音羽の自然と歴史その20

【第20回】 知ればナットク,地域の不思議。

重箱ダム から疏水公園間の不思議な建造物

 一燈園入口から疏水沿い を通って疏水公園に行く途 中に左写真のような不思議 な建造物があるのを知って いるでしょうか。疏水流れの北側にあり,ちょっと 目立ちにくいものですが, 底辺の内径が約4m,内部 の高さが約2mのアーチ状 をしたコンクリート製のも のです。
 これは,第二疏水建設の時に使われたものです。第二疏水は今から100年前 の明治41年(1908)6月に工事が始まり,明治45年(1912)4月に完成をしています。全線が暗渠(あんきょ=トンネル)の中を水が通っていて,主に水道 用に水を供給しています。第二疏水を通った水は,日ノ岡という所で取水され,これもまたトンネルで西野山にある「山科浄水場」に運ばれ,そこできれいにさ れて私たちの家庭に水道として送られています。 このアーチ状をしたコンクリート製の建造物は,第二疏水をつくる際に,諸羽 山周辺は坂が急でトンネルも掘りにくい所だったので,この地域は地面に穴を掘って,下半分をU字型アーチ状にコンクリートで固め,上半分を写真のような逆 U字型のアーチ形のものを鉄骨を入れてつくり,それをかぶせて,さらに土を埋 めて地下水路(トンネル)にしたということです。それで,この不思議な構造物の名前は,「埋立水路・天井部構造物」と呼ばれ ているようですが,正式な名前なのかどうか,詳しくはわかりません。 ただ,ここに展示されているものは,実際に使われたものではなくて,作業を する人たちの技術を高めるために,「練習用」としてつくられたために,工事の後もこうして展示されるようになったということです。

 

(記事 S.A)