子ども一人ひとりに確かな学びと育ちを保障するために
〜わかりやすく楽しい授業をめざして〜
京都市広沢小学校
校長 泉 裕 幸
今、子どもたちが、混迷する先行き不透明な21世紀の社会を「心豊かにたくましく生きぬいていく力」を身につけていくことが求められています。
本校では、子どもたちが、「心豊かにたくましく生きぬいていく力」を身につけ自己実現していけるようになるために、さらに、人権教育の「人権としての教育」の視点からも、子ども一人ひとりに学力の基礎・基本を保障していくことがたいせつであると考えています。そのためには、子どもたち一人ひとりの見かけの行動や現象面の背後にある要因を的確に踏まえて、一人ひとりの子どもたちにあった指導や支援を創意・工夫していくことが必要です。このことが、京都市の教育が常に大切にしてきた「子ども一人ひとりを徹底的に大切にする」ことにつながるのだと考えています。
1. 基本的な生活習慣の確立について
学力の基礎・基本の定着を図る上で、何よりも基本的な生活習慣の確立が基盤となります。基本的な生活習慣の確立している児童は、自己肯定感も高く、学習活動に対しても積極的であるとの調査報告もあります。基礎的な生活習慣は、賞賛や励ましなど家庭での親の積極的な関わりの中で形成されるといわれています。
本校でも、基本的な生活習慣についての調査をしたところ、早寝・早起きの習慣が身についていない、朝食をとらない児童が少なからず見られる、家庭学習の習慣が身についていないなどさまざまな点で課題がみられます。
少なくとも、次のような点については、すべての児童に必ず身につけさせたいと考えています。
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@ おそくとも午前7時までに起きる。(早寝早起きの習慣化) A 午後9〜10時までには寝る。 B 朝食をしっかりと食べる。(脳が活発に活動するには、エネルギー源が必要です。) C テレビ視聴やテレビゲームなどは時間を決めて眼が疲れないように気を付ける。 D 家庭でお手伝いをする。(家庭での存在感・所属感を育てます。) E 戸外で遊びや運動を積極的に行う。 F 毎日一定時間の家庭学習を習慣づける。 |
基本的な生活習慣は、家庭で身につけさせるべきものではありますが、十分に身についていない児童に対しては、児童本人への指導とともに保護者への積極的な働きかけをしていかなければなりません。保護者と家庭訪問や個人懇談会等を通じて、やたがいにその役割と責任を明確にしながら、連携・協力して、子どもを育てていくことが大切かと思います。そこで、次のページのような「チェックリスト」を使って、児童の実態を把握し、学級活動や学級懇談会や家庭訪問のなかで児童・保護者への働きかけを行っています。
学習や生活の診断チェック・リスト
[ ]年 児童名[ ]
お子たちの生活の実態を正しく把握し、その中からお子たちの課題を見つけ、その課題を克服するために何を取り組んでいくことが必要かをいっしょに考えたいと思います。
学校生活や家庭生活で大切と思われる項目を下記のとおり挙げています。ご自身のお子たちの学習や生活の様子について、次の各項目についてA〜Dで表してください。よく分かりにくい項目については、お子たちにもお尋ねください。
(Aは、できている。Bは、まあまあできている。Cは、あまりできていない。Dは、できていない。)
(1)家庭生活について
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番号 |
評 価 内 容 |
評 価 |
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1 |
毎日、朝7時までに起きていますか。 |
A・B・C・D |
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2 |
自分で着替えができていますか。 |
A・B・C・D |
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3 |
毎日、洗顔・歯磨きができていますか。 |
A・B・C・D |
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4 |
毎朝、朝食を食べていますか。 |
A・B・C・D |
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5 |
毎日、排便ができていますか。 |
A・B・C・D |
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6 |
家族にしっかり挨拶できていますか。 |
A・B・C・D |
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7 |
門掃きや水まき等おうちのお手伝いをしていますか。 |
A・B・C・D |
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8 |
寄り道をしないでまっすぐに家に帰っていますか。 |
A・B・C・D |
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9 |
外から帰ったら、手洗いうがいができていますか。 |
A・B・C・D |
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10 |
遊びに行く時に、行き先やかえる時間等を告げていますか。 |
A・B・C・D |
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11 |
交通の安全に気をつけていますか。 |
A・B・C・D |
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12 |
午後5時までに帰宅していますか。 |
A・B・C・D |
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13 |
毎日、一定の時間家庭学習をしていますか。 |
A・B・C・D |
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14 |
次の日の学校の宿題や学用品など自分で準備できていますか。 |
A・B・C・D |
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15 |
身の周りの整理・整頓ができていますか。 |
A・B・C・D |
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16 |
寝る前に歯をみがいていますか。 |
A・B・C・D |
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17 |
毎日、夜9時から10時の間に寝ていますか。 |
A・B・C・D |
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18 |
学校での出来ごとや友達のことについて家で話をしていますか。 |
A・B・C・D |
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19 |
登下校時に決められた通学路を通っていますか。 |
A・B・C・D |
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20 |
おうちの人の注意や忠告が素直に聞けていますか。 |
A・B・C・D |
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21 |
好き嫌いなく、何でも食べていますか。 |
A・B・C・D |
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22 |
毎日、家で読書をしていますか。 |
A・B・C・D |
(2)学校生活について
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1 |
チャイムが鳴ったら、すぐに教室に入り、机にすわれていますか。 |
A・B・C・D |
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2 |
授業中、先生や友達の話がしっかりときけていますか。 |
A・B・C・D |
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3 |
自分の思いや考えをすすんで発表していますか。 |
A・B・C・D |
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4 |
学習中、正しい姿勢が保たれていますか。 |
A・B・C・D |
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5 |
ノートの字がていねいに書けていますか。 |
A・B・C・D |
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6 |
授業中、わからないことや疑問があれば質問していますか。 |
A・B・C・D |
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7 |
学習中のやくそくや決まりをしっかりと守っていますか。 |
A・B・C・D |
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8 |
学習に対して意欲的にとりくんでいますか。 |
A・B・C・D |
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9 |
学校での学習内容について理解できていますか。 |
A・B・C・D |
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10 |
友達と協力して班などグループでの学習活動ができていますか。 |
A・B・C・D |
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11 |
先生の指導や助言が素直に聞けていますか。 |
A・B・C・D |
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12 |
宿題や学用品などきちんと準備していますか。 |
A・B・C・D |
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13 |
宿題や学用品の忘れ物をしないように、明日の予定などをきちんとメモしていますか。 |
A・B・C・D |
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14 |
机やロッカーなど整理・整頓ができていますか。 |
A・B・C・D |
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15 |
係りの活動や委員会活動など自分の役割や責任をはたせていますか。 |
A・B・C・D |
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16 |
そうじや給食の当番活動をきちんと果たしていますか。 |
A・B・C・D |
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17 |
給食をのこさずに食べていますか。 |
A・B・C・D |
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18 |
給食後に、歯磨きをしていますか。 |
A・B・C・D |
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19 |
学校で休み時間や放課後、運動場で元気に遊んでいますか。 |
A・B・C・D |
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20 |
廊下や階段を走ったり、危険なことをしていませんか。 |
A・B・C・D |
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21 |
友だちと仲良くしていますか。 |
A・B・C・D |
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22 |
一輪車やボールなど遊具の後片付けができていますか。 |
A・B・C・D |
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23 |
下校時間をまもっていますか。 |
A・B・C・D |
(3)お子たちの課題について
チェックリストの結果から、どのようなことがお子たちの課題だとお考えですか。
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@生活面 |
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A学習面 |
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B健康面 |
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2.
教室の中での学習態度の育成について
学習活動を効果的に進めるには、学習に参加する子ども一人ひとりに学習態度や習慣を身につけさせることが大切であると考えます。
しかし、学習態度や習慣は、児童に「こうしなさい」と一律に言えば簡単に身に付くものではありません。学級指導や学習活動のなかで何故大切なのかをくりかえし理解させるとともに、日々、適切な機会をとらえて児童を賞賛したり、励ましたりしながら、ねばり強くくりかえし指導をすすめていくなかで初めて身についていくものと考えられます。何よりも児童との強い信頼関係を築き、先生の言うことに耳を傾けようとする気持ちにさせることがまず大切であると考え、学級経営を進めています。
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《身につけさせたい学習態度や習慣の具体例》 @ チャイムが鳴ったら、席につく。 A 机の上に教科書やノートなど学習の準備ができている。 B 必要な文房具以外は机の上に出さない。 C 学習に関係のないものは学校に持ってこない。 D 授業中は、前を向いて先生の話をしっかりと聞く。 E 友達が話をしている時は、最後までしっかりと聞く。 F 授業中は、背筋をまっすぐにして、呼吸がしやすく疲れにくい姿勢をとる。 G 授業中は、勝手にしゃべらない。(つぶやきは良い。) H 本を読む時は、しっかり両手で持ち、30センチくらい話して読む。 I 机やロッカーの中は、常に整理・整頓をしておく |
3.
授業中の学習のルールについて
集団で学習を進めていくためには、そこにさまざまな約束事やルールが必要となります。
とりわけ、話し合いにより思いや考えを広げ、深めていくには、一定の手順やルールがなければなりません。
こうしたことは、学び方そのものの習得であるとともに、民主主義の考え方や資質を身につけたり、人権尊重の精神を育てていったりするための大切な働きをしていると考えています。
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「話す」時の約束 @ 発言する時は、手をあげる。(「はい」「はい」と言わない。) A 発言する時は、起立してみんなのほうを見て発言する。(相手意識) 誰が今発言しているのかがよくわかるし、高い姿勢からだと、聞き手の様子がよく分かり、声もよく届く。 B 出来るだけ、結論から言う。 「○○さんの意見に賛成です。そのわけは○○だからです。」 「○○さんの意見に反対です。そのわけは○○だからです。」 「わたしは、こう思います。そのわけは、○○だからです。」 「○○さんの意見につけたします。」 「○○さんの意見を聞いて、わたしも○○だと思いました。」 「○○さんの考えの○○のところがとてもいい考え方だと思いました。」 「聞く」時の約束 @ 友達が発言している時は、勝手に友達と話をしたりしないで、最後までしっかりと聞く。 A 意見や考えがよく分からないときは、その場で質問をする。 児童の発言を活発にする手だて @
児童が考えたり、答えたりしやすいように、わかりやすい聞き方をする。 (発問の工夫) A
児童が考える時間を与える。 B
ノートに考えを書かせてから発表させる。(安心して発表できる。) C
事前に内容を予告しておき、家庭学習で意見や考え方をまとめさせておく。 (学校での学習と家庭学習との関連を図る。) D
グループで話し合いをさせてから、発表させる。 (他の児童の意見を参考にして自分の意見をまとめる。) E
児童の発言に対しては、言わせ放しにせず、必ず一定の評価をする。 (合っているとか、間違っているとかだけではなく、内容、部分的なよさ、発想のユニークさ、発表の仕方などを認める。) F
相互指名やペア発言の活用する。 相互指名 先生から最初にあてられた児童が次の児童を指名する。 「わたしは、○○と思いますが、○○さんは、どのように思いますか?」 男女交互にするとか、指名が偏らないように工夫が必要である。 ペア指名 あらかじめ2人ないし3人でペアを組み、一人があたれば、必ずペアを組んでいる児童も発言をする。長期間固定化しないようにする。 G 教師が児童の意見を整理しながら、進めていく。 「今の意見と同じ人はいませんか」 「今の意見と違う意見の人はいませんか」 「よく似た考えの人はいませんか」 「同じ意見だけれど、理由が違う人はいませんか」 「今の意見につけたすことはありませんか」 「どうして、そのように思ったのですか。」 注目したい意見や考えがあれば、 「今の○○さんの意見について、どのように思いますか。」 「今の意見わかりましたか?」 グループで話し合いをさせる時の約束 @ 司会者を決めて、話し合いを進める。(司会者は全員が交代する。) A 司会者の許可なく、勝手に発言しない。 B 話し合いの手順について十分指導する。(手順を書いたカードを準備する。) 「○○さんは、どのように思いますか」 「○○さんの意見について、どのように思いますか?」 「何か質問はありませんか?」 C 順番に一人ひとりの意見を聞きながら、かならず全員に発言させる。 |
4.
自己肯定感を育てる学習指導のあり方
最近、しきりと自己肯定感を育むことの大切さが教育の分野で声を大にしてさけばれています。
京都市総合教育センターの研究発表においても、京都市の小中学生を対象とした調査研究をもとに自己肯定感の高い子どもは、学習活動に意欲的で、積極的に手をあげ意見を発表したり、主体的に学習活動に関わろうとする傾向がみられることが報告されています。また、失敗や挫折しても、立ち直りやすい傾向がみられるとも言われています。
こうした調査結果を踏まえて、積極的に子どもたちの自己肯定感を育む学習指導や学級経営を創意・工夫することにより、児童一人ひとりの学習意欲を高め、学習活動への積極的な参加を促し、結果として自己肯定感の中核をなす構成要素としての自己有能感・自己効力感などにつながると考えられる学力の基礎・基本の定着を保障したいと考えています。
学習指導をすすめるにあたっては、次のような点に重点をあてて取組を進めていきたいと考えています。
@問題解決学習や対話活動など児童の主体性をいかす学習活動の形態を積極的に創意・工夫し学習活動を進めていく。
問題解決学習などで自分から課題を見つけ、自分なりに予想を立て、班や学級全体で話し合い、互いに思いや考えを深めあう学習活動は、児童に自分たちの力で問題を解決できたという自己の問題解決への信頼と自信を生みます。また、その過程において、自分の思いや考えが学級の意見形成に寄与したり、その結果として集団から認められたりすることで、自分の能力をより強く確信することにつながり、自己の能力に対して自信を持っている感覚(自己有能感)や他者から受け入れられている感覚(包み込まれ感覚)を高めることになます。また、同時にこうした経験が、さらに学習活動や集団活動へのより積極的なかかわりをもたらし、努力することに価値を見出している感覚(勤勉性感覚)や他者と積極的に関わろうとする感覚(社交性感覚)を高めるのではないかと思われます。
A学習活動や学級経営を通して、互いに人間性や行動を認めあい、励ましあう好ましい人間関係や学習集団を形成する。(「人権を通しての教育」の視点から)
学習活動や学級活動において、児童の思いや考えが学級集団から認められたり、称賛されることは、自己の能力に対して自信を持っている感覚(自己有能感)や他者から受け入れられている感覚(包み込まれ感覚)を著しく高めることは言うまでもありません。逆に自分の思いや考えが認められなかったり、無視されたりすると意欲をなくしたり、自信を失ったりします。そして、努力することに価値を見出している感覚(勤勉性感覚)や他者と積極的に関わろうとする感覚(社交性感覚)が著しく低くなるであろうし、さらには、自分自身が好きであるという感覚(自己信頼感)すらなくしてしまうかも知れません。
こうしたことから、学級集団や学習集団が互いの人間性や行動を認めあい、励まし合えるように成長することが大切です。したがって、学習活動の中に、このような認め合い、励ましあえる場面を積極的に作り出していくことが必要と考えらます。具体的には、話し合い活動において、児童が並列的・拡散的に自分の思いや考えを発表し合うのではなく、常に他者の思いや考えにからめて自分の思いや考えを発表しあうようにさせることが大切かと思われます。誰かの意見に対して、他の者が「私は、誰々の意見に賛成です。そのわけは、こうです。」というような形で話し合いを進めることにより、話し合いが深められるだけでなく、最初の意見を発表した者からすると、賛成であれ、反対であれ自分の意見を学級集団の中でしっかりと受け止めてもらっていること(集団からの受容)を感じ取れ、また次もすすんで発表しようと言う意欲につながります。さらに、その意見が自分の意見に賛成であれば、自分の意見が学級の学習活動に寄与したという実感を味わうことも出来るでしょう。
さらには、話し合いのあとで、「誰々の意見がとてもよくわかった。」とか「誰々の意見を聞いて、自分の考えがこのように変わった。」など相互評価を行うことも互いの自己肯定感を高める上で大切であるといえる。このような実際の話し合い活動の積み重ねを通して、児童は、他からの強制ではなく、自分からすすんで自分の思いや考えを積極的に発表したい、みんなに聞いてもらいたいと思うようになっていくとともに、互いに認め合い、支えあう学級集団や学習集団が形成されるのだと考えています。
B学習活動や学級経営を通して児童一人一人の人間性や行動を認め、励まし、称賛するなど教師の積極的な児童へのかかわり方を創意・工夫する。(「人権を通しての教育」の視点から)
先に述べたような互いに認め合い、励ましあう学級集団や学習集団は、児童から自然発生的に生まれてくるものではありません。教師の意図的・計画的な働きかけを必要とします。子ども同志の豊かな人間関係の構築にあたっては、まず児童と教師との間に信頼関係(ラポート)が築かれなければなりません。教師の受容的・共感的な態度により生まれる教師と児童ひとりひとりとの強い信頼関係を基盤として、教師の巧みな働きかけにより学級集団の中の児童相互の信頼関係が生まれ、豊かな人間関係が築かれていくことでしょう。
そのためには、先ず教師が児童に受容的かつ共感的な態度で絶えず接することにより、学習活動や学級経営の中で、児童の様子をしっかりときめ細かに観察し、児童の人間性や行動を的確に評価し、支えや励ましや称賛など積極的なかかわりや働きかけを持つことが大切です。例えば、学習活動において、児童が自分の思いや考えを発表した時に、その発言が正答か否かという視点だけでなく、その児童の発言の背後にある努力やすぐれた価値(例えば、児童のもつやさしさや向上心など)を積極的に評価してやることが、自己肯定感を育成していく上で欠かすことが出来ません。たとえ間違った答えであっても、その児童の発想のユニークさや意欲など評価する点がいろいろと見出されるのではないかと考えます。そうした点をたえず積極的に評価してやることにより、自信と安心感が生まれ、また次も発表しようとする意欲につながるものと考えられます。単に正解をもとめて学習活動を展開するだけでなく、学習活動や話し合い活動を通して、互いに児童のよさやがんばりなどを見出し、積極的に評価することで、児童の自己肯定感を育み、児童一人ひとりに肯定的に人間を評価する豊かな人間観を育てて行くことが学級集団や学習集団の形成にとって重要であると考えています。
C児童一人ひとりの学習活動を保証し、誰もがよく分かる楽しい学習活動を創意・工夫し、児童が達成感や成就感が味わえるようにする。(「人権としての教育」の視点から)
しかしながら、自己肯定感の育成に一番必要なことは、やはり自己の能力に対する自信と信頼です。それは、学習活動を通して、学習内容が身についたという実感なしには味合うことは不可能です。学習内容がよくわかったという実感が達成感と成就感を味合わせ、児童の能力に対する自信と信頼を生み、自己肯定感をより高めていくと考えられます。
したがって、私たち教師は、何よりも先ず、児童一人ひとりに学習活動を保障し、学習内容の定着をしっかりと図ることが大切です。すなわち、「誰もが楽しく分かりやすい授業」の保障です。
学習指導や学級経営において以上のような4つのことがらを重点として取り組むことにより、児童一人ひとりに自己肯定感を積極的に育み、学習に対する意欲を高め、学習活動への積極的な参加を促し、結果として自己肯定感の中核をなす構成要素としての自己有能感・自己効力感などにつながると考えられる学力の基礎・基本の定着を保障したいと考えています。
5. 分かりやすく、楽しい授業の創意・工夫について
学校教育目標を具現化し、わたしたちの指導力の向上をめざして、本年度は、英語活動を切り口として研究を進めていくことになりました。したがって、英語活動を通して、「わかりやすく楽しい授業」の創造をはかりたいと考えています。そこで、今まで述べてきたこと基盤にしながら、児童にとって「分かりやすく、しかも楽しい学習活動」を創造し、英語活動はもちろんのこと、他の教科・領域においても確かな学力の基礎・基本を児童に保障していきたいと考えています。そのために常に次の視点を大切にした研究活動を推進していきたいと考えています。
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@ 本校の児童の実態にあった年間指導計画を作成する ・ 英語活動のねらいについて全教職員が共通理解し、本校の児童の興味・関心など実態を把握しつつ、発達段階や系統性を考慮し、京都市の英語活動のカリキュラムを基盤にして本校の独自の年間指導計画を作成する。 ・
年間指導計画を日々の具体的な実践を通して、より本校の実態に合った内容に修正していく。(計画・実施・評価) A 年間指導計画の指導内容の全体を通して、ねらいの達成を図る。 ・ 年間指導計画の指導内容の全体を通して、英語活動のねらいを達成していく。 ・
学級の児童の実態や学習指導上の課題を踏まえて、課題を解決するために研究授業を行い、その成果を日常の授業に普遍化・一般化していく。 B 児童が興味や関心を引き出し、学習意欲を高めるよう工夫する。 ・ 事前のアンケート調査などにより児童の実態を把握し、前提条件を整える。 ・ 英語の教材との豊かな出会いを工夫する。 ・ 児童の興味や関心を高めるような導入の仕方を工夫する。 ・ 視覚的な教材や教具をうまく活用する。(板書・掲示物・模型・絵カードなど) ・ 歌やゲームや体験活動(ロールプレイ・寸劇・影絵など)などを効果的に取り入れながら、多様な学習活動の展開方法を工夫する。 C 児童一人ひとりの学習活動への参加を保障する。 ・ 児童一人ひとりに学習課題をもたせる。 ・ 児童一人ひとりが聞いたり、話したりする学習活動の機会を十分に保証する。 ・ 誰にもわかりやすい指示や板書・掲示物の工夫により、「楽しく分かりやすい学習活動」の展開する。 ・ 必要にあわせて対話活動や個別学習などを設定する。 ・ 少人数のグループでの活動を効果的に活用する。 ・ 気になる児童や配慮を必要とする児童を焦点化し、その児童にあつた具体的な手立てを工夫する。 D 学習の内容の習熟化を図り、確実な定着を図る。 |