夏季の健康教育研修会



 

素足・はだし教育と子どもの健康


学校運営協議会健康教育部会

本校が「素足・はだし教育」に取組みはじめて、今年で23年目になります。

新学期が始まったばかりの49日に、ABCテレビ放送偏平足や外反母趾など現代人の足の問題を取り上げ、その中で、素足はだし教育に取組むユニークな学校として広沢小学校の児童の様子が全国に紹介されていました。

 本校では、交通事故や不審者の問題など最近の社会情勢を考慮して、登下校では運動靴の着用をすすめていますが、学校の中ではほとんど素足あるいははだしの状態ですごしています。このような「素足はだし教育」に取組むようになって、本校の児童には偏平足がほとんどみられなくなりました。

 土踏まずを形成できるように、素足はだしで学校生活を送るだけでなく、毎朝つま先立ちをしたり、足指ジャンケンや豆つかみ競争などのゲームを取り入れたりしながら取組んでいます。

 しかし、最近の児童の様子をみていると、姿勢が良くなったとか、風邪を引きにくくなったとか、運動能力が向上したとか、必ずしも健康面で著しく効果がみられるというわけではないようです。逆に、授業中の姿勢が悪い児童がかなりみられたり、運動能力や体力の二極化が見られたりするなど健康上の課題が多く見られるようになってきています。

さらに、素足はだしの気持ちよさや快適さの部分だけが優先され、鼻緒を指でしっかりとはさんで履くなど、土踏まずを形勢するために必要な履き方がしっかりとできていないなどの問題も起きてきています。   

こうしたことについては、学校保健委員会とかねて開催された「第1回健康教育部会」でも指摘されているところです。

 こうした現状をふまえて、学校運営協議会の健康教育部会では、821日に教職員と保護者や地域の皆さんと合同の夏季健康教育研修会を広沢小学校のトレーニングルームで開催しました。講師には、「素足はだし教育」について長年研究されています京都教育大学教授の井上文夫先生をお招きしました。

 お医者さまでもある井上先生は、さまざまな医学的なデータをもとに、素足はだしにより、土踏まずが形成され、偏平足や外反母趾などを防ぐとともに、足の3つのアーチがバネのような働きをし、激しい運動をしても筋肉や骨を痛めにくい構造になっていることや歩行時の姿勢のバランスにも役立っているなど具体的な効果について説明してくださいました。

 とりわけ、驚かされたのは、素足はだしと睡眠や食生活など基本的な生活習慣との因果関係をうかがわせるデータがあったことです。

 健康については、関連する要素があまりにも多く、素足はだし教育と健康や運動能力などとの因果関係を明確に証明するデータはなかなかないことも正直にお話くださいました。

また、最後に医師の立場から小学生の時期から野球やサッカーやマラソンなどで激しい運動をすることについては、肩や膝や足首などに特定の部位に障害が起きやすく、かなり否定的なご意見を述べられていました。

素足はだし教育は、健康を支える上でたいへん必要な取組ではあるものの、素足はだし教育をしていれば無条件に健康が保障されるというものでもないようです。基本的な生活習慣の育成や姿勢や体力などにおける本校の児童の実態を十分踏まえて、子どもたちの健康自立に向けて、さらにどのような取り組みをすすめていくことが必要か、みんなで真剣に考えていかなければならないと思います。

講演の後で、会場からも「土踏まずを形成するために、正しい草履の履き方は?」、「自分も年をとり、ちょっとしたことでつまずいたりするなど、バランスが悪くなってきている。土踏まずが歩行などで姿勢のバランスを保つ上でたいへん重要な働きをしているのをはじめて知った。」などいろいろと井上先生に質問がでるなど、参加者の健康についての関心の高さが感じられました。

ご講演いただきました井上先生、大変お忙しい中で、子どもの健康を考える上で大変示唆に富むお話をいただき、誠にありがとうございました。

ご参加いただきました保護者や地域の皆様にも、たいへん暑い中、長時間にわたりご静聴いただき、御礼を申し上げます。