平成18年度

みやこ学校創生事業構想

「より良い生き方を求めて、高めあう広沢の子」

京都市立広沢小学校

はじめに

 今日、人類は、かってない文明の発展を遂げ、科学技術の飛躍的な進展により、私達国民の生活は大変豊かで便利なものとなってきました。さらに価値感・生活様式が多様化する中で、規範意識、道徳心が希薄になり、心の荒廃が叫ばれている。とりわけ社会の規範や人命や人権が軽視され、互いに支えあい、助け合うなどコミュニティの連帯意識、人間関係が薄れつつあります。

また、豊かな社会の中で、自分の生きる目標を明確にもてなかったり、対人関係をうまく築けなかったり、勤労意欲をもてなかったりするなど社会人・職業人としての資質・能力を欠いたりすることから、ニートや引きこもりといった現象が生れ、新たな社会問題となっています。

こうした中で、子ども達の生活も大きく影響を受け、基本的な生活習慣や学力の低下をはじめいじめや不登校や学級崩壊などさまざまな教育的課題が生じており、学校のみならず地域・家庭と連携した教育改革が必要となってきています。

本校では、創立以来30年の間に造形教育・素足・はだし教育を中心とした健康教育・道徳教育・国語教育など児童実態や時代のニーズをふまえた取り組みを進めてきましたが、平成15年度から全市に先駆けて、地域に愛着と誇りを持つとともに、異文化に対しても積極的に親しみ、国際化の進む社会で活躍できる素地の育成をめざして英語活動に取り組んで来ました。

さらにまた、平成16年度からは、「みやこ学校創生」推進事業の推進校として指定を受け、英語活動・地域学習を中心とする「総合的な学習」や道徳教育や健康教育を重要な柱とする本校の特色ある教育にとりくんできたところです。

本校では、児童が現在および将来にわたって、社会の中で他の大勢の人々と支えあい認め合う中で、たがいに協力しながら、自己の欲求や願いを社会から容認される形で自己実現できる資質や能力及び実践的態度を育てていくこと、すなわち、互いに共生・共学しながら「心豊かにたくましく生きる力」を身につけさせたいと願っています。

そのためには、基本的な生活習慣の確立を基盤に、生きる力の基礎となる学力の基礎・基本ならびにそうした学力を生涯にわたり獲得していくための学び方の体得、人と差別や偏見なく関わり、好ましい人間関係を築き、ものごとを正しく判断するための人権意識を基盤とする豊かな心、そうしたものすべてを支える土台となる健康や体力を育てていくことが大切であると考えています。

そのこと実現するために、学校完全週5日制の中で、ニ期制を導入し、学校行事を精選し、長いスパンとゆとりの中で児童一人一人に学力の基礎・基本の徹底をはかるとともに、将来社会に出た時の社会人・職業人としての資質や能力の育成を目指す「キャリア教育」の推進を全教育活動を通して図りたいと考えています。

1、本校の児童の課題について

 そこで、本校の児童の実態をとらえると、次のような課題が見られます。

(1) 学校教育活動の全体を通して、児童ひとり一人のたくましく生きる力の基盤となる豊かな心と学力の基礎・基本を育てていく必要があると考えています

(2) 児童ひとり一人に学力の基礎・基本が十分に保障していくためには、家庭学習を中心とした基本的な生活習慣の育成を家庭と協力して図っていくことが必要です。

(3) 良い人間関係が築けるように、児童一人一人の自己肯定感を高め、互いに支えあい、認め合う学級集団づくりを進めていくことが必要であると考えています。

(4) 学習が知識・理解だけに終わらず、さまざまな体験活動を取り入れ、豊かな心と道徳的判断力を育んでいくとともに、人権尊重の精神を規範として行動できる子どもたちを育てていかなければならないと考えています。

 

2、本校の教育目標について

本校では、「よりよい生き方を求めて、高めあう広沢の子」を学校教育目標に掲げ、具体的に次のような子ども像をめざして教育活動に取り組みたいと考えています。

@     自分を大切にし、自己を高める子

A     ともだちを大切にし、集団を高める子

B     地域や社会を愛し、しあわせな社会の実現をめざす子

C     心豊かで、平和を愛し、人権を大切にする子

本校が、学校教育の中において目指す子どもとは、一律にきまりを守らせ、何でも言うことをきく受動的で、主体性のない子を育てることではありません。子どもは、多様な個性と可能性をもっています。同時に欠点やマイナス面もたくさんかかえています。そうしたその子どもの欠点やマイナス面も含めて存在そのものを認め、その個性や可能性をつぶすことなく、のばすようにしたいと考えています。子ども一人ひとりの欲求や願いを、取り巻く集団や社会から認められる形で自己実現できる力を育ててやりたいと考えています。このことがキャリア教育の一番主要な目標であると考えています。そのために、大切なことは、子ども一人ひとりの自己肯定感をしっかり育て、子どもたちが自分自身に自信を持ち、意欲的に学校生活・家庭生活が送れるように支援していくことだと考えています。とりわけ、障害のある子・弱い立場にいる子・家庭的に困難な条件を抱えている子など見捨てることなく、子どもの背後にある要因に踏み込んで、子どもたち一人一人を徹底的に大切にした教育を進めたいと考えています。

平成18年度

学 校 教 育 目 標 構 造 図

より良い生き方を求めて、高めあう広沢の子

全学校教育活動を通して

キャリア教育

 ■児童一人一人が、自分の願いや欲求を、集団や社会から認められる形で

自己実現していける力を育てる。

・基本的な生活習慣の確立

・学力の基礎・基本の保障

・互いに認め合い、支えあう豊かな人間関係の構築

・たくましく生きる力を育てる総合的な学習

・豊かな心を育むさまざまな体験学習道徳教育

・責任感と勤勉性を育てる係活動・委員会活動勤労生産的行事

・コンピュータを操作し、情報を活用する力を育てる情報教育

・豊かな知識と教養を身につける読書教育

 

総合的な学習  国際理解教育(英語活動)と地域学習

国際理解教育

■外国の歴史・文化・習慣などを正しく理解し、積極的に国際化社会の中で活躍できる力を育成する。

英語活動

・英語言語圏の文化や言語に親しみ、簡単な日常英語を使いこなせる力を育成する「楽しく分かりやすい」英語活動

地域学習

地域の自然・環境・歴史・産業を学習の素材として、地域の方々から学ぶ地域学習

   ・地域の自然・歴史・産業・文化・環境などを正しく理解し、地域をより良くして行こうとする

・地域に対する誇りと愛着を育てる

・地域の方々との交流を通してふれあいを深める

3、具体的な教育活動の取組について

本校では、「21世紀に生きる子どもたち」を育成するため、キャリア教育を基盤に、総合的な学習の中での英語活動や地域学習・健康教育・道徳教育を教育推進の重要な柱としながら、あらゆる学校教育活動を人権教育の4つの視点からとらえ、すべての学校教育活動を通して、子どもたちが、自らの進路を切り拓き、自立して生活できるとともに、子どもたち一人一人の人権が保障され、日常生活に人権尊重の精神が息づく学校づくり」をめざしています。

1】自分に自信をもち、自らの生き方を高め、自己実現できる能力を育てる指導について(「自分を大切にし、自己を高める子」)

・児童一人一人に基本的な生活習慣を確立させ、健康自立を図る取組を推進して行きます

・児童一人一人に学力の基礎・基本を保障する取組を推進して行きます。

・「聞く・話す」力やコミュニケーション能力を育てる学習活動を推進して行きます。

児童一人ひとりの自己肯定感をたかめ、児童のやる気や主体性を育てる学習活動を推進して行きます。

・生きる力を育て、生涯学習の基礎となる自学自習の能力を育成する総合的な学習を推進して行きます。

        自己実現の力を育てる上で大切な自己評価の力を育てます。

中でも重点としての取組は、次の取組です。

◎児童一人一人に学力の基礎・基本を保障するとともに、「教え込む授業」から児童の主体性を重視した「楽しく、分かりやすい授業」へと授業改善を図る取組について

(1)普通授業における授業改善の取組について

・各学年の各教科の基礎・基本を明確にし、児童一人一人に基礎・基本の学力を確実に身につけさせます。

・児童の実態を踏まえ、児童の興味・関心を引き出し、子どもの主体性を生かした「楽しく、分かりやすい授業」の創意・工夫を図ります。(自ら学び、自ら考える学習展開・発問・板書の工夫など)

・一人ひとりの自己肯定感を、次のような学習指導・学級経営を通して育てて行きます。

◇問題解決学習や対話活動など児童の主体性をいかす学習活動の形態を積極的に創意・工夫し学習活動を進めて行きます。

◇学習活動や学級経営を通して、互いに人間性や行動を認めあい、励ましあう好ましい人間関係や学習集団を形成します。

◇学習活動や学級経営を通して児童一人一人の人間性や行動を認め、励まし、称賛するなど教師の積極的な児童へのかかわり方を創意・工夫します。

◇児童一人ひとりの学習活動を保証し、誰もがよく分かる楽しい学習活動を創意・工夫し、児童が達成感や成就感が味わえるようにします。

(2)地域学習と英語活動を中心にした「総合的な学習」の取組について

  子どもたち一人一人に、社会の中で「たくましく生きていく力」を身につけさせるために、子ども自ら課題を見つけ、自ら課題を解決していける力を育成していきます。

@地域の歴史・産業・環境などを学習の素材にし、地域の方からいろいろ学ぶとともに、地域の方々の思いや考えを知り、自分達の住んでいる地域に誇りや愛着をもてるようにします。

Aさまざまな外国の文化・習慣・言語についての理解を深めるとともに、国際化社会の中で活躍できる能力や資質を育てる。とりわけ、英語活動の中で、外国人指導助手とのふれあいを通して、英語を使ったり、英語圏の文化・習慣について親しみます。同時に英語活動を切り口として「分かりやすく楽しい授業」を創意・工夫し、授業改善を図っていきます。

(3)基礎・基本の習熟化を図る取組について

漢字の読み・書きや計算力を身につけさせるために、毎日10分間の帯時間を設定し、児童に自分の実態に合った課題プリントを選ばせ、自学自習をさせる。出来るだけ複数体制により、進度の遅い児童や理解不十分の児童に個別対応するなど工夫します。

また、「漢字検定」や「計算力向上プログラム」など基礎学力の習熟を図る取り組みを進めます。

(4)学力の基盤をつくる読書指導の取組について

  始業前の10分間に、「朝の読書」の時間を設定し、毎日読書をさせます。これも「話す・聞く」力や学力を支える大切な基盤となると考えています。

◎児童の「心身の健康自立」を目指し、基本的生活習慣の育成と健康教育の充実を図る取組について

・素足はだし教育を推進します。(つま先立ち・足指ジャンケン・豆つかみ)

・すべての児童にたくましく生きる基礎的な体力を身につけさせ、健康生活が送るための自己管理能力を育成します。(体育の普通授業・体力づくり・マラソン大会等)

・自分の成長や健康に関心を持ち、自他の体を大切にする子どもの育成を図る。

・「生活点検表」による児童の生活実態調査と生活指導を行い、基本的生活習慣の確立を図ります。

6年間の「性教育」を通して、いのちの大切さや正しい性に関する考え方を育てて行きます。

・性教育を中核にしながら、人権教育や心の教育をも含めたエイズ教育を推進して行きます。

[2]互いに認め合い、ともに助け合い、高め合って生きる態度を育てる指導について(「友達を大切にし、集団を高める子」)

・徹底した共鳴・共感的理解により児童と教師の信頼関係を築いて行きます。

・児童一人一人の自己実現をきめ細かに支援する生徒指導を推進して行きます。

・互いに決まりや約束を守り、支えあい、認め合う学級経営を推進して行きます。

・児童相互の話し合い活動(対話)を重視した学習活動を推進していきます。

・道徳的心情を深める道徳の時間の指導を中心とした「心の教育」を推進し、豊かな心を育成していきます。

・地域の自然・環境・福祉・産業・歴史などを地域の人々とのふれあいを通して、地域の人々の思いや考え方を学ぶ「総合的な学習」を推進して行きます。

    お年寄りや障害のある人々とのふれあいを通して、相手の立場に立って、思いやる心情を育てて行きます。

[3]人間や社会に対する正しい理解・認識を深める指導について

(「地域や社会を愛し、しあわせな社会の実現をめざす子」)

・社会科学習や道徳の指導などの指導を通して、正しい人権意識・認識を育てる指導を進めます。(全学年)

・同和問題をはじめさまざまな人権問題についての正しい理解・認識を育てる指導を進めます。(16)

・エイズ及びエイズ予防に対する正しい理解・認識を育て、エイズ患者に対する差別・偏見をなくす指導を進めます。

・男女平等に対する正しい理解・認識を育てる指導を進めます。

・自他の生命の大切さを学ぶ「命の教育」(性教育)を推進進めます。

    人権教育・環境教育・福祉教育を通して、これからのあるべき社会の姿を考える学習を進めます。

[4]豊かな心を育て、「人権という普遍的文化」の担い手を育てる指導について             (「心豊かで、平和を愛し、人権を大切にする子」)

(1)     学校教育活動を人権教育の4つの視点からとらえなおし、すべての教科・領域を通して、「人権尊重の精神を規範とする子ども」を育成していきます。

「人権目標構造図」を作成し、あらゆる学校教育活動において、常に人権を意識し、人権の視点に立った教育活動を推進します。

(2)豊かな体験活動を基盤に、「道徳教育」を中心にした「心の教育」の教育の充実を図っていきます。

豊かで、便利な社会の中で、価値観の多様化や地域・家庭の教育力の低下にともない、今、子どもたちの「心の荒廃」が叫ばれています。地域のお年寄りとのふれあいや有栖川など地域清掃や自然の中での体験活動など様々な体験活動を基盤に、「道徳の時間」の指導を中心にして、子どもに「自ら律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性」を育むことが必要だと考えています。子どもたちが豊かな人間関係を築けるように支援していきます。

 

4,上記以外の、学校運営・教育活動全般の具体的な構想について

(1)情報教育の充実を図ります。

  すべての児童がコンピュータの基本操作に習熟し、総合的な学習などを中心にインターネットなどを積極的に活用した学習活動が出来るようにしたいと考えています。

(2)地域に開かれた学校作りを進めます。 

学校の教育内容を広く公開し、地域の人々の意向を学校教育に反映するとともに、地域の人材活用により、学校教育活動の活性化を図り、学校・地域・家庭の役割と責任を明確にしつつ、互いに協力して児童の健全育成を図ることが大切であると考えています。

@地域・保護者に学校教育内容を広く公開し、感想や意見を求め、学校教育に地域や保護者の意向を反映し、地域や保護者に開かれ、信頼される学校にして行きます。

・学校評議員制度・地域の各種団体の会合・PTAの総会や役員会などでの教育内容を積極的に公開して行きます。

・学校だより・地域だより・学級通信の情報誌等で広報活動を積極的に行って行きます。

・学校評価(自己評価・外部評価)の導入により、学校教育活動の改善を図ります。

A学校教育の中にすぐれた知識や技能をもった地域の人材の活用を積極的に行い、教職員に不足するものをおぎなったり、学校教育をより幅広いものにして行きます。

・「総合的な学習」や生活科の学習などで地域からゲスト・ティーチャーをお招きして地域の事や昔の暮らしなどを教えていただきます

・地域のお年寄りとの昔の遊び大会や町清掃などの交流を通して、工夫して楽しむ方法を学ぶとともに、ふれあいを深めて行きます。

・部活動などで地域の人々にスポーツを指導していただきます。

B学校・家庭・地が互いの役割と責任を明確にしつつ、互いに連携しながら児童の健全育成を図って行きます。

PTA家庭教育学級等で子育てについてのさまざまな研修、学校・地域・PTAの代表によるパネルディスカッションや議論などを積極的に行い、子育てについての議論を深めるとともに、お互いの役割と責任についての理解を図ります。

「子育て語り合いサロン」を開き、子育てサポータや地域の民生委員さんと連携・協力しながら保護者の子育てを積極的に支援していきます。

・学校・地域・家庭が子育てについての共通の目標を持ち、互いに協力して児童の健全育成に取り組みます。

PTAや地域の行事に、子どもたちが参加するように積極的に働きかけ、子どもが地域の人々とふれあう場や機会を数多くすることにより、地域の中で親しい人間関係を築いていきます。

・「地域の子どもは地域で育てる」を合言葉に、休業中の子どもの体験活動を支援するために、PTA・地域各種団体が「広沢ふれあい活動推進協議会」を組織し、事業・行事の一元化を図り、協力して児童の健全育成にあたります。

「広沢子ども安全会議」を立ち上げ「地域の子どもは、地域が守る」を合言葉に、学校・家庭・地域が互いに連携・協力しあいながら児童の安全を守ります。

・学校の課外の部活動と連携・協力しながら、休業日の子どものスポーツ活動を地域の指導者がボランティアで指導にあたります。

・家庭訪問・懇談会を通じて、児童の教育課題について共通理解を図るとともに、家庭の責任や役割について理解をしてもらうよう働きかけをする。