音羽の自然と歴史その19

【第19回】 牛尾山で撮影された「ミドリセンチコガネ」この地でしかいない稀少種。  

左の写真は牛尾山で撮影さ れた「ミドリセンチコガネ」 という希少種です。「理科教 室12号」でもとりあげまし たが,「フンコロガシ」の仲 間で,牛尾山にいるので,別 名「ウシオセンチ」とも呼び, 音羽山や滋賀県南部にしか生 息していないと言われていま す。
緑色に輝く背はたいへん美 しいものですが,今,環境破 壊で絶滅が心配されています。この虫については,「エコランド音羽の杜(もり)」 (京都市東部山間埋立処分地)が建設された時期に,詳しい調査が行われていま す。「ミドリセンチコガネ生態調査報告書」(1980)によりますと,
@ミドリセンチコガネが音羽山地域に集中して生息していることは確実。
A新成虫があらわれるのは夏。個体数がいちばん増えるのは8月〜9月。11月  になると越冬のためほとんど観察できない。翌年の6〜7月頃に産卵する。
B食べ物は,ウシ・ヒト・イヌの糞(ふん)。また音羽山地域に生息していると  考えられるイノシシ・シカ・イタチ・ウサギなどの糞にも集まる。
Cミドリセンチコガネは,地上に近い高さを飛ぶために,埋め立てダムなどの高  い壁などを越えることができない。そのために生息地が分断されることが心配。
D生息地が音羽山などに限られていることは,自然の「局地的要素」に依存して  (=音羽山の自然でしか生きられないで)いる。だから他の地域に移しても定  着はしないだろう。  そして,「ミドリセンチコガネなどの希少種が絶滅しないためにも,音羽山の 自然を大切に守ることが大切だ」と結論づけています。


 

(記事 S.A)