音羽の自然と歴史その22

【第22回】目を閉じれば小さい頃のどんな風景が心の中に浮かんできますか?

「なつかしい風景」

 小学校高学年になったみなさんは小さい頃の思い出で,どんな風景が心の中に浮かんでくるでしょうか。私たちの住んでいる音羽・四ノ宮の豊かな自然や地域の生活を思い浮かべてくれるでしょうか?
 11月15日(土)に音羽小PTA主催の「わがまちたんけんええとこええもんみつけ隊」の行事がありました。集合は四ノ宮地蔵の徳林庵です。お寺のご住職が子ども達のために,<四ノ宮地蔵井戸手水所>のポンプの水が出るようにしてくださいました。小さい子ども達は大喜びで,さっそく水を出して喜んでいました。手をかざしてみて「ぬるい」ことから地下水であることがわかり,昔は往来の牛馬に水を与えるところだったことがわかりました。この井戸には「定飛脚宰領(さいりょう)中文政四年巳年六月吉日」と刻まれています。「宰領」とは,荷物の運搬や旅行者の取り締まり者のことです。江戸時代,東海道を往来した旅人や飛脚は徳林庵境内の井戸付近で休憩したといいます。手水所には日本通運株式会社(日通)のロゴとなった丸に通の字が刻印されています。徳林庵と飛脚との関係は,1813(文化10)年1月,京都=江戸の定飛脚問屋・宰領から茶釜が寄進され,1821(文政4)年6月,馬のための井戸が掘られたことに始まるといいます。この手水所の瓦や井戸わくにきざまれた「通」の字は,「継(つぎ)飛脚」ではない「通し飛脚」として,また天下の「通行御免」を得て往来する飛脚仲間の誇りのしるしであったといことです。こんな所で遊べるのも,大切な「思い出の風景」の一つになりそうです。

(記事 S.A)