音羽の自然と歴史その17

蓮如上人「御指図の井」(おさしずのいど)

 500年を経て今なお音羽に残る蓮如上人「御指図の井」(おさしずのいど)音羽川小学校の少し北側(音羽乙出町)に「御指図の井」(おさしずのいど)というのがあります。この井戸には次のような伝承があります。昔,音羽の里に,行基(ぎょうき)というお坊さんが諸国行脚(あんぎゃ)の時に立ち寄られ,里の女の人に水を求められたのですが,その女の人はお坊さんの身なりを見て,ばかにして水をさし上げなかったので,それ以後,この音羽の里では井戸水がでなくなったということです。その後,室町時代に蓮如上人が「山科本願寺」を建て,この音羽に隠居所として「南殿」が設けられました。しかし,井戸を掘らせたのですが,当初は水がでませんでした。そこで,地元の人からこの伝説を聞いた蓮如上人は,弟子をつれて,この井戸の所まで来て,畳を敷かせて座り,自らの杖(つえ)で指図したところを人々が掘ってみると,清水が湧き出たと言われています。これが今に残る「御指図の井」です。「それ以来,現在にいたるまでいかなるひでりが続いても,この井戸の涸れたことはありません。」(音羽川学区誕生十周年記念誌『音羽川』)と言われています。このお話にあるように,音羽地域は昔から水不足に悩まされていて,そのために溜池(ためいけ)も作られました。最大の池は「音羽池」と言いましたが,現在は埋め立てられて,その地に音羽病院が建っています。)

(記事 S.A)