平成19年度

広沢小学校の教育について
 

 


京都市立広沢小学校

校 長   泉 裕 幸

  本校では、お子達が、将来、社会に出られた時に、社会人として活躍し、自分の夢や願いを自己実現できることを強く願っています。そのために、社会人・職業人としての能力・態度・資質の基礎を身につけていただくキャリア教育を柱として学校教育を進めています。具体的には、「基本的な生活習慣の育成」と「学力の基礎・基本の保障」と「豊かな人間関係作り」を中心に、次のような教育を進めています。

[1]                 基本的な生活習慣を身につける取組

,子ども達の学力や心の問題について,いろいろな方面で盛んに議論されています。最近,文部科学省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」から出された報告によると,「子どもの心の成長のためには基本的生活リズムの獲得食育が重要である」と,心の成長と基本的生活習慣の育成との関係性が指摘されています。

また,今年の日本PTAの全国大会における陰山英男先生のご講演においても,学力低下の原因として社会の夜型化等にともなう睡眠時間の不足や食事における摂取食品の不足などをあげながら,学力を高めるためには、「早寝・早起き,朝ごはん」など基本的な生活習慣の育成の大切さを提唱しておられます。

学力の基礎・基本の定着を図る上で、何よりも基本的な生活習慣の育成が基盤となります。基本的な生活習慣の確立している児童は、自己肯定感も高く、学習活動に対しても積極的であるとの報告もあります。基礎的な生活習慣は、賞賛や励ましなど家庭での親の積極的な関わりの中で形成されるといわれています。

本校でも、登校時に、挨拶ができない、元気がない子どもたちがいます。まだ脳が十分に目覚めていない子どもたちがいるようです。学校に来て、しっかりと勉強するには、学習時間に脳が目覚めるように遅くとも午前7時までに起きなければいけません。そして、朝ご飯をしっかりと食べて、脳が活発に働けるように活動のエネルギ−を蓄えなければなりません。朝早く起きるには、夜遅くとも9時から10時には寝ることが必要です。ですから、午後5時までには、家に帰り、晩ご飯・入浴・家庭学習・明日の準備などを済ませることが必要です。このように家庭学習を中心とした生活のリズムを身につけることがこの時期何よりも大切です。10歳までの睡眠や食事などの基本的な生活習慣の育成が脳の前頭葉の発達に大きな影響を及ぼすといわれています。

また、学力の基礎・基本を身につけるには、家庭でも発達段階にあわせて毎日一定時間机に向かって学習する家庭学習の習慣を身につけることが必要です。宿題だけなでなく、学校での復習や予習・読書などをすることによって、学力の向上だけでなく集中力や主体性が養われます。こうした基本的な生活習慣の育成を基盤として、お子たち一人一人に学力の基礎・基本を身につけていただきたいと考えています。

[2]                 学力の基礎・基本を身につける取組〜算数科学習を中心に〜

本校では,「子ども一人ひとりを徹底的に大切する」という京都市の教育の伝統にたち,自己肯定感の育成を基盤に児童の人間としての生き方を高め,混迷する,先行き不透明な社会の中で,その夢や願いを社会から容認される形で自己実現できる力を育成するように支援すること,すなわち児童が将来、社会の中でその存在を認められ,立派に自分の能力を発揮できるようにたくましく生きる力を身につけるよう支援することを何よりも大切にしたいと考えて教育活動に取り組んでいます。

そして,児童一人ひとりの自己肯定感を育むとともに,「基本的な生活習慣の確立」「学力の基礎・基本の学力を保障する。」ことを重点目標として取り組みを進めています。

さらに,そのことを具現化するために,日々子どもの主体性を重視した,「楽しく,分かりやすい授業」の創意・工夫に努めてきました。

とりわけ,その中心となる校内研究活動においては,算数科学習を中心に,誰にも「楽しく,分かりやすい授業」をめざして教職員一丸となり取組を進めています。児童の発達段階をきちんとふまえ,児童の興味・関心などの実態にあわせて,すべての児童に届く,「楽しく、分かりやすい算数科学習」の創造に努めるとともに,あわせて教材・教具の整備も行っています。

すべての児童が学習活動に意欲的に取り組め、学習内容が理解できるように、既習の学習内容の定着を確認したり、具体的な操作活動や体験活動を取り入れたり、ヒントカードを活用したりするなどさまざまな創意・工夫をしています。

さらに、全教職員が授業を公開しあい、指導技術の向上に努めるとともに、全ての教科・領域において、子どもにとって「楽しく、分かりやすい授業」をめざして、日々授業改善のための創意・工夫に取組んでいます。

また、学力向上委員会を立ち上げ、全校体制で「広沢漢字検定」「計算力スキルアッププログラム」「読解力プログラム」の実施や国語辞典の積極的な活用や放課後や長期休業中の補習学習など積極的に児童の学力の向上に取組んでいます。そのために、本校児童は、学力調査において、全学年・全教科で昨年度の平均点を上回るなど、一定の成果を上げています。

[3]                  キャリア教育 

今日、人類は、かってない文明の発展を遂げ、豊かで便利な社会を実現しました。また、わが国においても、科学技術の飛躍的な進展により、私達国民の生活は大変豊かで便利なものとなってきました。一方、価値感・生活様式が多様化する中で、規範意識、道徳心が希薄になり、心の荒廃が叫ばれています。とりわけ社会の規範や人命や人権が軽視され、互いに支えあい、助け合うなどコミュニティの連帯意識、人間関係が薄れつつあります。

また、豊かな社会の中で、自分の生きる目標を明確にもてなかったり、対人関係をうまく築けなかったり、勤労意欲をもてなかったりするなど社会人・職業人としての資質・能力を十分に発揮することができないために、ニートや引きこもりといった現象が生れ、新たな社会問題となっています。

こうした中で、子ども達の生活も大きく影響を受け、基本的な生活習慣の欠如学力の低下をはじめいじめや不登校や学級崩壊などさまざまな教育的課題が生じており、学校のみならず地域・家庭と連携した教育改革が必要となってきています。

本校では、児童が現在および将来にわたって、社会の中で他の大勢の人々と支えあい認め合う中で、たがいに協力しながら、自己の欲求や願いを社会から容認される形で自己実現できる資質や能力及び実践的態度を育てていくことが大切であると考えています。

そのことを実現するために、児童が将来社会に出た時の社会人・職業人としての資質や能力の育成を目指す「キャリア教育」の推進を全教育活動を通して図りたいと願っています。昨年度から経済産業省地域自立・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の指定を受けたこともあり、嵯峨中学校・嵯峨小学校・嵐山小学校と小・中連携の中でキャリア教育をよりいっそう進めて行きたいと考えています。

とりわけ、56年生では、自然や歴史や観光をテーマにしたキャリア教育を総合的な学習の中で進めています。自分たちで広沢の自然や歴史について調べ、広沢の地域の素晴らしさを知り、地域に誇りと愛着を感じています。そのことをFM京都やみやビジョンのスタッフの皆さんのご協力によりラジオやテレビ放送番組を作り、多くの人々に発信しようとしています。

[4]                 小学校英語活動

文部科学省の中央教育審議会で、小学校で英語活動が必修化される方向が方針として決められました。今年度中には、新しい学習指導要領において、高学年において週1時間程度学習することが明確に出される予定です。

広沢小学校では、5年前から小学校英語活動に取り組んでいます。京都市の指導資料に基づいて、独自のカリキュラムを作成し、「楽しく分かりやすい小学校英語活動」の指導方法の研究を行うと共に、英語ルームの環境整備や教材教具の整備を進めてきました。昨年度は、こうした取組みの成果を「3回全国小学校英語活動実践研究大会」で発表し、全国的に大変高い評価を得ました。それで、今年から2年間、文部科学省の国立教育政策研究所の研究協力校の指定を受けると共に、京都市の小学校英語活動の拠点校として授業や開発教材を積極的に公開し、小学校英語活動の指導法の普及につとめています。

[5]                 総合育成支援教育

 今、文部科学省の統計調査によると、発達遅滞・盲聾・肢体不自由・発達障害など障害のある児童・生徒が全国に約10パーセントいると言われています。こうした児童・生徒が将来、自立し、社会参加していけるように支援していくとともに、障害のある人もない人も共に助け合って生きる社会の実現に向けて、子どもたちが障害について正しく理解できるように教育活動に取組んでいかなければなりません。

 とりわけ、LDADHD、高機能自閉症など発達障害の児童に対する支援の問題が今日的な教育課題として大きく取り上げられています。

 本校では、昨年度よりLD等通級指導教室の設置に伴い、京都市からLDADHD、高機能自閉症など発達障害の児童に対する支援の在り方についての研究指定を受けました。LD等教育的ニーズのある児童への支援の在り方について、校内委員会を設置し、全校体制で取組を進めるとともに、算数科学習を切り口として「集中持続」「指示理解」「学習理解」「社会性」4つの視点から具体的な支援の方法についての研究をすすめています。

[6]                 情報教育

 情報化社会の中で、コンピュータの操作やコンピュータ情報の活用が不可欠になってきています。すべての児童がコンピュータの基本的な操作に慣れ、親しめるようにコンピュータ教室を設置し、1年生から系統的に情報教育に取組んでいます。

社会科学習や総合的な学習でインターネットを利用して必要な情報を集め活用したり、コンピュータを活用して資料や文章を作成したりして学習活動を進めています。

[7]                 健康教育

全国的に児童の生活のリズムや食生活の乱れが指摘されています。本校では、「早寝・早起き・朝ごはん」など基本的な生活習慣の育成を健康教育の最重点目標にし、児童の「心身の健康自立」を目指しています。生活点検を通して、児童の実態把握につとめるとともに、家庭と協力して基本的生活習慣の育成に努力しています。

 また、本校では、20年以上続いている素足・はだし教育やマラソンや縄跳びなどの体力づくりにも取組んでいます。

 さらに、う歯予防のために、フッ化物洗口や食後の歯磨きにも取組んでいます。それで、毎年、歯の健康優良校として表彰されていますが、昨年は、京都市を代表して23回京都府歯科保健文化賞を受賞しました。今年も健康教育の優良校の京都府表彰を受けることになりました。

さらに、6年間の「性教育」を通して、いのちの大切さや正しい性に関する考え方を育てる取組を推進しています。

[8]                 心の教育

豊かで、便利な社会の中で、価値観の多様化や地域・家庭の教育力の低下にともない、今、子どもたちの「心の荒廃」が叫ばれています。

本校では、「みさきの家」や「山の家」など自然の中での野外活動地域のお年寄りとのふれあい有栖川など地域清掃やなど様々な体験活動を基盤に、「道徳の時間」の指導を中心にして、子どもに「自ら律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性」を育むことが必要だと考えています。子どもたちが豊かな人間関係を築けるように支援していきます。

9] 開かれた学校作り

今、学校・家庭・地域の連携・協力による「社会総がかりの教育改革」の必要性が叫ば

れています。学校・家庭・地域が互いの役割と責任を明確にしつつ、互いに連携し

ながら児童の健全育成を図って行くことが大切です。そのためには、「地域に信頼さ

れ、開かれた学校作り」をしていかなければなりません。

「学校運営協議会」を立ち上げ、地域や保護者の皆様の学校運営への参画により保護者・地域の皆様の意向を学校教育に反映するとともに、地域や保護者の皆様の教育活動への参加により、学校教育活動の活性化を図り、学校・地域・家庭の互いの役割と責任を明確にしつつ、互いに協力して児童の健全育成を図っていきます。

@地域・保護者の皆様に学校教育内容を広く公開し、感想や意見を求め、学校教育に地域や保護者の意向を反映し、地域や保護者に開かれ、信頼される学校にして行きたいと考えています。

学校運営協議会・学校評議員の教育懇談会・地域の各種団体の会合・PTAの総会や役員会などでの学校教育の内容について積極的に公開していきます。

学校だより・地域だより・学校のホームページ・学級通信の情報誌等で広報活動を積極的に行っていきます。

・「計画」・「実行」・「評価」のサイクルがうまく機能する学校評価活動(自己評価・外部評価)の導入により、学校教育活動の改善を図っています。

A学校教育の中にすぐれた知識や技能をもった地域の人材の活用を積極的に行い、教職員に不足するものをおぎなったり、学校教育をより幅広いものにして行きます。

・「総合的な学習」や生活科の学習などで地域からゲスト・ティーチャーをお招きして地域の事や昔の暮らしなどを教えていただきます

・地域のお年寄りとの昔の遊び大会町清掃などの交流を通して、工夫して楽しむ方法を学ぶとともに、ふれあいを深めて行きます。

部活動やスポーツ少年団活動などで地域の人々にスポーツを指導していただきます。

B学校・家庭・地域が互いの役割と責任を明確にしつつ、互いに連携しながら児童の健全育成を図って行きます。              

・学校運営協議会やPTA等で子育てについてのさまざまな講演や、学校・地域・PTAの代表によるパネルディスカッションなどを積極的に行い、子育てについての議論を深めるとともに、学校・家庭・地域がお互いの役割と責任についての理解を深めています。

「子育て語り合いサロン」などを開き、子育てサポータや地域の民生委員さんと連携・協力しながら保護者の子育てを積極的に支援していきます。

・学校運営協議会を中心となり、学級懇談会などで学校・地域・家庭が子育てについての共通の目標を持ち、互いに協力して児童の健全育成に取り組みます。

「もちつき大会」「区民の集い」・「区民運動会」や「神社の祭礼」などPTAや地域の行事に、子どもたちが参加するように積極的に働きかけ、子どもが地域の人々とふれあう場や機会を数多くすることにより、地域の中で親しい人間関係を築いていきます。

・学校運営協議会が中心となり、「地域の子どもは地域で育てる」を合言葉に、休業中の子どもの体験活動を支援するために、PTA・地域各種団体と連携して「広沢ふれあい活動推進協議会」を組織し、事業・行事の一元化を図り、協力しての健全育成にあたっています。

・学校運営協議会が中心となり、「広沢子ども安全会議」を立ち上げ「地域の子どもは、地域が守る」を合言葉に、学校・家庭・地域が互いに連携・協力しあいながら児童の安全を守っています。

・学校運営協議会が中心となり、学校の課外の部活動休業日の子どものスポーツ活動を地域の指導者の方がボランティアで指導にあたっていただいています。

・学校運営協議会が中心となり、学級懇談会などで、児童の教育課題について共通理解を図るとともに、互いの責任や役割について理解を深め合います。