参考資料A 都道府県教育長協議会事務次官行政説明メモ(H13,1,24)
3,新しい学習指導要領が目指す学力について
「ゆとり」や子どもたちの自主性を強調するあまり、基礎的な学習が軽視されたり、「総合的な学習の時間」が学習活動ではなく「遊びの時間」として受け取られているなど、新しい学習指導要領の考え方を誤解した取り扱いが一部になされているのではないか等の指摘もなされております。
「ゆとり」は「ゆるみ」ではありません。教育内容を厳選することにより、教える側にも、学ぶ児童・生徒の側にも、時間的・精神的なゆとりが生まれます。これを用いて、個別指導やグループ別指導、ティームティーチングなど個に応じたきめ細かな指導を十分に行うことができます。これにより、学習指導要領に示す基礎・基本の確実な定着が図られます。また、観察・実験・調査・研究、発表・討論など、時間を要する体験的・問題解決的な学習に積極的に取り組むことができ、これらを通じて、思考力や判断力、表現力が育成されます。
このように、新しい学習指導要領は、知識や技能だけでなく、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などまで含めて学力ととらえ、こうした学力を児童・生徒にしっかりと身に付けさせ、その向上を図るものとして構成されている。
4,総合的な学習の時間について
「総合的な学習の時間」は、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、問題を解決する力などを身に付けさせること、また、情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方を身に付けさせることをねらいとしています。
これらの資質や能力、態度は、各教科の学習を通じても育成されるものですが、学校で学ぶ知識等を実感をもって理解する機会が減少している現状において、そのような機会を意図的・計画的に設けることにより、各教科等で学ぶ知識や技能を体験的な活動の中で実感をもって理解し、実生活において生かされ総合的に働くようにすることが「総合的な学習の時間」を設けるねらいであります。
したがって、「総合的な学習の時間」については、「遊びの時間」とするのは論外としても、ただ単に何らかの体験をするだけでは不十分であり、学習の中で自ら課題を見つける力、問題を解決する力を身に付けさせることが必要です。このため、昨年12月の教育課程審議会答申でも、総合的な学習の時間においても、児童・生徒の評価を行うことについて提言しております。
総合的な学習の時間は各教科等の時間と切り離して考えるものではなく、各教科等で学んだ知識や技能を自らのものとし、その後の各教科等の学習を深める観点からも重要な意義を有するものであります。総合的な学習の時間と各教科等の指導の有機的な連携にさらに意を用いていただきたい。