パネルディスカッション

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コーディネータ 学校代表 野々村信子(教務主任) パネリスト 学校代表 西村 尚子(研究主任) パネリスト 学校代表 尾瀬 一郎(学力定着向上委員長) パネリスト 保護者代表 池内 和代(学校運営協議会・理事) パネリスト 地域代表 山下 三恵(童話作家・図書館ボランティア) |
野々村信子教諭
皆様こんにちは、学校運営協議会主催の「教
育実践報告会」に多数ご出席いただき有難うございます。本日は、「地域ぐるみで取り組む子どもの確かな学びと育ち」をテーマにパネルディスカッションを行いたいと存じます。
コーディネータを勤めさせていただきます本校教務主任の野々村です。
先ずはじめに、パネリストの紹介をしたいと思います。向かって左から学校側を代表して、本校研究主任の西村尚子教諭です。同じく学力向上委員長であり、少人数教育を担当しています尾瀬一郎教諭です。つづいて、保護者を代表して、もとPTA本部役員で、現在学校運営協議会の理事をつとめていただいています池内和代さんです。最後に、地域を代表して学校図書館ボランティアをしていただいています山下三恵さんです。山下さんは、ご自身の作品「ジ、ジ きみと歩いた。」が「小川未明文学賞」を受賞されるなど童話作家としてもご活躍されています。
さて、本校では、昨年度から経済産業省の「地域自律。民間活用型キャリア教育プロジェクト事業」の指定を受け、児童が、将来社会に出た時に、自分の夢や願いを社会や仲間から認められる形で、自己実現できる力を身につけられるように支援する「キャリア教育」を積極的に進めています。児童が、社会に出た時に必要な「豊かに生きる力」の基盤となる「学力の基礎・基本の保障」と「豊かな人間関係づくり」と、それらの基盤となる「基本的な生活習慣の育成」を中心にキャリア教育を進めています。
本校のキャリア教育では、次のことをねらいとして、全学年で、社会科や道徳や総合的な学習などさまざまな教科・領域の中で進めています。
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キャリア教育のねらい 《共生と自立を柱とする5つの領域と17の力》 @ 人とともに生きる力(人間関係形成力) ・自己と他者を理解する力 ・コミュニケーションを豊かにする力 ・世界に視野を広げる力 A 社会でともに生きる力(社会参画能力) ・地域とともに生きる力 ・集団に適応しともに生きる力 ・家族とともに生きる力 B よりよく判断する力(意思決定能力) ・自らの意思と責任で判断する力 ・自らが考え選択する力 ・自ら課題を見つけ解決する力 C 情報を集め活用する力(情報決定能力) ・情報を収集し探究する力 ・職業について理解する力 ・情報技術を活用する力 D 自己の夢を作り上げる力(自己理解・将来設計能力) ・自分社会的役割を認識する力 ・計画を実行し実行する力 ・心理的な自己自立を図る力 ・社会的な自己自立を図る力 ・意欲的に学ぼうとする力 |
とりわけ、高学年では、5年の「有栖川探検隊」や6年の「広沢歴史探検隊」では、
「総合的な学習」の中で調べた自然や歴史について、「みやビジョン」NPO「京都の文化を映像に残す会」「FM京都」のご協力によりラジオやテレビ番組を作り、発信するという学習を通して、実際の企業での「キャリア体験」をしています。
本校のキャリア教育の中心となる「学力の基礎・基本」を保障する取組では、3
年前から「学力向上定着委員会」を立ち上げ、本校独自の「学力向上プラン」を作成
し、「朝読書」「広沢漢字検定」「計算力向上プログラム」などを行い、学力の定
着・向上に取り組んでいます。その中でも、一番力を入れているのは、普通授
業における「楽しく、分かりやすい授業」をめざした授業改善です。
また、本校では、今年から文部科学省のコミュニティスクールの指定を受け、地
域、保護者が学校運営や教育活動に積極的に参加していただく学校運営協議会
の教育を作り上げていこうとしています。立場の異なる者が,ともに教育を作
り上げ、改善を図っていくためには、教育
の実態や教育課題とその方策についての
共通理解が必要です。そのために、本校で
は、自己評価・外部評価・児童評価の三種類
の学校評価を互いに補完しながら活用し
ています。
本校の学校評価の詳細については、お渡しした資料をご覧いただきたいと思います。その中から本校の教育課題について見てみたいと思います。
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「学校評価」の結果からわかる課題 @ この3年間、学力は、全体的に向上してきているが、25パーセントの児童には学習が十分保障できていない。 A 睡眠・朝食の摂取など基本的な生活習慣に課題がある。 B 家庭での学習習慣が定着していない。 C 読書の習慣が定着していない。 |
本校の学校評価では、本校が学力向上のために取り組んでいかなければならない教育課題として、次の点があげられるかと思います。
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学力向上についての本校の課題について ・ すべての児童、とりわけ学習の届きにくい児童に対する手だてを明確にし、学力の基礎・基本を保障する。 ・ 「早寝・早起き・朝ごはん」など基本的な生活習慣の育成 ・ 児童一人ひとりに家庭学習の習慣化を図る ・ 児童一人ひとりに読書の習慣化を図る |
そこで、まずはじめに、本校の学力定着向上委員長の尾瀬教諭から本校の児
童の学力実態と「学力向上プラン」についてお話したいと思います。
尾瀬一郎教諭
学力向上をめざすために、一番大事なことは、毎日の普通授業の充実です。
「楽しく分かりやすい授業」があってこそ学力が向上するのです。
そのためには学力の基礎・基本にあたる領域を意識して重点的に取り組み、分かる喜び、向上する喜びを実感させることができないのかと私たちは考えました。
昨年2月に実施された京都市の「学力定着テスト」を分析しながら本校の学力向
上の取り組みを紹介します。
国語では、全体的に良好ですが、「書く」「読む」「言語」の通過率がやや低いことがわかりました。そこで、その3点を重点的に取り組むことにしました。
先ず、書くことです。「書く」とは、具体的にいえば、「事柄の順序を考えながら文と文との続き方に注意して書くことができる。相手や目的を考えながら書くことがでる。」ということです。本校に置いては、「書く」ことについては個人差も多く、書くこと事体を面倒だと考える児童も少なくありません。乱雑な字の子もいます。
そこで、書くことそのものに慣れるためにも、全校的に「視写」に取り組むことにしました。短文・長文を正確で丁寧な字で、写していくことにより、書くことに慣れしたしむ児童を育てていきたいと考えています。
次に、「読む」ことです。「読む」とは、具体的にいえば、「文と文とのつなが
り、書かれている事柄、順序、内容」を捉えることです。「読む」対象の文は、
説明的文章と文学的文章がありますが、どちらの文章も、段落相互の関係をと
らえたり、接続語に注意して読み進めることが大事です。問に対して的確に必
要な言葉や文で答えることが大切になります。
そこで、本校では「読解プリント」の学習に取り組んでいます。その結果、文章
を読み取る力が次第に育ってきているように感じます。「視写」「読解プリント」は、朝学習や家庭学習を中心に行っています。
「書く」こと、「読む」ことの次は、「言語事項」です。「言語事項」はと、具
体的に言えば、「漢字の読み書き」「漢字の意味・熟語」「国語辞典」「漢字辞典」の使い方を知る、などです。
言語は、国語の学習の根幹をなすものです。新しい語彙の獲得が国語学習の生命線です。
そこで、本校では、3年生以上で、「辞書の活用」を奨励しています。辞書を引いたところに貼る付箋も用意しています。取組は、まだ十分とはいえませんが、辞書を引くことで、語彙を増やすだけでなく、自ら学ぶ態度も育てられたらと考えています。
次に、言語事項の「漢字の読み書き」についてです。
本校では、3年前から「広沢漢字検定」を行い、漢字の習得に努めています。新
出漢字は、1年80字、2年160字、3年200字、4年200字、5年185字、6年181字、計1006字あります。それぞれの数字の漢字が習得できたか、年4回検定しています。1年生は2回です。90点以上を合格とし、合格した児童にはその都度、合格証が渡されます。児童は、この広沢漢字検定を楽しみにしていて、意欲的に取り組んでいます。1月22日に行われた第1回の検定では、約90%の合格率でした。残念ながら合格しなかった児童は再チャレンジします。学年の全検定に合格した児童には、6年生であれば、広沢漢字検定1級と認定され賞がもらえます。以下、5年は2級、4年3級、3年4級、2年5級、1年6級となります。この取組は、漢字の習得だけでなく、「やれば出来る」という学習意欲の向上を目指すものです。
他に、本校が特に取り組んでいるのが、「読書100冊マラソン」です。読書は、
すべての学習の基盤になるものです。毎日、全員で「朝読書」を行い、家庭でも
読書の習慣がつくようにしています。
教室の学級文庫だけでなく、図書室から本を持ち込み、手軽に読みたい本を
読めるようにしています。そして、個人の頑張りをみんなのものにするために、
低・中・高別に、南校舎1階に「読書の木」のコーナーを設置しました。50冊読
んだ児童は、緑色の葉に名前を書いて読書の木に貼ります。100冊以上読んだ児
童は、黄色の葉です。100冊以上読み終える児童が増えることを願っています。
次に算数です。算数は、おおむね全般的に良好ですが、計算が苦手、時間が
かかる、また、宿題をやってこない児童もいるので、学校全体で学習意欲を高
めようと考えました。
そのため、「やればできる」という経験を積み重ねようと、各学年計算領域を
中心に進度にあわせて16種類の問題を作成しました。
最初は、すらすら解けない状態ですが、家庭学習も含めて、繰り返し練習します。繰り返し練習することで、より早くより正確にできるようになります。
この取組を、本校では、「計算力向上プログラムステップ16」と呼んでいます。ステップ16は、年間16回の検定日があります。合格すれば、ステップカードに担任が合格印を押します。合格できなかった児童は、漢字検定同様、再チャレンジします。この取組の中で、「ステップ16に合格したい。」という児童のやる気、学習意欲も向上してきました。また、それに伴い、計算力も高まってきました。今日は、ステップ15の日で、全校児童合格めざしてチャレンジしました。以上で本校の学力向上の取組の報告を終わります。
野々村信子教諭
尾瀬先生、ありがとうございました。本校の児童の学力の実態を踏まえて、
全校で学力の定着と向上をめざしてどのように取組を進めているかが、よくわかっていただいのではないかと思います。
本校の学力向上プランの中心的な取組として、「楽しく分かりやすい授業」をめざした授業改善があります。本校では、今年から算数科を切り口として、すべての児童に届く「楽しく分かりやすい授業」について全教員が授業を公開しあいながら研究を進めています。
そこで、本校の研究主任の西村教諭から、本校の算数科を中心とした「楽しく、分かりやすい授業」をめざした授業改善について具体的にお話していただきます。
西村尚子教諭
ご参会の皆様、本日はお寒い中、ありが
とうございます。本校の研究主任の西村です。どうぞよろしくお願いします。
ただ今の尾瀬教諭により「学力向上プラン」に続きまして、日々の授業の中での具体的な取組を発表させていただきます。
保護者への「教育実践報告会」という形
をとっておりますので、参加いただきまし
た教員の皆様には、通常の研究発表会の提案とは若干異なる部分もあるかと思
いますが、ご了承ください。
ご承知のように、本校では、4年間、英語活動を通して子ども達の力を伸ばし、
同時に教職員の指導力を高める取組を行ってきました。今年度は、京都市の英
語活動の拠点校ならびに文部科学省の研究調査校として協力しつつ、教科研究
として「楽しく分かりやすい算数」をめざして授業改善・授業実践に取り組みまし
た。
児童にとって授業が楽しいということは、「勉強が良く分かった」「勉強して
よかった」「がんばったなあ」と思えるということです。学校に来て、友だちと仲よく過ごし楽しい一日を終えることにも意義がありますが、やはり、学習の場で、満足感や達成感を味わい、自尊心や向学心をもってこその学校生活です。全員がそういう思いをもって学習に望めるよう、指導者が授業の中で特に大切にしている4点「指示理解」「集中持続」「学習理解」「社会性」への配慮や手だてをお話させていただきます。
今日は、今年度授業研究のまとめとなりました4年生の「さらにわり算の筆算のしかたを考えよう。(2けたでわる割算の筆算)」を例にあげたいと思いす。
割算は3年生では2位数÷1位数で九九を使って暗算で出来るものでした。4年生になり、一けたで割る割算の筆算を学習しましたが、九九を直接使うことができましたし、筆算になれてくると暗算でできるようにもなってきましたが、今回は、商(わり算の答え)を見当つけし、それが正しいか必ず筆算しなくては正解にたどり着けません。割算の中に掛け算も引き算もあり大変複雑な計算で、しかも繰り返します。2年生の九九と同様4年生の計算の要だといえます。単元に入る前に3年生の割算についてプレテストを行い、もし、忘れているところがあれば復習し条件をそろえます。明日から割算です。前の日にプレテストをしてというわけには行きません。勿論、教科書も本単元に入る前には、80÷20 70÷30のような位取りや見当付けに関わるような小単元が組まれていますが、割算に入る前から、「朝学習」 「宿題」 「ステップ」などに既習の割算の問題を入れておきます。そこで復習をし、つまずきを見つけて訂正していきます。それから、プレテストをして定着度を見ました。本単元では、簡単な計算間違い程度でしたので、ほぼ全員が同じ条件で学習のスタートにつきました。学年があがるほど、既習事項が増え、スタートを揃える事が大切になります。スタートの段階で「わからへん」という思いをもたせるわけには行きません。
授業の中では、教師の指示が理解しやすいように、わかりやすい簡潔な発問
を工夫するとともに、具体物を活用したり、視覚的にわかりやすい掲示物を準備
するなど工夫しています。
また、児童の「集中持続」を高めるために、学習展開を15分単位で区切りをも
たせ、学習活動の内容を変えたり、黒板に「問題文を読む」「問題の意味を考える」「解き方を自分で考える」など「学習の手順」をわかりやすく表示したりすることにより、「今何をしているのか」「次はどのような活動をするのか」見通しをもって学習にのぞめるようにしています。
さらに、授業の中でなかなか自力解決しにくい場合に、児童が少しでも自力で解決しやすいように、「ヒントカード」も準備しています。「ヒントカード1」(ごく簡単なヒント)から「ヒントカード3」(かなりくわしいヒント)まで3段階くらいに分けてヒントカードを用意しておき、必要に応じて、児童が自分で選べるようにしています。
さらに、学習活動の中では、「具体的操作活動」や「算数的な体験活動」を工夫して取り入れることにより、計算のしかたを機械的に覚えるのではなく、数計算の操作を頭でイメージ化しやすいように工夫しています。
また、児童が学習活動に積極的に参加し、互いの考え方を交流しやすくするために、簡易アナライザー(側面を青・赤・黄の三色にぬり分けた三角柱)も活用しています。友だちの意見を聞いて、同じ意見であれば、青色を、反対意見であれば赤色を、どちらともいえない時やよくわからない場合は、黄色を出します。自分の意見を明確にしなければならないので、友達の意見をしっかりと聞こうとする姿勢が生れています。勿論ハンドサインでも出来ることですが、自分の発表した意見に、クラスの大多数の児童が青色を出してくれたりすると、発表した児童の自己肯定感を著しく高めることにもつながります。実際に、こうしたことで算数学習に自信をもつことができた児童もいます。
クラスの児童もクラス全体の意見がどのようになっているか全体像がつかみやすいと思われます。指導者にとっても、話し合いを進行したり、活性化させたりすることが容易になると思われます。
学習作業中も、作業内容の指示かよくわからなかったり、つまずいたりしている児童に黄色の表示をさせることにより、机間巡視中の教師が、すぐにそばに行き、アドバイスやヒントを与えるなど個別指導がしやすくなります。
以上、4年生の指導を通して、本校の「楽しく分かりやすい授業」の創意・工夫の様子についてお話させていただきました。
野々村信子教諭
西村先生、ありがとうございました。「指示理解」「集中持続」「学習理解」「社会
性」の4つの視点から「前提条件の整備」「具体的操作活動」「ヒント・カード」など具体的な手だてを考えながら、すべての児童に「楽しく、わかりやすい授業」をめざして全員一丸となって取組んでいる様子がよくお分かりいただいたと思います。
子どもたちの学力形成を考える場合、学校でこうした取組を支える基盤として、最近、「基本的な生活習慣の育成」、とりわけ「家庭学習の習慣化」の大切さが声を大にしてうったえられています。
そこで、保護者の立場から、このような点についてどのように考えられているか、また、具体的にどのようにお子たちに働きかけられているのか、元PTA役員で、学校運営協議会理事をしていただいています池内和代さんからお話していただきたいと思います。
池内和代さん
学校運営協議会理事をさせていただいています池内和代です。中学1年生を
筆頭に小学5年生3年生の3人の子どもの母親です。本日は子育てに試行錯誤する保護者の一人としての立場で参加させていただきます。
3年前PTA本部役員をさせていただきました折には、校長先生の方から、「基
本的な生活習慣の確立」「家庭学習の習慣化」の大切さについて真剣に考えるよう
になりました。
小学校で子どもが教育を受ける際、保護
者の立場としての役割とは何か、親として一番何をしてやらねばいけないかを考えたとき、私は子どもをみんな同じスタートラインに立たせてやることだと考えます。子どもが登校していざ授業を受ける時のコンティションを整えてやることが最低限の役目だと思います。そのためには「基本的生活習慣の確立」は不可欠です。家庭で「基本的な生活習慣」が確立されていなくて、十分な睡眠が摂れていない、朝食が満足に摂れていない状態では授業に集中する事が出来ません。その日の学習の用意がきちんとできていず、忘れ物があると、自分だけでなく周りの友だちにも迷惑をかけることになり、授業の進行を妨げることになります。子どもたちが学校で一番よい状態で授業に臨めるようにもっていくことが保護者として最低眼必要なことだと思います。勿論、過保護に親が一から十まで世話をやくということではなく、子どもが自分からすすんでできるようにアドバイスして見守ってやることだと思います。
これらは出来ている家庭にとってはあたりまえのことですが、恥ずかしながら、私も満足にできていない時が多々あります。子どもが高学年になるとどうしても時間に追われることになり、就寝時間が遅くなってしまいます。高学年の兄弟をもつ下の子もいっしょにずるずると遅くなりがちです。休み明けに学校からいただく「生活調べ」(起床時間や朝食メニューなどを報告する「生活調べ」ですが)あれをいただいたとき「あ〜またか〜面倒だな〜」と思うのは子どもより親のほうではないでしょうか。その生活調べの期間だけ朝食メニューがバージョンアップするのはうちだけではないと思います。こういうタイミングを機会に時々生活を見直すことが必要だと思います。
次に家庭学習についてですが、社会の多様化にともない、子育てについての目標というものもおうちによって本当にさまざまです。毎日スポーツや習い事に励まれるおうち、学習塾に通われるおうち、お仕事が多忙で子どもに関われる時間の少ないおうち・・・。家庭学習についての考え方も家庭によって捉え方にかなり違いがあるようです。
子どもの育つ上で決して勉強だけがすべてではありませんが、小学校教育を受ける上で、私が家庭学習として最低眼必要だと考える3点について述べさせていただきます。
1つは低学年のうちに家庭学習を習慣化させることです。子どもが小学校に入学して、親は子育てから少し離れたという開放感と、まだ学習内容が簡単だからという油断から、手を抜き勝ちになるのですが、学校から帰ったら先ず宿題に取り掛かることを当たり前に身につけることです。それが身についてしまうと、学年がすすむにつれて学習内容が増えても、本人も苦痛に感じにくいし、何より親がガミガミ急がさなくても自然と自分から勉強にとりかかれるようになると思います。ちょっと目を離すと書き順がめちゃくちゃだったり、音読も聞き手が真剣でないと、読む方もいいか加減になりがちです。・・・うちは末の子が3人の子どもの中で一番字がていねいきれいに書いていたので安心してあまり注意していなかったら、鉛筆の持ち方がおかしくなっていて、なかなか直りませんでした。何事も最初が肝心だと思います。とにかく時間がかかっても自分で正しい答えを見つけ出させ、それをほめることで学習意欲を高めることが大事だと思います。
2つめは、習慣化できてきた家庭学習を自主学習が出来るよう導いてやるということです。いつまでも親がとなりにいないと勉強できないようでは困ります。そのためには自分で計画し予定を立てさせるようにさせます。限られた時間の中、友だちとも遊びたい、テレビも見たい、ゲームもしたい、習い事もある・・・優先順位をつけ、勉強に必要な時間を確保させ、立てた予定通り実行できるよう努力させることです。はじめは目標は低く設定し、出来た時の達成感を味あわせて自信を持たせることが継続につながると思います。それとわからない問題にぶつかった時、自分で答えを探せるよう辞書・辞典・地図帳などでの調べ方を覚えさすことです。そして、自分の頭で考える。そこまでしてもわからないことが出てきたとき、はじめて親がアドバイスしてやればいいと思います。
そして3つ目は、家庭でしか学べない、日常生活の中での体験を通して、知識を身に付けることです。例えば、いっしょに料理を作ります。g、cc、ml、などの単位を知ります。お湯を沸かします。沸騰・蒸発の化学変化が分かります。野菜や魚の調理前の本来の姿を知ります。ゴミの分別を知りリサイクルと言いう仕組みを知ります。そして食べてくれる人のために一生懸命料理を作る気持ち、そして、その料理をおいしいといってもらえる喜びを知ります。そんな実体験から学んだことはこれからの机上の学習をすすめていく上でも、一人の人間として生活力を身に付ける上でも大変貴重なものだと思います。
このように家庭学習を進めるにあたって、気をつけなければいけないのは、親は子どもを決して追いつめてはいけないことです。間違うのは、当たり前、間違いを次に正解した時ほめてあげられる余裕を親が持つことです。家庭は学校と違います。外で学んで、遊んで、疲れて帰ってきた子どもを迎える安らぎの場所です。温かい雰囲気の中、家族で家庭学習がすすめられるような雰囲気が理想だと思います。
野々村信子教諭
池内様、ありがとうございました。保護者の立場での学力についてのお考え
やご家庭で様子が大変よくわかりました。
学校では、生きる力や学力を支える基盤として、読書が大変重要であると考えています。そして、朝読書を中心にさまざまな取組をすすめていますが、その中で放課後の図書室の利用を活性化するために、地域や保護者の皆様に図書館ボランティアとしてご協力していただいています。本日は、図書館ボランティアをしていただいています山下三恵様にバネリストとしてご参加いただいています。山下さんは、子どもたちのために図書館ボランティアとしてご活躍いただくとともに、童話作家としてご活躍されています。昨年度は、山下さんの童話作品「ジ、ジ きみと歩いた」で「小川未明文学賞」を受賞されています。山下さんから、子ども達の学力のみならず、もっと幅広く「心豊かに生きる力」にとって読書が果たす役割についてお話をいただきたいと思います。
山下三恵さん
ご紹介に預かりました、山下三恵です。
童話作家とご紹介いただきましたが、作家としては「宮下恵茉」の筆名で活動しております。まだ、プロデビューして1年にもなりませんので、作家と言う立場ではなく、一読書好きとして、お話させていただこうと思います。
先ず、先ほどのお話にもありましたが、
昨今、「読書をすることで、生きる力や学
力を支える基盤ができあがる。ゆえに、読書が重要である。」という観点から、
全国で朝読書などの取組が実施されています。これは広沢小学校で取りいれられ
ており、すばらしい取組だなあと思います。
ただ、私個人としては、世間一般でよく言われている「読書をする=学力向上につながる」という考え方は、少し安易かなぁと感じています。
確かに、読書をすることで、読解力がアップしたり、漢字を覚えたり、語彙が増えたり、文章力がついたり、想像力が養えたりと言う事があるかも知れません。でも、それは読書をするうえで、あくまでおまけの部分だと思います。
それよりも、読書をすることによって、いろいろな登場人物になりきったり、いろんな体験をしたり、いろんな考え方があることを知って、自分の魂を鍛えることが出来る。つまり、世の中を自分自身で生き抜いていくチカラをつける事ができたり、広い意味での学力(=これは成績などの狭義の学力ではありません)を身につけることができるというほうが私は大きいんじゃないかなぁと思います。私たちが生きている毎日は、決して楽しいことばかりではありません。つらいこと、悲しいこと、いやになること、逃げ出したくなること、いろんなことがあります。これは子どもだけではなく、もちろん大人にでもあてはまります。そういう時に、読書経験が豊富な子は、それを乗り越えられる力を持つ事ができるんじゃないかと思います。そのお話を読んでいたからこそ、その中のある一文があったからこそ、救われるということもあるかと思います。生きていく上で、その力があるかないかというのは、かなり大きく違ってくると思います。もちろん、それが読書でなく、スポーツで救われる子もいるかも知れないし、絵を描くことや、音楽を演奏することで乗り越えられる子もいて、それはその子の個性によって違うかも知れません。読書をしなくても、もちろん生きていけますが、読書をすることによって広がる世界というものは必ずあると思います。
今の子どもは、本を読まないといわれますが、私はそんなことはないと思います。本を読んでもらったり、あるいは自分で読んだりするのがキライな子はまずいないんじゃないかなぁと思います。
「でも、読んであげても、本を与えても、興味を示さない。だから、この子は本が嫌いだ」とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、だからといって早々に決めつけるのは、時期尚早かなぁと思います。たまたま、そのときは気分が乗らなかったのかも知れない。まだ、その時期じゃなかったのかもしれない。読書環境が整っていなかったり、それまでの読書経験が乏しかったからと言うこともあるかもしれません。
本がキライな子はいないはずなのに、今の子は本を読まない。その一番の原因は、「読ませたい」と言っている私たち保護者の世代が本を読まないからだと思います。
よく、「私が本を読まないので、子どもにはたくさんの本を読んで欲しい」という保護者の方がいらっしゃいますが、私は、それは図々しいんじゃないかなぁと思っています。自分がしないことを子どもにしなさいというのは、乱暴だ
と思います。それに、読書は無理強いするものではなく、子どもにとっては楽しみであってほしいなぁと思っています。
先ず、親子で本を楽しむ。それが読書への第一歩だと思います。というと、「忙しくてそんな時間ないわ〜」と、おっしゃる方がいらっしゃると思いますが、時間は、自分でつくるものです。本当に読書が大事だと思われるのでしたら、先ず、何かを始めないと何も始まりません。「何から読めばいいのかわからないわ〜」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。私は、親子でまず図書館に行ってほしいと思います。書店でお金を出して本を買うとなると、どうしても、親の立場で「この本は、字が大きすぎてだめ」「こっちの方がためになるから」とかついつい口を出してしまって、子どもの読書への意識をそいでしまうと思いますので、無料でたくさんの本を選んで借りることの出来る図書館へ行って欲しいと思います。そして、お気に入りが見つけられたら、書店でその大切な一冊を買ってあげて欲しいと思います。
わが家の場合ですが、うちは中1・小4・幼稚園年長さんの三人の女の子がいますが、週に最低一度は図書館へ行って、(今は一番下の子としかいけませんが)自分の読みたい本半分、私が選んだ本半分を借りてきて、毎日寝る前に、交互に読み語りをしています。本の好みって、どうしてもかたよりがちになるので、これでいろんなタイプの本を読む事が出来ていいかなぁと思っています。子どもたちが選んだ本で、「あ、こんなおもしろいお話があるんだ」と教えてもらえる時もありますし、私が小さい時に読んでいた本を、同じように子どもが喜んで読んでいたりして、楽しみを共有できるのがいいなぁと思っています。年齢も上がってくると、どうしても興味が他に行ってしまって、昔ほどは本を読まなくはなりましたが、それも今はそうゆう時期なのかなぁと静観するようにしています。読まないからといって、放っておくのではなく、上の子たちの興味を引きそうな本を借りてきて、本棚に並べておくと、たまたまヒマだったら手を伸ばす時もありますし、そういう環境は大事かなと思います。
子どもの本なんて、つまらないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「児童文学」というのは、「子ども向けのお話」ではなく、子どもも楽しめる文学」です。保護者の方も、先ず、読書の楽しみを知っていただきたいなぁと思います。
先ほど、子どもに本を選ばせて欲しいといいましたが、たとえば「うちの子はマンガの本しか読まない」「ゾロリしか読まない」という場合もあるかもしれませんが、それでも、まずそこがその子の読書の入り口です。読書するにも「読書力」みたいなものがあって、先ずはマンガやゾロリから入っていって、読書するのが日常的になれば、きっとそれだけじゃ物足りなくなってくると思います。
実は私も、今中学生の長女が「ケータイ小説」ばかり読むのがすごく気になっているのですが、ある出版社の編集長さんにそんなお話をしたら「いつか、必ず物足りなくなるはずですから、放っておいていいんじゃないですか」といわれました。それは、私も同感なのですけれど、ただ、ケータイ小説は内容が子どもの好奇心をあおるようなものが多いので、子どもたちに選ばせて欲しいというものの、与える側も、ただ与えっぱなしにするのではなく、どんなお話を読んでいるのかなぁという目配りは必要かなと思います。
最後に、私は去年から図書館ボランティアのお手伝いをさせていただいていますが、図書館ボランティアは今、二人しかいません。私自身も仕事や下の子の幼稚園のお迎えなどでほとんど参加できていません。今、広沢小学校の図書室は、子どもたちに「本を選んでね」と言うには、蔵書の傷みも多いし、整理が出来ていません。月曜日と金曜日の放課後2時間、本の整理や貸し出しをするのがボランティアのお仕事なのですが、もしも少しでも時間がある方がいらっしゃれば、来れる時間30分だけでもいいので来ていただいて、子どもの本に関わっていただければうれしいなぁと思います。
「読みたいときに、読む本がある。」そうゆう図書室になって欲しいと思っているのですが、これはなかなか学校だけでも、少人数の保護者だけでもできないことですので、もっと保護者側の読書に対する意識が高まってくれればいいなぁと思っています。
野々村信子教諭
山下さん、ありがとうございました。
子どもたちが心豊かに生きていくために、また、学力の基盤となる力を身につけていくために、いかに読書が重要であるか、よくわかりました。
さて、学力を支えるための大切な要素について、また具体的な実践の様子についてお話いただきましたが、本校の学校評価によると、こうした点でまだまだ課題があると思われます。今後の児童の学力や豊かに生きる力を高めていくために、何が課題と考えられるのか、また、課題解決に向けて、何をしていく必要があるとお考えになっているのか順番にお尋ねしたいと思います。
そこで、先ず西村先生に、お尋ねしたいと思います。
西村尚子教諭
子どもたちが「確かな学力」や「豊かに生きる力」を身につける上で、学校の果たす役割が何よりも重要であることは言うまでもないです。しかし、学力は学校の力だけでは身につきません。学力や生きる力をつけるには、学校での学習活動だけでなく、「家庭での基本的な生活習慣」や「地域でのさまざまな体験活動」が、その「学力を支える基盤」となります。学校での算数の学習を例にとれば、計算が身につくには、実際にお店で物を買ったり、お釣の計算をしたりする経験があるのとないのではずいぶんと理解に差が出てきます。生活リズムを整えたり、正しい言葉使いを身につけたり、小さい頃から公共心や道徳心を身につけたりすることも家庭や地域での大切な役割かと思います。
学校にしかできない事、家庭でしかできないこと、地域でしか出来ないことがあります。それぞれが固有の役割を明確にして、責任をはたしていくことが学校・家庭・地域の協力・連携の基盤となるのではないかと考えています。
尾瀬一郎教諭
今後、本校の取り組みの課題であり、重点的に取り組むべきことの1つ目は、家庭との連携です。
今回の文部科学省の学力調査では、学力と生活との関係についてもいろいろと調査されています。
「早寝・早起き・朝ごはん」という言葉がありますが、基本的な生活習慣が身についている児童は、学力が高いという結果も今回の調査で明らかにされました。勉強時間を自分で決め、テレビやゲームの時間も考えていく必要があります。「家の人と学校の出来事を話している。」が平均約35パーセントといわれています。コミュニケーションと学力にも関係があるといわれています。コミュニケーションの改善で学力はさらに伸びると思います。
2つ目は、基礎的知識を高めることで、更に応用力をつけることです。応用力というのは、表現力・判断力・考える力・判断する力のことと考えられます。
昨年十月に発表された学力テストにおいては、本校の児童は、基礎的な知識を問うA問題より、応用力を問うB問題の方が国語も算数も良く出来ていました。本校の学力向上の取組に自信をもちつつ、学力の質をより高めていきたいと思います。
池内和代さん
保護者の学校運営への積極的な参加が必要だと思います。広沢小学校は先生
方の熱心さ、地域の方の温かさに包まれ、大変恵まれていると感じています。ただそのおかげもあって保護者の危機感が薄れ、学校に対する関心が低くなっているのではと思います。学校は、「広沢小だより」や「懇談会のアンケート結果」などのたくさんのプリント、また、「ホームページ」などでここ数年かなり情報を発信して下さっています。でも保護者が実際に学校へ足を運び、自分の目で確かめることは大切です。クラスにもよりますが、参観特に懇談会の出席率が大変低いのではないでしょうか。とにかく、もう一歩学校に近づいてください。誰しも自分の子どもについては一生懸命です。学校にもう一歩近づいて周囲の子どもたち、学校全体の子どもたちのことを考える事が、結果的に自分の子どもに返ってくると思います。学校を良くしていくのに、先生方の力ももちろんですが、保護者の協力、学校への正しい評価は不可欠です。どんな形でもいいですので、学校に関わることが必要だと思います。保護者全員で取り組むという姿勢が大事だと思います。
自分を含め、保護者自身の課題なのですが、子どもは親の背中を見ています。子どもを一人前の社会人に育てようと思ったら、親が社会人としてのお手本の背中を見せないといけません。勿論私は完璧な背中は持ち合わせていません。けれど、子どもの目がなかったら、もっと自分に甘い人間になっていると思います。子どもを育てる上で、新しく発見すること、忘れていたものを思い出すことは多いです。子どもを育てるということは親もいっしょに成長することです。子どもを豊かな人間に育てるとともに、親も自分自身を見つめ直し、お手本となる豊かな人間になれるよう、努力していきたいと思います。
山下三恵さん
読書をする習慣づけとか、読書によって生きる力をつけるっていうのは、一
朝一夕に出来るものではありません。さあ、こうしたから、学力があがるとか、読書をするようになるというのではなく、まず、家庭で、その子が読書へ興味を持つ環境を整えてあげて欲しいなぁと思います。読書をすることで、こんなにも世界が広がるんだなぁって子ども自身が感じられるようになってほしいなぁと思います。長い人生、その子に寄り添える何かを与えてあげられたらいいなぁと親としても、物語の書き手としても切に願っております。
野々村信子教諭
パネリストの皆様には、「子どもたちの確かな学びと育ち」についてそれぞれのお立場から、その豊富な実践や体験をもとに、さまざまなご意見やお考えをいただき、ありがとうございました。
また、長時間にわたりご静聴いただきました会場の皆様、ほんとうに有難うございました。
学校・家庭・地域が一同に会して「子どもたちの学びと育ち」をテーマにして、このような議論の場をもてましたことを大変うれしく思います。
学校運営協議会としまして、これからも学校・家庭・地域がそれそれの立場から子どもたちのさまざまな問題や課題について、さまざまな場を利用して活発な論議を行い、ともに、「よりよい広沢教育の創造」をめざして取り組んでいければと考えています。
それでは、これでパネルディスカッションを終了させていただきます。
本日は、ご参会の皆様、ほんとうに有難うございました。
