(1)教育になぜ評価が必要なのか。
教育活動には目標,計画(カリキュラム)があって,その目標・計画に合わせた活動・実践があります。そして,その活動・実践が目標・計画どおりに進んだか,成果が上がったか,まずかった点はなかったかなどを評価して,次の目標・計画を設定する。このような一連の流れがあって,はじめて教育活動は成立します。したがって,本来の評価とは次の計画や指導に生かすためになくてはならない活動なのです。
ところが,従来評価というのは,学期や学年の終了時に通知票という形で生徒本人や保護者に学習の結果を,集団での位置(5段階評定)として示すものと考えられてきました。
このような考え方からすると,評価は最終判定であり,生徒一人ひとりをランク付けする測定とみなされます。しかし,評価が生徒を序列化してしまうような「評価=測定」でよいのかという疑念は,教育者ならだれもが感じていることです。
教師の本来的な思いとしては,すべての生徒に学習内容をすべて習得してほしいという願いを持っています。そのために,学習の途中で小刻みに診断し,まずいところをその都度克服していく。そして,すべての生徒が最終的には学習内容をおおよそ習得していける。このような指導と評価の活動こそ,教師が望む教育的な営みです。そのような学習過程における評価のあり方を,「形成的評価」=「指導と評価の一体化」といいます。