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■ SGHの取り組み           (英語版)

1.研究開発概要

<研究開発構想名>
「しなやかさ」と「したたかさ」を備えた青年の育成

<構想概要>
 世界に存在する多様な文化・習慣・歴史などを理解し,これらを踏まえて求められる文脈に応じた事物の価値を見出し,提示できるリーダーの育成に関する研究開発を行う。
 関心の高い社会課題の設定と解決に必要な教養の獲得に関する指導方法と,多様な実践機会を通して教養を活用する能力の習得に関する指導方法を研究開発の対象とする。

<研究開発する指導法>
1:柔軟な態度の基本となる多角的・複合的・相対的な視点を獲得させる指導法の開発・実践・評価
1−1: 自分や自分が所属する集団と異なる主張や価値観を有する人・集団に対して排他的・閉鎖的にならず,勘案・理解・受容できる能力を育成するための指導法
1−2: 既存の技術の適応範囲や文化的背景にとらわれず,応用しようとする発想や,目利き(相互に影響を及ぼす価値,良否・真贋を見分ける際のもととなる価値,適切な価値などを見出すこと)ができる能力を育成するための指導法

2:粘り強く対話・討議・交渉できる力を育成するための指導法の開発・実践・評価
2−1: 相手との文化・価値観・知識の相違から生ずる摩擦・衝突・感情的不快・苛立ちがあるにもかかわらず,自分の感情,考え,反応を適切にコントロールしながら意思疎通を図ろうとする態度を育成するための指導法
2−2: 二極化・単純化された主張からいずれかを選択したり,既出の意見に同意・反対したりするだけでなく,それらを発展的にかつ高い次元で統合・止揚したり,新しい価値を創造したり,また,相互が利益を享受できる関係を築いていこうとするための努力を続ける力を育成するための指導法


2.取り組みの内容

1.ゼミ形式による現実的な問題・課題の解決に関する指導
 本校で実施している「探究基礎」におけるゼミ(少人数講座)で扱う課題研究において,観光に関する研究,経済活動とその意義・倫理に関する研究,素朴な技術を応用し課題を解決する手法の研究を行うゼミといった現実的な問題・課題を解決することを目的とした少人数講座を展開する。

2.国際的社会課題の解決に資する研究・実践の推進と指導
 「探究基礎」のゼミを超えて,新たに設定した課題に対する解決への取り組みや研究を実践する。生徒個人またはグループが,研究分野のまたがる生徒で討議し,実際の国際的課題の解決を目指すプロジェクト(以下,Gプロジェクト)に関する立案を行い,必要な支援・指導を受けながら継続的に実現へ向けた取り組みを進める。

3.「グローバル化と地域の変化」を研究する海外研修の実施
 学年全体の取り組みとして,特定の国(地域)への海外研修を生徒代表の「海外研修委員」を中心に実施している。生徒は海外での活動を実現可能な範囲内で計画立案し,実際に活動することができるようにするための基本的な「型」を学び,今後の自分自身に必要となる能力や態度に気づく場と位置付け,一学年全体で共通の課題研究を実施する。

4.科目「世界史A」の学習内容に関する検討
 1年次に設置されている「世界史A」の学習内容や学習方法について,本校が目指すグローバル・リーダー育成に特に必要かつ有効と考えられる教育活動の充実を目指す。
 本校生徒全員に対し,1年次からグローバル・リーダーに必要な視点や観点からの世界史学習を,具体例を用いて取り組ませることを通じて,多様な価値観の存在する環境への順応力を伸長させるとともに,現実世界の諸問題に対する早期からの興味関心の創出や,問題意識の向上を図ることができる。

5.意思疎通能力の向上に向けた取り組みの検討と実施
 日本語及び英語によるプレゼンテーションやディスカッション,ディベートなどの学習活動を通じて,対話・討議する力の向上を目指す。即興性を鍛える言語活動を取り入れることで,人前で臨機応変に対処することに慣れ,論理性を重視する言語である英語での活動を取り入れることで論理的思考力が高まり,さらに言語運用能力も向上することが予想される。

6.世界各都市の人々と国際的社会課題に関する対話・討議を行う機会の検討と実施
 本校が所在する京都市が提携する,世界の姉妹都市の高校生とともに,国際会議を実施する。会議の議案採択から開催時期,方法の検討,計画を生徒主体で進めさせ,本校で生徒が研究を進めてきた観光・商業倫理・応用科学・グローバル社会に求められる能力などに関するシンポジウムを実施する。


3.研究開発の実施規模

1. ゼミ形式による現実的な問題・課題の解決に関する指導
⇒本校における「総合的な学習の時間」を履修する第1学年,第2学年全員を対象とする。
 
2. 国際的社会課題の解決に資する研究・実践の推進と指導
3. 「グローバル化と地域の変化」を研究する海外研修の実施
4. 科目「世界史A」の学習内容に関する検討
⇒いずれも第1学年全員を対象とする。
 
5. 意思疎通能力の向上に向けた取り組みの検討と実施
6. 世界各都市の人々と国際的社会課題に関する対話・討議を行う機会の検討と実施
⇒全校生徒を対象とする。


4.平成26年度の研究開発の内容

1.現実的な問題・課題の解決に関する実用・応用研究を行うゼミの開講
 既存の「探究基礎」の内容に「観光」「商業倫理」の内容を組み込んだ。また,外部講師を招聘し,生徒の探究意欲の向上に取り組んだ。

2.国際的社会課題の解決に資する研究・実践
 SGU指定校と連携し,「国際会議運営プロジェクト」を立ち上げる公募募集を行った。

3.グローバル化と地域の変化を研究する海外研修
 生徒は海外研修先に関する事前学習を行い,探究するテーマを確定した。また,招聘した外部講師から,課題設定の視野を広げ,渡航前に研究イメージを具体化することができた。

4.科目「世界史A」の学習内容に関する検討
 現代的課題の中から基本的なもの,本質的なものを精選,重点化し,十分な時間をかけて深く探究する機会を複数持てる指導計画を立案した。必要に応じたグループワークが取り入れられ,ICTを利用した形式を検討した。

5.意思疎通能力の向上に向けた取り組みの検討と実施
 パーラメンタリーディベートを導入した授業を行った。また,「JA Travel and Tourism Business Program(TTBiz)2014−高校生による旅行ビジネスプラン国際大会―」に生徒が参加し,外国人向けの日本旅行プランの企画立案を行った。

6.生徒とともに作成するルーブリックに関する研究
 一連の指導法の効果を検証する手法を確立するため,生徒主体の取り組みにおけるルーブリック作成について,活動の評価項目や運用に関する検討を行った。


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