平成18年度

広沢小学校のキャリア教育について

1.はじめに

 今日、人類は、かってない文明の発展を遂げ、豊かで便利な社会を現出させた。また、わが国においても、科学技術の飛躍的な進展により、私達国民の生活は大変豊かで便利なものとなってきた。さらに価値感・生活様式が多様化する中で、規範意識、道徳心が希薄になり、心の荒廃が叫ばれている。とりわけ社会の規範や人命や人権が軽視され、互いに支えあい、助け合うなどコミュニティの連帯意識、人間関係が薄れつつある。

また、豊かな社会の中で、自分の生きる目標を明確にもてなかったり、対人関係をうまく築けなかったり、勤労意欲をもてなかったりするなど社会人・職業人としての資質・能力を欠いたりすることから、ニートや引きこもりといった現象が生れ、新たな社会問題となっている。

こうした中で、子ども達の生活も大きく影響を受け、基本的な生活習慣や学力の低下をはじめいじめや不登校や学級崩壊などさまざまな教育的課題が生じており、学校のみならず地域・家庭と連携した教育改革が必要となってきている。

本校では、児童が現在および将来にわたって、社会の中で他の大勢の人々と支えあい認め合う中で、たがいに協力しながら、自己の欲求や願いを社会から容認される形で自己実現できる資質や能力及び実践的態度を育てていくこと、すなわち、互いに共生・共学しながら「心豊かにたくましく生きる力」を身につけさせたいと願っている。

そのためには、基本的な生活習慣の確立を基盤に、生きる力の基礎となる学力の基礎・基本ならびにそうした学力を生涯にわたり獲得していくための学び方の体得、人と差別や偏見なく関わり、好ましい人間関係を築き、ものごとを正しく判断するための人権意識を基盤とする豊かな心、そうしたものすべてを支える土台となる健康や体力を育てていくことが大切であると考えている。

そのこと実現するために、学校完全週5日制の中で、ニ期制を導入し、学校行事を精選し、長いスパンとゆとりの中で児童一人一人に学力の基礎・基本の徹底をはかるとともに、将来社会に出た時の社会人・職業人としての資質や能力の育成を目指す「キャリア教育」の推進を全教育活動を通して図りたいと願っている。

 本年度からは、新たに経済産業省地域自立・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の指定を受けたこともあり、嵯峨中学校・嵯峨小学校・嵐山小学校と小中連携の中でキャリア教育をよりいっそう進めて行きたいと考えている。

2.学校教育目標構造図

平成18年度 学校教育目標

より良い生き方を求めて、高めあう広沢の子

自分を大切にし、自己を高める子

友達を大切にし、集団を高める子

地域や社会を愛し、幸せな社会を実現する子

豊かな心をもち、平和を愛し、人権を大切にする子

↑全教育活動を通して

キャリア教育キャリア教育とは、地域や社会とのかかわりの中で生き方を考え、生きる力を育む「生き方探究教育」である。

 ■児童一人一人が、自分の願いや欲求を、集団や社会から認められる形で

自己実現していける力を育てる。

・基本的な生活習慣の確立

・学力の基礎・基本の保障

・互いに認め合い、支えあう豊かな人間関係の構築

・たくましく生きる力を育てる総合的な学習

・豊かな心を育むさまざまな体験学習道徳教育

・責任感と勤勉性を育てる係活動・委員会活動勤労生産的行事

・コンピュータを操作し、情報を活用する力を育てる情報教育

・豊かな知識と教養を身につける読書教育

総合的な学習  国際理解教育(英語活動)と地域学習

国際理解教育

■外国の歴史・文化・習慣などを正しく理解し、積極的に国際化社会の中で活躍できる力を育成する。

英語活動

・英語言語圏の文化や言語に親しみ、簡単な日常英語を使いこなせる力を育成する「楽しく分かりやすい」英語活動

地域学習

地域の自然・環境・歴史・産業を学習の素材として、地域の方々から学ぶ地域学習

   ・地域の自然・歴史・産業・文化・環境などを正しく理解し、地域をより良くして行こうとする

・地域に対する誇りと愛着を育てる

・地域の方々との交流を通してふれあいを深める

3.広沢小学校のキャリア教育について

(1)基本方針について

@    キャリア教育は、教育目標や教育計画に明確に位置付けて、全学校教育活動を通して、全学年で取り組んでいく。

A    すでに行っている教育活動をキャリア教育の視点からあらためて見直し、下記のキャリア教育のねらいに合致するものは、キャリア教育として位置付け取り組んでいく。

B    産業経済省の指定を受け、新たに「観光」をテーマとして特化した内容については、嵯峨中学校・嵯峨小学校・嵐山小学校・広沢小学校の4校が互いに共通理解し、6年生の共通の学習内容・学習活動として取り組んでいく。

(2)キャリア教育で子どもにつけたい力について

下記のような力をさまざまな教育活動の中で育成していく。

《共生と自立を柱とする5つの領域と17の力》

@    人とともに生きる力(人間関係形成力)

・自己と他者を理解する力

・コミュニケーションを豊かにする力

・世界に視野を広げる力

A    社会でともに生きる力(社会参画能力)

・地域とともに生きる力

・集団に適応しともに生きる力

   ・家族とともに生きる力

B    よりよく判断する力(意思決定能力)

・自らの意思と責任で判断する力

・自らが考え選択する力

・自ら課題を見つけ解決する力

C    情報を集め活用する力(情報決定能力)

・情報を収集し探究する力

・職業について理解する力

・情報技術を活用する力

D    自己の夢を作り上げる力(自己理解・将来設計能力)

・自分社会的役割を認識する力

・計画を実行し実行する力

・心理的な自己自立を図る力

・社会的な自己自立を図る力

・意欲的に学ぼうとする力

6年生におけるキャリア教育の実践例(1922時間)

学習のねらい 広沢学区の自然や歴史のすばらしさをラジオで広く発信すると

ともに、ラジオ番組の制作を通して企業活動を体験する。

 

実  施  内  容

STEP1

2時間

97()

講演@

写真集「広沢池の四季」を出版された写真家田口郁明氏から広沢池の魅力について話を聞き、地域のよさを見直す。

STEP2

2時間

915()

広沢学区の自然や歴史のすばらしさについて認識し、あらためて広沢学区の自然や歴史について探検する。

STEP3

1時間

920()

「広沢ラジオ放送局」の設立

広沢学区の自然や歴史のすばらしさを伝えるために、子どもラジオ局を設立する。(プロモーション活動)

STEP4

2時間

926()

講演A

嵐山「渡月亭」の南藤洋氏から嵯峨・嵐山の観光の現状と課題についてお話を聞く。(プロモーション活動の視点)

STEP5

2時間

103()

講演B

FM京都の方からラジオ放送局のしくみやプロモーション活動についてお話を聞く。

 

STEP6

23時間

1011()

社会見学

FM京都のスタジオを見学し、どのようにしてラジオ番組が作られるのか、どのような役割があるのかを理解する。

STEP7

1時間

1017()

放送局を見学して学習したことをもとに、広沢ラジオ放送局を組織し、必要な役割分担を決める。

STEP8

35時間

111317

講演C

ラジオ局のスタッフの指導により、実際に広沢学区の自然や歴史を宣伝するための番組を制作する。

STEP9

2時間

1120()

プレゼンテーション

STEP10

2時間

124()

反省と課題(評価)

 

広沢池の魅力を学ぶ広沢の子

 

 

 

〜自然の奥深さを作品を通して語る写真家田口郁明氏〜

 97()の午前945分から、広沢小学校のトレーニングルームにおいて、広沢池に美しさに魅了され、10年間にわたり広沢池の風景写真を撮りつづけておられる写真家の田口郁明先生をお招きして、6年生90名が広沢池の魅力についてお話をうかがいました。









 広沢小学校では、今年から将来、社会人として職業人としての能力や資質を育成するために全校でキャリア教育に取組はじめました。中でも、6年生では、産業経済省「地域自立・民間活用型キャリア教育」研究推進校の指定を受けて、嵯峨中学校・嵯峨小学校・嵐山小学校と連携しながら「観光」をテーマにしたキャリア教育を進めています。このたびの田口先生の講演会も、こうしたキャリア教育の一貫として、地域の自然や歴史のすばらしさを学び、放送番組作りを通じて積極的に広く発信していく総合的な学習の第一段階の学習として計画されました。田口先生のお話や数々のすばらしい風景写真を通して、もののとらえ方や見方などを学びとり、改めて自分たちの住んでいる地域のよさをとらえなおして欲しいとの願いを込めておこなわれました。子どもたちは、こうした指導者の願いをしっかりととらえ、「よく行くのに見たことのない風景ばっかりだった。」と日頃見慣れている広沢池が見る季節・時間・場所を変えることにより、まるで違う風景として見えることに気付いてくれていました。田口郁明先生本当にありがとうございました。