「教員の評価に関する調査研究協力者会議」(第4回)議事要旨
1 日 時:平成15年12月10日(水) 18:00〜20:00
2 場 所:総合教育センター
3 出席委員
堀内 孜委員長,土井廣明委員,田井三智子委員,藤村法子委員,長者善高委員,
北村裕二委員,濱中直志委員
4 進 行
(1)傍聴の許可について
0月5名の傍聴希望者を受け付け,定員(10名)内であったので,受け付けた5名全員の傍聴を認めた。
(2)第3回会議議事要旨について
10月9日の第3回会議の議事要旨を確認
(3)新たな教員評価システム実施に向けての論点項目整理について
事務局から説明
(資料「新たな教員評価システム実施に向けての論点項目整理について」)参照
(4)自己申告制度について
事務局から説明
(資料「新たな教員評価システムにおける自己申告制度について」)参照
(5)討議
5 討議内容
【現状と課題】
(1)教員評価の必要性
○ 教員評価については,教員の資質能力を高め,教育力を高めていくことが一番の中心であるが,併せて,人事考課の面についても考えていくべき側面である。
@ 教員の自主的努力に任せるだけでなく,学校組織として教員の意欲・能力を引き出し,向上させるシステムとしての教員評価
○ 学校評価と教員評価は別々のものではない。評価の全体像を作るうえで,学校評価のコアの部分が教員評価であるという捉え方をしなければならない。
○ 保護者が教員評価の細部にまでかかわっていく必要はないのではないか。保護者は学校評価にきちんとかかわり,そのうえで,学校長は,教員に対する人事考課を行って,学校経営に結び付ける必要がある。
○ 保護者の学校運営への参画についての教育学者の理論としては,親の参加を進めるべきという従来型の理論と,参加すべきでなく,「評価する他者」であるべきという理論が2分化している。評価者としての親のかかわり方というのはPTA・評議員を含めて大きな検討課題である。
A 市民に対する説明責任
○ 教員評価に直接かかわるとまでいかないにしても,そのようなことをしたいという保護者のニーズは高いと感じている。マイナス面をら列して教員を萎縮させてしまうようではいけないが,我々がきちっとやっているということを市民に対して前面にしっかり出していかなければならない。しかし,残念なことに,教員自身はそうした市民のニーズを感じ取っていない。教員の意識と保護者の意識にずれを感じる。学校側が自発的に説明責任を果たす土壌を作り上げていかなくてならないと責任を感じている。
○ 単に学校に教師がいて,我が子がいるというシチュエーションではなく,学級や学年の枠組のなかで,学校教育が進められているという仕組みを親に理解してもらう必要がある。
(2)現行勤務評定制度の問題点
○ 現行の勤務評定制度は形骸化している。指導力不足教員対策をはじめ,様々な教員の問題に対するシステムとしての対応に照準を合わせたとき,現行勤務評定制度を手直しした程度では役に立たない。
○ 国の答申等においても,新しい評価システムは必要だとするが,現行制度について具体的な問題点を明示していない。教員評価を,全体の評価システム(「教育の評価システム」,「学校評価システム」)のなかでどう位置づけるかという視点が必要である。
「これまでの問題の整理・総括」と「教育全体の新しい評価システムの中の教員評価」という2つの視点を明確にすることが必要である。
(3)国等の動き
○ 背景的な問題ではあるが,政府の三位一体の改革も,徐々に具体化されてきている。公務員制度の抜本的改革,補助金見直しのなかでの総額裁量制の話などという形で動き始めており,評価の問題も,少し大きな枠組みで今後の様々な制度に対応できるようなスタンスを取ることも必要である。
【これからの教員評価のあり方】
(1)能力開発・人材育成に資する制度の導入が必要
○ 他府県の議論を見ていても,教員の資質・能力を高めるというコアの部分と,正に人事考課に反映させるという部分があり,これは車軸の両輪であるという意識を明確に打ち出していると思う。後者の部分を隠してしまうと現行勤務評定の二の舞になる。この点は,今後,教員組合等の意見を聞く機会があると思うが,30年前50年前と今の教員の意識は違うと思う。特に若い教員のなかでは,本当に客観的に評価できるのであれば処遇に反映させるべきだという意見もある。2つの軸を明確に位置付けることを前提にすべきである。
(2)自己申告制度の導入
○ 自己目標の設定については,先行自治体のサンプルを見ているときれいごとすぎないか。年度初めすぐの目標は決意表明にしかならないのではないか。
○ 管理職と充分な話込みをすれば結構具体的な目標は出てくると思う。
○ 担任の場合,クラスの様子をある程度見てからでないと,具体的な目標は作れないかもしれない。
○ 前年度の反省点を踏まえた具体的な目標設定をしないと意味がない。もうひと工夫必要である。結果を先読みして自己申告書を作成する教員も出てくるだろう。
○ 目標設定については,個々の教員がバラバラに目標を設定するというより管理職の思いを生かすべきである。教員の力量などにも踏み込んだ上で,1年なり3年なりのスパンのなかで,学校を改善しようとするのが,生きた意味での学校経営目標である。それが教職員全員の共通の目標になっていないといけない。それがないと,1年間全員で頑張りましょうで終わってしまうのではないか。ポジションごとに,学校経営目標の達成のために管理職が期待するものがあり,個々の教員がその期待に応える取組を目標とすることが必要である。
【今後の検討課題】
(1)客観性・公平性の確保
@ 評価方法・評価基準
○ 学校の課題は異なるというという状況の中で,(個々の学校における学校教育目標達成のために)学校長が個々の教員にかける期待と教員の自己認識がずれないように職務を標準化したものを提示する必要がある。
○ 管理職の評価の点での力量に疑問を持っている教員もいるであろうし,管理職の立場からも何らかの評価基準がないと評価しづらい。校種・学校規模・職責など一定の条件を設定して,学習指導・生徒指導・校務分掌などの職務遂行上の標準があることで,被評価者は評価結果を確かめやすくなる。いくつかの学校パターンに分類したうえで職務の標準化ができるのかどうかが鍵である。
・時間外の取組の評価 加点評価として
○ 勤務時間外での部活動指導や生徒指導での頑張りを評価した結果が給与に反映されなければならない。そのためにも給与体系と関連付けた加点主義と考えないと意味がない。
A 評価者としての校長・教頭
・評価者研修
○ 校長の力量として,教員を「正しく評価できる力」が必要である。学校長自身も評価されていることも理解していながら,教員を評価していく必要がある。
○ 評価者研修の蓄積がある民間企業の研修内容を活用することも考えられるのではないか。
・「評価者会議」での調整
○ 前回の会議で民間企業における「評価者会議」の話があったが,例えば校長会の支部のブロックごとくらいで持ち寄り,評価のデコボコを調整するような評価者会議を設置し,客観性・公平性の確保の一つの方法にできれば,画期的な取組になるのではないか。
○ 学校長―教頭―主任というような縦のラインだけでなく,「評価者会議」という形で横に広げることで客観性の観点から被評価者にとっても安心材料となる。
○ 評価者会議などを実のあるものとして運営していくためには,学校長の他の職務について負担軽減(職務内容に対する選択と集中)を図り,学校長がじっくりと学校にいて教員の授業を見る必要がある。そうでなければ,教員評価の客観性に疑問が生じ,教員に不満が残る。
○ 大規模校で教員全員を年2〜3回面接しようとすると大変だろうが,評価者も教員と直接会って面談しないことには評価に不安が残るであろう。評価者研修や評価者会議など評価の精度を保障する条件整備がないと,勤務評定制度の二の舞になってしまう危険性がある。
B 本人開示・苦情処理制度
[先行自治体の状況をみれば,導入済みの自治体もあれば,苦情処理制度導入を前提に,評価システムが成熟するのを待ってから導入するという自治体もある。](事務局説明)
(2)評価の活用
○ 手間ひまかけて評価制度を作っても,活用が限られたものとなってはもったいない。そうなると,資質向上のためだけでなく,人事考課という側面が必要である。
○ 指導力不足教員対策についても,既に,一定の枠組みができて動いていることを前提に考えていくべきである。
・人事
○ 最終的に給与に結びつかなければ,意味がないと思う。例えば時間外勤務の話が出ていたが,それも含めた評価が賞与の面でも活用されるのが本来の姿だと思う。
また,自己のマイナス面についても教員にしっかりと理解させ,研修などにつなげていくことがあって然るべきである。
・給与への反映
○ 給与に反映させる方向で検討すべきであるし,反映させる以上は,納得できるシステムでなければならない。
(3)対象職種
教諭以外の府費負担及び高校の府並教職員(養護教諭,実習助手,栄養職員,事務職員)への適用
○ 制度としてこうした職種について除外するというのはおかしいが,各所属に1名程度しか配置されていないので,相対評価は難しい。特に新任の校長の場合にはなおさら難しいだろう。
(4)京都市の教育の取組状況を踏まえた教員評価
・教職員研修計画表
[自己申告制度については,研修制度のなかで先行して実施している部分があり,教員評価に自己申告制度を取り入れる場合には,整合性のとれた形にしたい。](事務局説明)
6 今後の進行
(1)「中間まとめ」の作成
年度内を目途に堀内委員長と事務局において「中間まとめ(案)」を示し,第5回会議に諮り,検討する。
(2)関係諸団体からの意見聴取・パブリックコメント募集
「中間まとめ」の作成以降,実施を検討