〔優秀賞〕 小学校 総合的な学習・道徳

ネットワークを活用した郷土愛と自尊感情を育てる実践
総合的な学習「お祭大好き,このまち大好き」

〜「日本三大祭こどもネットワーク」作りを通して〜


京都市立有済小学校  山口 昌則

1.はじめに

 同和教育を柱とした人権教育の取り組みを踏まえながら総合単元的な道徳学習を中心にした「心の教育」の進め方について研究を続けてきた。
 本校は,京都祇園界隈の中心に位置する全校児童48名の小規模校である。全校児童が学年を超えて親しく遊び,交流できるあたたかい人間関係が見られる一方で,人間関係が固定化され多様な価値に触れる機会が少ないという課題があった。
 この小規模校の壁を破る手だてとして,教育メディアの通信機能,とりわけネットワークを活用した授業改善の研究を進めているところである。
 ネットワークを活用したコラボレーションや,テレビ会議システムのホワイトボードを活用した図画工作の作品交流会や,同じくテレビ会議システムを活用した道徳の時間の合同授業など,日常的に他校の児童と友達の輪を広げながら交流学習をしている。
 コンピュータの通信機能を生かした交流学習は,児童の受け手を意識した活動意欲を刺激し,よりよいものを創造し,よりわかりやすく表現していこうとする態度や学習意欲を高めるのに効果的であると考えた。
 ローカルな活動が,ネットワークで結ばれることにより点から線,線から面へとグローバルな活動として意識され,小さな取り組みにも大きな意味が生まれる。  
ネットワークを通して活動していく価値や意味を実感した児童は,今まで情報活用能力の育成で大切にしてきた情報の収集,分析,選択,整理,加工,発信といった一つ一つの日常的な作業をもう一度見直し,丁寧に仕上げていこうとする態度を身につけていくのではないかと考えた。
さらに郷土愛と自尊感情を育てることをねらいとした地域素材を活かした総合的な学習は,児童にとって親しみやすく興味・関心の高い素材であるばかりでなく,地域の人達とのふれあいを肌で実感しながら進めていくことができるので,より意欲的主体的な学習の展開が期待できるのではないかと考えた。
2.研究の仮説
 ネットワークを活用し地域素材を活かした学習を総合単元的な道徳学習として進めていけば,児童は,地域の人達との関わり合いを大切にしながら丁寧に学習を進め,広い視野から地元の伝統文化とまちのよさについて見つめなおし,より深く郷土を愛し自分達のまちに誇りを持って生きていこうとする心情や態度を養うことができるのではないか。

3.実践のねらい

 祇園祭は,京都の三大祭であることはもちろんのこと,日本三大祭の一つにも数えられている有名な祭である。校区から「四若神輿」が「東御座」として出ていること,さらに祇園祭の三基ある神輿の中で,唯一こども神輿があることなど児童にとって親しみ易く郷土愛と自尊感情を育てる学習をしていく上で貴重な資料が多い。
そこで地域の伝統文化である祇園祭を教材として生かし,地域の方々の協力を得ながら,一緒になって学習を展開していくことで自分達の郷土を愛し,自分自身に誇りの持てる心情(自尊感情)を育てたいと考えた。
さらに,祭というものが民衆の暮らしや生活の中から生まれてきた大衆文化であることから,日本人の生き様そのもので在ることに気づき,そのことを意識しながら個のよさを生かした個別の課題解決学習を展開し,「人権面からの追求」へ,学習が発展することを期待した。

<1年間通して> 『誇れる地域の文化を理解し,祭を支える地元の人の苦労や願い,誇りについて学びながら自尊感情と郷土愛の心情を高める。』
1学期 地域における体験的取材活動とネットワークを活用した交流学習を通して,祇園祭について理解と認識を深める。
2学期 インターネットを活用した『日本三大祭こどもネットワーク』作りを通して,より広い視野から地元を見つめ,郷土を愛する心情を育てる。
3学期 個々の課題に沿って,祭をテーマに暮らしとのつながりを意識しながら課題解決学習を進め,地元をより深く理解し愛すると共に自尊感情を育てる。

4.活動目標

◎ 地域の祭について関心を持ち,地域の人の願いや苦労,自分との関わりについて目を向けるとともにより広い視野から地元の祭について学習を深めていこうとする。   …(関心)
◎ これからの祇園祭を支えていくなど地元の伝統文化を継承発展させていく一員であるとの自覚を持ち,その一員である喜びを感得できる。              …(意欲・態度)
◎ 地元の祭の歴史や受け継がれてきた伝統,文化的な意味について知ると共に,その祭を支えてきた人々の願いや苦労,誇りなどと自分との関わりについて考える。    …(思考・判断)
◎ 学習を通して得たことを日常生活で具体的に行動に移すと共に,分かりやすく他の人に伝え表現できる。                               …(技能・表現)
◎ 祇園祭を支えてきた地元の人たちの苦労や願い,誇りについて知ると共に,地域だけでなく多くの人に親しまれ愛されてきた祭について気づき,郷土を愛する気持ちと誇れる地元の文化について正しい認識を深める。                       …(知識・理解)

5.学習展開

取り組みの流れ(概要)
1学期 2学期 3学期
ふれる 自分と祭との関わり    
つかむ 家族の人と祭の関わり

地域の人と祭の関わり

(アンケート)

日本の三大祭について知る。 祭とは何だろう。
むかう 道徳「郷土愛」   個別のテーマを設定する。
調べる 八坂神社でインタビュー

神輿会の人にインタビュー

本やインターネットで検索する。

日本の三大祭について調べる。 個別のテーマに沿って課題解決学習を進める。
深める 学習の成果をもとに祇園祭こどもネットワークの小学校と祇園祭について交流する。 日本三大祭こどもネットワークの小学校とお互いの祭や祭についての関わり方や考え方について交流する。 各自の学習の成果をクラスで中間発表する。

祭と自分達との関わりについて話し合う。

まとめる 祇園祭についてまとめる 今までに調べたり,交流したりしてきたことをホームページにまとめる。 個別学習の成果をホームページにまとめ,ホームページを更新する。
生かす 祭に参加して神輿を担ぐ。   全校集会「こころのつち」で発表する。
1学期は,タウンワークを中心に祇園祭のことについて学習をする。2学期には,その学習の成果を土台に「日本三大祭こどもネットワーク」で交流し,広い視野から地元の祭を見つめる。
そうして自分たちの祭や地域をいろんな角度から振り返った上で,3学期に,祭について各自が調べてみたいことをもとに課題解決学習を進め,互いの学習の成果を交流しながら,祭と暮らしや自分との関係について考える。
特に,3学期に個別学習を持ってくることで,学習テーマの認識が深まっているばかりではなく,道徳的心情も高まっているので,児童にとってより切実感の伴った課題の設定ができ,個別の課題学習を進めていきやすくなるのではないかと考えた。
また,学習全体を通じて道徳の時間と連携していくことで,道徳的心情も高めながら総合学習を展開し,道徳的実践力につながるよう活動を展開していくことができた。

6.コンピュータなどの活用の視点とその理由

児童の郷土愛と自尊感情を育てる手だてとしてコンピュータの通信機能やインターネットを活用したネットワーク作り(祇園祭こどもネットワーク,日本三大祭こどもネットワーク)をした。
まず,同じ祇園祭の中で山鉾のある京都市立高倉小学校と神輿のある本校とで「祇園祭こどもネットワーク」をつくり,テレビ会議システムを活用して祇園祭の山鉾と神輿についての交流を行った。そして日本三大祭である東京の神田祭のある東京都千代田区立昌平小学校,大阪の天神祭のある大阪市立滝川小学校の両小学校と「日本三大祭こどもネットワーク」を結び,日本三大祭の一つである神田祭と天神祭について紹介し合ったり,互いの祭のよさについて交流を深めたりした。それぞれの小学校が,地域の祭とどのように関わり,どのようにがんばっているのかを知り,同じ小学生同士で共感し合える部分を大切にしながら,自分達の祭を振り返り,誇りに思えるような関わりができる学習を展開できないかと考えた。
ネットワークを作り,祇園祭について学んだ内容をテレビ会議システムや電子メールで情報交換するなど地域の伝統文化を通して友達の輪も広げながら,地元の祭を外から見つめ,共通する立場で意見交流をしたり,互いのよさを認め合ったりする活動をした。
その結果,地元の祭をこれまでとは異なった視点から見つめ,認識を深めていく学習を展開できると考えた。最後に学習の成果を「祇園祭こども図鑑」(http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/yuusai-s/99/4nen/4gionmatsuri/zukannhyousi.htm 参照)としてホームページにまとめた。
その際に「祇園祭を地元とする自分達にしか書けないものを作ろう。」「子供でも読めるような,わかりやすいものを作ろう。」とコンテンツの質についても話し合い,自分達の地元からしか発信できないような内容のものを作ってみたいということで,自分達が足を運んで集めた資料を沢山使って,自分達なりに工夫してホームページを仕上げていくことができた。

ワンポイントアドバイス:

「全国お祭マップ作り」では,クリッカブルマップを活用した。
この機能を活用することで地図上のポイントをクリックするとその場所の情報を表示させることができる。
この機能は,校区探検や地域調べなどのまとめに効果的である。
とりわけホームページで検索した資料を活用してリンクをはると楽しみながら調べ学習ができる。
(http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/yuusai-s/99/4nen/4gionmatsuri/zennkokumap.htm参照 )

クリッカブルマップの作成手順(全国お祭マップの場合)
(1) 地図を作成する。
(まず白地図の日本地図を使って,見出しをつけたり,都道府県別に色をぬったりしてベースとなる地図を作る。このときに後からボタンをはり付ける場所を意識して色の塗りわけをしたり,必要な言葉を書き加えたりすると子ども達にとって作り易いようである。)

(2) できあがった地図をスキャナーやデジタルカメラで取りこみファイルとして保存しておく。

(3) ホームページ作成のためのソフトを立ち上げて,素材のフォルダを先ほど作った地図のファイル保存先を指定してファイルを開き,新規の画面にはり付ける。

(4) クリッカブルマップを編集する。
(はり付けた写真をクリックした後,ツールバーの編集の中にあるイメージマップを選択し編集を選ぶ。)

(5) 地図上から自分のリンクボタンをはりたい領域を作り,属性を選択してリンクをはる。
(全国お祭マップの場合は,「URLへ」を選択した。そのとき,自分のリンクをはりたいホームページを決めて,httpを選択した後でそのURLを入力するとできあがる。
この作業を繰り返しながら,自分の調べた全国の各都道府県にあるお祭のページへリンクをはって完成させていく。)

※ 校区地図の場合は,自分達の取材したデータをファイルにしてリンクをはることで地域の情報を生かしたページをイメージマップとして仕上げていくことができる。

http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/yuusai-s/6nen/baria/bariamap.htm参照)

7.実践内容

@ タウンワークとゲストティーチャー

体験活動を通して地域の人達の祭を支えていく苦労や祭を愛する熱い思いや生き方に触れ,慣れ親しんできた祇園祭の伝統文化としての貴重さや価値を実感する活動をした。
そして自分達も祭やまちを支えていく一員であることを自覚し,誇りを持って生きていく生き方と結びつけた学習を展開した。
まず,自分達で考えた「お祭アンケート」を持って地域の人にクラス全員で100人の人に取材し,その結果を集計して分析発表する活動を日曜参観日に実施し,参観に来ていた神輿の担ぎ手でもある父親から祭の思い出話や自慢の「神輿こぶ」を見せてもらったりした。
次に祇園祭を司る八坂神社に出かけ直接宮司さんにインタビューをしたり,神輿会の方をゲストティーチャーとして招き,神輿や祭のこと,その祭を支えている地元の心意気について話を聞いたりした。
自分達が今まで知っているようで知らなかったことや,取材をした人達の熱い思いがいっぱい詰まった話に,子ども達は熱心に質問したり感心したりしながら生き生きと意欲的な活動ができた。

A 総合単元的な道徳学習として
 総合的な学習活動の前半は,共通体験を中心に学習を進め,道徳の時間と連携を図り,郷土の伝統文化について心情的理解と心の内面的な成長をめざしながら学習活動を展開するよう工夫した。
体験活動を通して学習内容の認識を十分に深める活動をし,そこで自分なりに感じたことをベースに道徳の時間を設定することで,より次元の高い実感のある道徳学習を進めていくことができた。
そうして培われた道徳性に基づいた学習活動は,児童のより意欲的な個別の課題解決学習へと発展させることができたと考える。内面的な道徳性の涵養は,児童のより主体的自発的な興味関心に沿った「自分なりにもっと〜について詳しく知りたい。学習を進めていきたい。」という課題設定と意欲づけに欠くことができないと考える。

B 有意なネットワークづくりを通した視野を広げる活動と友達づくり 
祇園祭は,神輿と山鉾の祭である。そこで山鉾町の小学校の児童と交流をすることで,祇園祭を神輿だけでなく山鉾も含めた大きな祭として全体像を把握すると同時に,「鉾町の子もがんばっているのだから,自分達も負けずにがんばろう。」「自分達の神輿をもっと大切にしよう。」という思いで自分たちの祭を振り返る機会にした。
山鉾町の学校と「祇園祭こどもネットワーク」としてテレビ会議や電子メールで互いの学校の祭との関わり方や祭自慢について交流会をした。鉾や鐘の話,そして鐘の実演とろうそく売りのわらべ歌など,鉾町の友達のすばらしい練習の成果や活躍の様子に感動した。
そして次の日,山鉾に実際に上がり,テレビ会議で聞いた鐘を今度は自分の手で叩く体験をさせてもらった。
ずっしりとした鐘の重みなど新たな発見もあったようだ。
「祇園祭こどもネットワーク」を通して地元の祭を「まち」から地域へ視野を広げる学習ができた。
その学習をさらに地域から全国へと視野を広げることで,より幅広く違った視点から自分達の地元の祭を見つめようと考え「日本三大祭こどもネットワーク」の交流をした。このように児童の意識の流れを大切にしたネットワークの展開を工夫した。
ネットワークでは,同世代の視点から広く意見を聞くことで「同じ三大祭の友達も自分達の祭を大切にし,がんばっているんだなあ。」「友達から自分達の祭のことを誉めてもらえた。」「もっと詳しく知ってもらうためにはどんな所を工夫していかなければいけないのか。」など共感的な気づきや励みが見られることを期待した。
ネットワーク作りによる学習は,友達の輪が広がる喜びを実感できる活動でもあったといえる。
こうしていろんな角度や視点から,自分達のまちの祭を振り返る学習は,友達の輪を広げながら自然な形で伝統文化としての祇園祭のよさや自分達の「まち」のよさについて認識を深め,自分達の「まち」を誇りに思う学習を進めていく上で大変有効であった。
そして同時にコンピュータの通信機能を十分に生かした取り組みができたのではないかと考える。
ネットワークを通した交流では,ビデオレターや祇園祭壁新聞など現物の資料を交換したり,電子メールで学習の成果や質問と感想の交換をしたりするなど,より親しく互いの様子を伝え合いながら人と人の温もりが,伝わるような交流活動を大切にした。

C 学習の成果をホームページ「祇園祭こども図鑑」にまとめて発信
「祇園祭こども図鑑」は,「日本三大祭こどもネットワーク」の取り組みや交流の様子と「全国お祭マップ」そして「祇園祭こども事典」の3項目からなっている。
とりわけ「祇園祭こども事典」については,祇園祭の歴史や子ども神輿のこと,八坂神社でのインタビューの内容,神輿会の方から聞いたことをまとめた「みこしQ&A」,祭の学習をした感想文集など自分で集めた情報を自分の言葉でありのままに仕上げていった。
他にも「祇園祭こどもネットワーク」として山鉾町の小学校とテレビ会議をした交流会のことなど,活動の様子を流れに沿って見られるように工夫した。
 また,「全国お祭マップ」を作った児童は,全国地図を白地図で仕上げた上で,その地図をベースにクリッカブルマップとして全国のお祭の代表的なページにリンクをはって仕上げていった。 
この児童は,全国にたくさんのお祭があって,どこのまちでも自分達のまちの祭を大切にし,自分達のまちを愛しているんだと言う実感ができる活動ができた。 
このようにして学習の成果をホームページとしてまとめていく活動では,友達との情報交換を活発にしながら自分自身の学習を振り返り整理する作業ができたので,和やかな雰囲気の中で質の高いホームページ作りができた。

8.実践結果

まず,学習の成果であるホームページを使って,全校集会「こころのつち」(児童の自尊感情を育てることを主な目的として,自分達のまちや学校の誇れる伝統文化や名所旧跡,学校の自慢や先輩の功績などの地域素材を学習教材とした全校集会活動)で発表をした。
これから一緒になってまち作りを考え祭の担い手になる全校の児童に,自分達が学んで感じた祭やまちのよさ,そして自分達が誇りに思ったことなど,自尊感情を高める発表をすることができたので,共感の輪を広げることができた。
他学年の児童から「ぼくらの学校ってええ学校やなあ。」「前から好きやったけどもっと好きになったわ。」といったつぶやきや感想を聞けたことは大きな成果であったと思う。次に地域素材を教材として地域の人と一緒に開拓できたことも意義深かった。
これから先「みんなでつくる開かれた学校」として地域の人達の願いを受け止め,生き方に学び,共に教育を進めていく上で良いきっかけとなった。
最後に「祇園祭こどもネットワーク」や「日本三大祭こどもネットワーク」として有意なネットワーク作りを通して,段階的に視野を広げながら互いの良さを認め合い,地元のよさを誇りに思える交流活動ができたことや児童にとって友達の輪を広げながら,多様な価値に触れる学習が展開できたことが,なにより大きな成果であったのではないかと考える。

9.考察

(成果)

ネットワークを活用し地域素材を活かした郷土愛と自尊感情を高めるための総合的な学習を道徳の時間と連携させながら総合単元的な道徳学習として展開することにより,児童は,地域のたくさんの人達との関わりから得た願いや思いを実感しながら,その思いに応えていこうとする気持ちで主体的に進んで学習をしていくことができた。
さらに地元の祭を「まち」から地域へ,地域から全国へと段階的に視野を広げることで,より幅広く違った視点から自分達の地元の祭やまちのことを振り返って考えを深めることができた。
地域のネットワークや全国のネットワークと少しずつ児童の意識の流れに沿ってネットワークを拡大していくことにより,広い視野から地元の伝統文化とまちのよさについて見つめなおし,より深く郷土を愛し自分達のまちに誇りを持って生きていこうとする心情や態度を養うことができた。

(今後の課題)

まず,通信機能を活用した交流学習の場合は,情報インフラストラクチャーの整備が全国一律に進んでいるわけではないので,テーマが共有できても情報環境の整備など物理的な面で交流の相手校が条件を満たすことができなかったり,相手の学習計画などの事情や都合などもあったりするので慎重に学習計画を立てて進めていく必要があることがネットワークを活用していく場合の大きな課題である。
次に伝統文化が生活の中で暮らしの一部として生きている祭文化は,地域を支えてきた人々の願いや苦労,そして誇りが肌で感じることのできる貴重な学習素材であり,全国どこにでも何らかの形で祭は受け継がれてきているため身近な地域教材として取り上げ易いものであるが,同時に,東京の昌平小学校から「女の子はなんで祇園祭の神輿をかつげないの?」「神田祭ならかつげるよ。」と教えられて気がついたように,人権面から見ると不合理な側面も垣間見られる部分もあるので,地域の実態を踏まえて慎重に扱い,今後個別学習の中などで人権面からの追求もしながら人権感覚と不合理を見抜く力も養っていきたいと考えている。
最後に地域の協力を得て,郷土愛と自尊感情を育てる学習を実践的態度として定着させるように展開していくためには,今後さらに一層家庭や地域との継続的な連携や取り組みを進め,心の内面に深く迫っていくことが重要である。まさにその活動こそが,これからの「みんなでつくる開かれた学校」として地域に愛され,地域とともにこども達を育てていく取り組みを進めていく上で重要な課題でもあると考えている。

資料1:祇園祭こども図鑑(学習を終えて)より児童感想抜粋
<児童A>
 ぼくは,この町に生まれてよかったと思います。なぜかというと近くに祇園祭というすばらしい祭りがあるからです。ぼくは,近くにある祇園祭のことを調べて,みんなに祇園祭のことをじまんしたいと思いました。総合的な学習で,神輿について調べるまで「地元の祭りなのにぜんぜん神輿のことしらんわぁ。」とおもっていました。でも,アンケート配ったり,八坂神社までいって嶋田さんに,話を聞いたりしているうちになるほどと感心する話がいっぱい聞けました。そして,次は,神輿会の人に質問をしました。ぼくは,「四わか神輿のじまんは何ですか。」と,質問しました。すると,四わかのかつぎかたは,「がっちゃんがっちゃん」と,音をさせてかつぐのではなくて,「させ」というきれいにまわれるかつぎかたが,じまんだそうです。一回僕らが作った神輿を使って「させまわせ」をしました。するとすぐ手がしんどくなりました。ほんまの神輿は,僕たちが作ったみこしよりもおもいのに「よくさせができるなあ。すごいなあ。」と思いました。そして質問を途中までして時間が来て終わってしまいました。だから,また来てくれました。そのときハッピや鉢巻をして気持ちよかったです。ぼくは,去年まで神輿を担いでいなかったけど,今年からみこしをかつぎました。質問がいっぱいあったので時間が長かったです。でもなぜかいつもやったらしんどくなるけど神輿会の話を聴いていたら全然しんどくなかったです。ぼくは,興味を持って面白そうだなあと話を聞いていたからしんどくなかったのだと思います。来年も僕らのじまんの神輿を担ぎたいです。そしてこの町の宝物にしたいです。
<児童B>
 総合学習が始まって楽しかったのは,神輿について聞いたことです。神輿のことは,いろいろしっている所もあったけどわからないことや,聞きたいこともありました。それがいっぱいわかってよかったです。鉾は,くぎを1本も使わずに,たてることや,神輿がそのまま,保管してあるとゆうことなど,わからへんかったけど,わかりました。心に残ったのは,鉾に乗ったことです。テレビにうつるときいたときは,とてもびっくりしました。とてもきんちょうしました。とくに楽しかったのはテレビ会議です。高倉小学校のN君が,祇園祭の鉾の上でたたく鐘をたたいてくれた所です。わたしも「本当に鐘をたたいてみたいなあ,できたらいいなぁ。」と思っていたら,次の日,実際に鐘をたたかしてもらうことができました。よかったです。みんな,はじめてやったのに,うまくできました。神輿のことは,よく,しっていたけど,鉾のことは,ぜんぜんわからなかったので,わかってよかったです。でもやっぱり私は,鉾より神輿の方が盛り上がって元気がいいから好きです。地元に神輿があっていろんなことがわかって自慢できるぐらいになったとおもいます。2学期には,日本三大祭こどもネットワークとして東京の祭,大阪の祭の小学校の人と交流したり都道府県の祭を調べたりしてたのしかったです。祇園祭,鉾や神輿のはじまりは,伝染病が,はやって,それをやくよけするためにはじまったお祭だといわれています。この祭りは長い間伝統をうけついでうけついでやっとここまで続いているお祭だからもっともっと大切にしたいと思います。来年も,さらいねんも,死ぬまでやってほしいです。私は,地元の祭としてもっともっとよくしって,すごい自慢にできるようになりたいです。そういうふうに,これからも,祇園祭のことについて取り組んでいきたいと思います。

協力者および協力団体:八坂神社宮司,東御座神輿保存会(倉冨寅一,津田幹夫),南観音山保存会,京都市立高倉小学校児童,東京都千代田区立昌平小学校,大阪市立滝川小学校
           有済小学校の地域のみなさん

本実践の成果を閲覧できる方法:祇園祭こども図鑑
http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/yuusai-s/99/4nen/4gionmatsuri/zukannhyousi.htm

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