

  • 焼ミョウバン/ミョウバン12水和物を200℃で焼き,結晶の中の水分子をとったもの。「無水ミョウバン」ともいう。
  • 水和物/水の分子を含む物質のこと。「ミョウバン12水和物」とは,「無水ミョウバン」1個に対して,12個の水の分子がくっついていることになります。

硫酸カリウムアルミニウム(カリミョウバン・カリウムミョウバン)

物質名 無水ミョウバン ミョウバン12水和物
別名 焼ミョウバン
無水ミョウバン
結晶ミョウバン
含水ミョウバン
入手方法 薬局,スーパー,乾物屋など 薬品会社など
利用例 漬け物,佃煮など 薬品として
外見

2.種結晶をどう結ぶか?~結び方とさし方~

 ミョウバンの大きな結晶を作るためには,その核となる種結晶が必要です。この種結晶は60℃ほどのお湯にミョウバン(無水,水和物どちらでもよい。)を溶けるだけ溶かし,飽和水溶液をつくります。
 この飽和水溶液の上澄み液だけを底の広いタッパーなどの容器にそっといれて,ゆっくり冷ましてやれば,3mmほどの図のような平べったい種結晶がえられます。(上手くすれば7~8mmほど種結晶が得られます。)
 このときできた種結晶は12水和物のミョウバン結晶ですので,多めに作っておき,形のいいものを種結晶にして,形の悪いものも後で結晶を成長させるために使いますので,取っておきましょう。




多めに作ってみました。
100均のタッパーで十分です。

ゆっくり冷ますために
段ボールで囲ってみました。

形のいいものを
種結晶にします。

 この種結晶を飽和水溶液の中につるすことで,結晶を成長させていくわけですが,つるし方に頭を悩ますものです。いろいろな種結晶のつるし方が本やHPなどで紹介されていますが,大きく分けて以下の3つあります。

1)接着材でつける。
非常に簡単な方法ですが,接着剤がしっかりと乾くまでに時間がかかりますし,接着剤の種類によっては水溶液に溶け,種結晶が落下することがありました。

2)釣り糸で結ぶ
釣り糸(テグス)をつかって,種結晶を結び付ける方法です。もっともポピュラーで,できあがりもきれいに仕上がる方法です。結び方はいろいろありますが,図の方法が結び目もさほど大きくなく,しっかり結べると思います。しかし,ややコツがあり,習練を要します。

3)銅線を突き刺す
銅線を熱し,種結晶にさすという方法です。釣り糸で結ぶ方法よりも簡単で,小学生でも自分でできると思います。しかし,できあがった結晶には銅線が刺さっている状態です。


わりばしに銅線をまきつける

銅線の先を7~8秒熱する


わりばしを持って種結晶につける

種結晶がかんたんにくっつく


参考文献

  • 左巻建男 1996「理科おもしろ実験・ものづくり完全マニュアル」 東京書籍
  • 米澤剛至 2008「ちょっとやってみようかな化学」日本評論社
  • 理科年表 平成21年 国立天文台編



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