大杉太鼓
 
 
江戸後期の天保年間に飢えのため疫病が流行し、多くの人が病に倒れるのを見かねた村人が、長老の命を受け、八坂神社に参拝した。祇園の八坂神社の御分社である右京区京北井崎町の八坂神社にお札を納め祈願したもので、その折り太鼓を打ち鳴らし、疫病退散を祈ったのが、京北大杉太鼓の始めとされている。
現在の京北大杉太鼓保存会は、平成2年、町おこしに貢献することを目的に、地元住民の有志で結成され、同好会として発足した。毎年、八坂神社に疫病退散・転禍招福・息災延命を祈願して太鼓を奉納し、今や祇園祭宵山の名物行事となるなど、当地域の伝統文化を継承する団体として活躍されている。
本校では、職員(当時)が同保存会のメンバーであったことをきっかけに、生徒会の役員、有志あわせて15〜20名の3年生が数週間の練習を経て、文化祭や地域の祭礼で演技発表をしている。文化祭では同保存会の皆さんにも迫力ある太鼓演技を披露していただき、行事を盛り上げていただいている。生徒にとっても、感嘆の声をあげる等、地域の伝統文化にじかに触れる良い機会となっている。本校でこの取組を行うようになって約10年が経過しているが、ここ数年は、活動に参加した生徒が、卒業後も同保存会の活動に参加するなど、伝統文化の継承に一役買う取組となっている。
毎年の恒例になっているが、生徒にとっては、いい経験の場になっていると感じている。また全校生徒にとっても、地域の文化に触れる機会が文化祭で持てるのは、意義が大きいと感じる。今後は、地域文化の良さを知ることに加えて、郷土の歴史や文化に誇りを持ち、それを継承していこうとする意欲や態度を育成していくことができれば、と思う。