西野小 にわとり物語


西野小学校には全校児童にかわいがられるにわとりがいます。
ひよこのときから手塩にかけて育てられた鶏は,人の言葉も感情も理解しているかのように反応します。
他校に赴任後も,土日には必ず世話をしに来られるH先生に原稿を依頼しました。
                                       平成1825
 
             人になつくコケ松(H18.1)         弱っていてコタツで温められた頃のコケ松(H15,2)

                      「ようなついてますなぁ。」
                                          西野校は,今,耐震工事をしています。その工事車両の
        安全警備の人が言いました。
                                          「朝,来たらダダダッとよってきますんや。こうやってよ
               ってくれると鶏というても
                                           かわいいもんですなぁ。鶏が人になつくとは知りませんで
  したわ。」
                                           土曜日に餌をやりにいった時にそういって話しかけられま
した。
                                           私は,去年の春に移動したのですが,土曜日と日曜日は
                   出先のついでに寄っています。
                                          「コケ松!」と声をかけるとバタバタと小屋の中を走り回
                                     ります。抱っこしてやるととてもうれしそうです。
                                             校長先生は,「鶏の記憶は いつまであるのかなぁ。」
                                           と言っておられましたが,どうも今でも元飼育担当の私を
                                           覚えているように思えるのです。(かいかぶりでしょうか?
                                       コケ松達が西野校に来てこの2月で丸4年。寒い2月の
                                           頃でした。それまで長いこと西野校にいた孔雀の「ジャッ
                   クン」が死んでしまいました。
                                         当時の飼育委員の子ども達がどうしても何か動物を飼い
                                           たいといいました。その時の飼育担当の先生が科学センタ
                                           ーから生まれたばかりのヒヨコもらってきたのでした。
                                           その日は,2月のとても寒い日で,もらってきた5羽の
                                         うち2羽は寒さのせいか死にかけていました。ヒヨコ2
                                           を見ながら「今晩中に死ぬやろなぁ・・・ホーム炬燵の中
                                           にでもいれんとなぁ。」・・・ということで弱った2羽を
                                丈夫になるまで世話するはめになりました。
                                            10日間ほどしてすっかり元気になったので学校の飼育
         小屋にいれました。
                                           しばらくして気づいたのですが,他の3羽とこの2羽は,ど
                                           ことなくちがっているように感じました。この2羽はひとな
        つっこいのです。
                                            雌鳥3羽も去年までは,毎日たまごを産んで学校の子どもた
                                           ちに配ることができました。コケ松は,やはり雄鶏なので勇
                          ましく子どもたちには手が出せません。
                                         しかし,世話をしてもらう人にはおとなしいのです。私な
                                           ど去年の春に移動したにもかかわらず,まだ覚えているようで,
                行くとついて歩くのです。
                           警備の人にこんな話をしていました。
                                          「やっぱり生きもんは,子どものときにせいだいかわいがら
                                           んとあきませんなぁ。しかし,りっぱなにわとりですなぁ。
                                           きれいですなぁ。かしこいですなぁ。」と3連発でほめても
                                           らうと心なしか『オレッて,カッコええやろう。』的な表情
                                           をするのです。最後にその人は,「午前中,悲しそうな声を
                                           出して鳴きますのや。餌がほしいのかと思て気になってまし
たんや。」
              アー,そんなことを言われると
                                                        また来週も来なくっちゃ・・・




昨秋雛から育てた,クー,プリン,ショコラ,エクレアの4羽が毎日卵を産みます。
 



平成15年秋 左から 茶子,ココ,ピー子,コケ松
  

 


下記の作品は,平成1511月のホームページに載せた作品の一部です。