平成17年度

英語活動自主研究発表会のご報告

京都市立広沢小学校

校 長 泉 裕 幸

,子ども達の学力や心の問題について,いろいろな方面で盛んに議論されています。

最近,文部科学省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」から出された報告によると,「子どもの心の成長のためには基本的生活リズムの獲得や食育が重要である」と,心の成長と基本的生活習慣の育成との関係性が指摘されています。

また,今年の日本PTAの全国大会における陰山英男先生のご講演においても,学力低下の原因として社会の夜型化等にともなう睡眠時間の不足や食事における摂取食品の不足などをあげながら,学力を高めるためには、早寝・早起き,朝ごはんなど基本的な生活習慣の育成の大切さを提唱しておられます。

本校では,「子ども一人ひとりを徹底的に大切する」という京都市の教育の伝統にたち,自己肯定感の育成を基盤に児童の人間としての生き方を高め,混迷する,先行き不透明な社会の中で,その夢や願いを社会から容認される形で自己実現できる力を育成するように支援すること,すなわち児童が将来、社会の中でその存在を認められ,立派に自分の能力を発揮できるようにたくましく生きる力を身につけるよう支援することを何よりも大切にしたいと考えて教育活動に取り組んでいます。

そして,児童一人ひとりの自己肯定感を育むとともに,「基本的な生活習慣の確立」と「学力の基礎・基本の学力を保障する。」ことを重点目標として取り組みを進めています。

さらに,そのことを具現化するために,日々「子どもの主体性を重視した,楽しく,分かりやすい授業」の創意・工夫に努めてきました。

とりわけ,その中心的な取組である校内研究においては,「異なる文化に興味をもつ子〜いきいきと楽しく取り組む英語活動を通して〜」を研究テーマに掲げ,総合的な学習の中で,英語活動を切り口として,誰にも「楽しく,分かりやすい授業」の創造をめざして教職員一丸となり取組を進めてまいりました。児童の発達段階をきちんと踏まえ,児童の興味・関心などの実態にあわせて,広沢独自の「年間学習計画」を作成し,評価規準も設定し,児童一人ひとりに届く,「楽しく、分かりやすい英語活動」の創意・工夫に努めるとともに,あわせて英語ルームの整備や教材・教具の整備も行ってきました。

そこで、本校のこうした教育実践について広く知っていただき、いろいろな方々から忌憚のないご意見ご感想をいただきたいと考え、124日に英語活動の「自主研究発表会」を開催致しました。本校教職員や保護者の方々を含めて約100名の方々が英語活動の授業参観・シンポジュウムに参加いただき、英語活動についての互いの思いや考えを交流し合いました。愛知・広島・埼玉など他府県からの参加もありました。ご参加いただきました皆様に厚くお礼を申し上げます。

また,本校の研究推進にあたり,京都市小学校英語活動研究会長坂野治利先生,また,京都市教育委員会より京都市総合教育センター・カリキュラム開発支援センター指導主事の直山木綿子先生,研究指導員の有友光弘先生より,さまざまなご指導ご助言を賜りましたことに感謝いたしたいと存じます。

 自主研究発表会では、午後2時から下記のとおり4つのクラスで授業公開が行われまし

た。どの学年も、参観された先生方から「大変参考になりました。子どもたちが、どの子も生き生きと活動していました。指導も大変工夫されていました。ALTHRTの連携もとてもよかったです。とても参考になりました。」「大変よい授業を見せていただきました。低・中・高のそれぞれの発達段階に応じた活動とALTの適材適所()の配置―参考になりました。ありがとうございました。」などとたいへん好評でした。

公開授業 午後2時〜245分 英語活動の授業公開

学年・学級

内    容

指    導    者

13

からだの部分

斎藤弘美 マルガリーテ・W・黒川

22

この動物なーに?

西井孝行 アンドルー・チャールトン

33

カレンダーを作ろう

大黒佳子 ミーガン・ジャン・今井

51

有栖川探検隊

金田裕美 フィオナ・ブラントン

さらに、午後255分からは、「英語で求められる力」をテーマに下記の通り「シンポジウム」を行いました。

■シンポジウム「英語活動で求められる力」

コーディネータ 本校副教頭   真野恵美子教諭

シンポジスト  本校研究主任  西村尚子教諭

同     本校4年担任  桃井智美教諭

  同     外国語指導助手 マルガリーテ・W・黒川さん、

同     嵯峨中学校   土井絹世教諭

同     広沢小学校PTA 柴原雅子さん

指導講評  京都市教育委員会カリキュラム開発支援センター

指導主事  直山木綿子先生

 シンポジウムでは、研究主任から本校が英語活動に取り組むにいたった経緯や英語活動

の取組の概要について詳しい説明をするとともに、「京都市教育委員会の指導計画及び実践事例集をもとにして本校独自のカリキュラムを作成し、教員全員が互いに授業を公開し合い、楽しく、分かりやすい英語活動のあり方について研究活動を行えて大変良かった。」と語られた。さらに、4年担任からは、実際の映像を交え、具体的な英語活動の指導の進め方についての詳しい説明があり、それを受けて、外国人指導助手から、「はじめは、外国人指導助手を中心に英語活動が進められていたが、今では、担任の先生が中心になってすすめておられる。」とか、中学の英語担当の先生から小学校英語活動と中学校の英語科学習との違いや小学校で英語活動に取り組んだ広沢小学校出身の生徒が授業の中で学習活動をリードしていることなどが発表された。さらに、保護者の立場からも「子どもたちが、外国の人とごく自然に英語で簡単な挨拶や会話をしている。今からこうして英語に慣れ親しむことが、子どもたちの豊かな心とコミュニケーション力を高めることにつながると期待している。」など本校の英語活動の取組について、いろいろと意見や感想が述べられました。その後、「職員集団がとてもよいと思いました。こういう集団だから、研究が進められたのだと思います。良い職員集団、よい学級集団の大切さを感じました。ありがとうございました。」など会場からも質問や意見や感想が出て、英語活動について活発な意見の交流を行うことができました。(くわしくは、「アンケートのまとめ」をご覧ください。)

 最後に、カリキュラム開発支援センター指導主事の直山木綿子先生から「広沢小学校が3年間、校長先生を中心に教職員が一丸となり、熱心に取り組まれ、大変すばらしい成果を生み出されている。こうした取組を全市にも広げていきたい。」との指導講評をいただき、研究発表会を無事終了することができました。

自主研究発表会には、全部で109名の参加がありました。参加者の内訳は次のとおりです。

来賓  5名

直山木綿子先生 京都市総合教育センター・カリキュラム開発支援センター指導主事

太田佐知子先生 京都市教育委員会・特別社会教育指導員

北波 博先生  嵯峨中学校長、上平伸也先生  嵯峨小学校教頭

有友光弘先生  特別指導員(小学校英語活動) 大藪小学校

他校教職員 38名

右北支部(21)

嵯峨小学校(6)、御室小学校(3)、常磐野小学校(6)、高雄小学校(1)、京北第一小学校(2)

京北第二小学校(2)、京北第三小学校(1)

他支部(7)

藤ノ森小学校、正親小学校、大将軍小学校、境谷小学校、桂東小学校、久世西小学校

松尾小学校

中学校・高校(7)

洛北中学校、松尾中学校、蜂ケ岡中学校、大原中学校、衣笠中学校、二条中学校

嵯峨中学校

他府県・府下(3)

広島県・高南小学校、埼玉県さいたま市立城北小学校、愛知県知立市立知立小学校

その他(英語教室教師など) 4名

地域の皆さん          3名

PTA保護者          28名

本校教職員          27名

外国人指導助手        4名

参 加 者 ア ン ケ ー ト の ま と め

(1)   公開授業について

・どのクラスの子どもたちも、とても生き生きと英語活動に取り組んでいました。

5年の授業を参観させていただきました。始まる前の歌やチャンツはとても元気かよく、リズムがあって参考になりました。担任の先生とALTの先生の息もピッタリ!

 授業の随所に工夫と苦労のあとが感じられました。

・大変参考になりました。子どもたちが、どの子も生き生きと活動していました。指導も大変工夫されていました。ALTHRTの連携もとてもよかったです。とても参考になりました。

・思ったよりレベルも高く、生徒が楽しんでいることに驚きました。

・担任の先生とALTの役割や授業の進め方などとても参考になりました。ありがとうございました。

・学年もそれぞれに工夫されていて良い授業内容でした。全体に見て感じたことは

@ALTの先生をもっと上手に使われたらと思いました。

A教室内での先生の指示くらいはきちんとした英語で話されたら良いのではと思います。(簡単なクラスルームEnglishで良いので)

B全くCDなどの音源を使われませんでしたが、時には、リズムの良いものを使われた方が歌・チャンツ共定着すると考えます。

・英語活動は、子どもが学ぶというスタイルではなく、楽しむことからスタートしていかなければならないと思った。

5年を見せていただきましたが、担任の先生が(英語で)とても発信されてるので、いいなあ、と思いました。

・すばらしい授業ありがとうございました。

2年生の授業が難しかったのでは?

動物の絵が少し小さく見にくかったようで、もっとしぼって大きく、数を少なくした方が子どもに分かりやすかったのではと思いました。

ALTと担任の協力・役割分担がとても参考になりました。担任が簡単な英語でもっと使っていけるといいなあと思いました。たとえばほめ言葉。Good,Great,Good job,あとCome hereとか教えるのではなく、知らないうちに耳にしている授業をわたしもがんばりたいと思います。

3年生を見させていただきました。教材も工夫され、担任の先生の表現豊かなご指導に大変感動し、勉強になりました。

・大変よい授業を見せていただきました。低・中・高のそれぞれの発達段階に応じた活動とALTの適材適所()の配置―参考になりました。ありがとうございました。

5年生の授業ですが、楽しいチャンツから授業がはじまりましたね。一般に高学年になるとチャンツを歌わなくなる傾向が強くなりますが、子どもたちは大きな声で元気よくうたっていましたね。リピートさせるにはチャンツは有効ですね。しかも子どもの意識の中にリピートさせられている意識はありませんので。

 最後のプレゼンテーションですが、子どもたちはしっかり発語していました。ここで一つ質問があるのですが、「なぜ、同じグループ内で発表させたのですか?」

と言いますのは、同じグループなのでポスターを作っている時に互いにどんなポスターを作っているのか知っているので、あのクラスの子どもたちなら別のグループに友達に知らせることの方が、より必然性があると思えたからです。もしくは次の時間に行われる予定だったのでしょうか?

直山先生もおっしゃってた「many air」ですが、小学校の教員として専門的な知識を持っていないものが実際の授業の場面で子どもの文法的な間違いを即座に気づくのは難しいですね。担任の先生の対処としてはよかったのではないでしょうか。いずれにしてもいい授業でした。担任の先生ならびに学年の先生方ご苦労様でした。

広沢小学校の研究に関わる機会を与えていただいて、私自身も大変勉強になりました。ありがとうございました。

5年生の授業を見せていただきました。先生も子どももすごく生き生きと楽しそうにして、一週間前に理科の授業を参観させていただいた時よりも子どもたちの積極的な姿勢を感じました。(先生にはテンションの高さを感じました。力の入れ方が違う!)

 感じたことをいくつか書きます。

@の先生と担任のバランスがすごく良いです。今までは英語の時間は担任の先生が補助的な役をしておられた印象がありましたが、すごく堂々としていられ、二人でうまく指導していただいていました。

A「有栖川探検隊」を題材にしておられたことにびっくりしました。今まで総合学習として取り組まれていたことで、身近で広沢らしくて良い題材ではあるけれど、英語の題材としては扱いにくいのではと思いましたが、「where〜?」「why〜?」等のやりとりも組み入れられ、見事に良い授業にしてられました。

B授業終了後、子どもたちに普通の授業と英語とどちらが好き?と尋ねると「英語!」どうして「ノリがいいから!」チャンツの効果がここにも・・・と思いました。

@Aについては、シンポジュウムで直山先生も述べておられましたが、私のような何も知らない一保護者でも感じるくらい、今年は今までの先生達の努力の積み重ねが成果となって素晴らしい授業に現れていたのだと思います。

(2)   シンポジウム

・授業の流れを担任が作り、それをALTと協力して子どもたちに伝える必要がある。

・いろいろな立場から、お話をうかがうことができ、よかったです。

・それぞれの立場から3年間で築きあげてきたことを教えていただき大変参考になった。ありがとうございました。

・先生方の熱心なご様子に感動しました。

・わかりやすくて、とてもためになりました。ありがとうございました。

・いろいろな立場からの思い、意見をきける貴重な時間でした。ありがとうございました。

・小学校英語のめざすものについて、少し理解が深まりました。ありがとうございました。

・この形式が良かったと思います。

ALTの方が来てくださるだけで、英語力が上るかな?その時間は担任の先生はゆとりの時間?などという認識でいた私にとって、先生方の取り組みの真剣さと今までのご苦労のお話は熱いものを感じる位でした。他の学校の質問からも、広沢がどんなに一生懸命英語教育に取り組んでおられるか、又、その成果が実を結んだ素晴らしい授業をしていただいているか、ということがわかり、ほんとうに感謝しております。もっと多くの保護者が見させていただければいいのにと痛感しました。5年生の授業の一場面、生徒が「もっと花がいっぱいにしたい゛ってどういうの?」とヘルプが入りました。

 AltI want to see many flowers

 担任「difficult!」難しすぎる! My dream many flowersでは?」

 ALTGood!それで通じます!」

 この一場面に、ALTと担任の良い関係が、そして、「中学英語」とは違う、コミュニケーションと表現に重点を置いた小学校ならではの英語教育が、凝縮されていると思いました。素晴らしい研究発表会、ありがとうございました!

(3)   その他

・やはり、少なくとも担任の英語はもう少しの正確さを求めたい気がします。(児童に求める必要はないのは充分承知の上で申しています。)many animals やはり指導者には言って欲しい。A lot of clean airなど

・体育館の6年生の地名調べに「下馬野」のことがでていました。広沢の古老から、昔ここらへんで天皇に失礼やから馬をおりなければならなかったと聞いたことがあり、記事と違うなと思いました。一体どちらが正しいんだろう?(授業に関係なくてすみません)

・研究主任の先生がリーダーシップをとられ、互いに切磋琢磨された成果の一日であったのだと、よくわかりました。

・教材のストック、授業のアイディアなど、またよければ教えてください。うちで作ったのはとりあえずカラーのカードとアニマルのカードです。あとあれば便利!!とりあえずコレっていうようなものは?

・低・中・高の授業が見れてとても良かったです。

・どうしてALTの先生が複数配置されているのですか?

 又、どうしてALT3年連続同じ先生ということも他の学校では考えられないのですが、

 26時間ALTが授業をするのと、10時間では、やはり大きな差があると思います。

・今後もよろしくお願い致します。

・職員集団がとてもよいと思いました。こういう集団だから、研究が進められたのだと思います。良い職員集団、よい学級集団の大切さを感じました。ありがとうございました。

・本校は、本年度スタートの学校です。大変参考になるお話を聞くことができました。ありがとうございました。

・学校全体の取り組みとして、廊下のポスターや教室の英語のポスターなどみんなで、英語を学ぼうとする姿が見られて良いと思います。本日はありがとうございました。

・「Hello Song」「Good-bye Song」を使いたいのですが、どうすれば良いですか。

 

お忙しい中、アンケート調査にご協力くださった皆様方に心より感謝申し上げます。皆様からいただいた貴重なご意見や感想を今後の研究活動に生かしていきたいと存じます。

来年度もまた、英語活動の自主研究発表会をおこなう予定です。また、ご案内しますので、ぜひ多数お誘いあわせの上、ご出席ください。

 

See you next year!