○京都市いじめの防止等に関する条例

平成26年10月10日

条例第16号

京都市いじめの防止等に関する条例を公布する。

京都市いじめの防止等に関する条例

目次

前文

第1章 総則(第1条~第8条)

第2章 いじめの防止等のための取組を推進するための基本的施策(第9条~第11条)

第3章 子どもの豊かな心と規範意識を育む関係者会議(第12条・第13条)

第4章 重大事態への対処(第14条・第15条)

第5章 いじめ問題調査委員会(第16条~第21条)

第6章 いじめ問題再調査委員会(第22条・第23条)

第7章 雑則(第24条)

附則

いじめは、いじめを受けた子どもの教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。

これまでも、本市は、市民との連携協力の下、子ども自らが主体的にいじめについて考え、行動することができるようにするため、他人を思いやり、正義を重んじ、人権を尊重する精神を養う教育活動を行ってきた。しかしながら、いじめは、いつでもいかなる子どもにも発生し得るものであるため、将来にわたっていじめの防止等のための取組を確実に推進していく必要がある。

このような認識の下に、本市は、子どもを共に育む京都市民憲章(平成19年2月5日京都市告示第355号)にのっとり、いじめの防止等のための取組を推進することにより、いじめを許さない心を育むとともに、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境を実現することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、いじめの未然防止及び早期発見、いじめに対する迅速かつ適切な対応並びにいじめの再発の防止(以下「いじめの防止等」という。)のための取組の推進に関し基本となる事項を定めることにより、いじめ防止対策推進法(以下「法」という。)と相まって、いじめの防止等のための取組を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「いじめ」とは、子どもに対して、当該子どもが在学する学校(法第2条第2項に規定する学校並びに小学校、中学校及び高等学校に相当する各種学校をいう。以下同じ。)に在学している等、当該子どもと一定の人的関係にある他の子どもが行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった子どもが心身の苦痛を感じているもの(当該子どもが心身の苦痛を感じていなくても、他の子どもであれば心身の苦痛を感じる蓋然性が高いものを含む。)をいう。

(基本理念)

第3条 いじめの防止等のための取組の推進は、法第3条に定めるもののほか、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

(1) 子どもの規範意識が養われるとともに、子どもがいじめの防止等のための取組の当事者としての自覚を持ち、いじめの防止等のために主体的かつ積極的に行動することができるように育まれること。

(2) いじめの問題の解決に当たっては、いじめを受けた子どもの心情を尊重した対応及びいじめを行った子どもがいじめを行うこととなった背景を踏まえた対応が迅速かつ的確に行われること。

(3) いじめを受けた子どもの保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。以下同じ。)のほか、いじめを行った子どもの保護者に対しても必要な支援が行われること。

(いじめの禁止)

第4条 子どもは、いかなる場合においても、いじめを行ってはならない。

(本市の責務)

第5条 本市は、子どもを共に育む京都市民憲章(以下「憲章」という。)及び基本理念にのっとり、子どもの発達段階及び特性に応じたいじめの防止等のための取組を推進しなければならない。

(保護者の責務)

第6条 保護者は、法第9条第1項から第3項までに規定する責務を有するほか、憲章及び基本理念にのっとり、その監護する子どもがいじめを行うことのないよう、その子どもを健やかかつ心豊かに育むよう努めなければならない。

(市民及び事業者の役割)

第7条 市民及び事業者は、次に掲げる役割を果たすものとする。

(1) 地域社会において子どもを健やかかつ心豊かに育むための環境を整備すること。

(2) いじめの問題に対する関心と理解を深めるとともに、本市又は他の市民若しくは事業者が行ういじめの防止等のための取組に積極的に協力すること。

(子どもの努力)

第8条 子どもは、いじめの防止等のための取組の当事者として、その家族、学校の教職員その他の関係者とともに、又は子ども同士が協力してその取組を実践するよう努めるものとする。

2 子どもは、いじめが行われていることを認識したとき、又はいじめの相談を受けたときは、その家族、学校の教職員その他の関係者に相談するよう努めるものとする。

第2章 いじめの防止等のための取組を推進するための基本的施策

(いじめの防止等取組指針)

第9条 本市は、法第12条の規定に基づき、いじめの防止等のための取組に関する指針(以下「いじめの防止等取組指針」という。)を定めるものとする。

2 いじめの防止等取組指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) いじめの防止等のための具体的な取組に関する事項

(2) 法第28条第1項に規定する重大事態(市立学校(本市が設置する学校をいう。以下同じ。)に在学する子どもに係るものに限る。以下「重大事態」という。)が発生した際の対処に関する具体的な事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、いじめの防止等のための取組に関し必要な事項

3 本市は、定期的にいじめの防止等取組指針の見直しを行い、必要な変更を加えるものとする。

4 本市は、いじめの防止等取組指針を定め、又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。

(学校いじめの防止等基本方針)

第10条 市立学校は、法第13条の規定に基づき、当該市立学校の実情に応じ、当該市立学校に係るいじめの防止等のための取組に関する基本的な方針(以下「学校いじめの防止等基本方針」という。)を定めなければならない。

2 学校いじめの防止等基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 市立学校に係るいじめの防止等のための具体的な取組に関する事項

(2) 法第22条の規定に基づき置かれるいじめの防止等のための取組のための組織に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、市立学校に係るいじめの防止等のための取組に関し必要な事項

3 市立学校は、定期的に学校いじめの防止等基本方針の見直しを行い、必要な変更を加えなければならない。この場合において、当該市立学校に係る学校評価(学校教育法第42条(同法第49条、第62条及び第82条において準用する場合を含む。)に規定する評価をいう。)の結果を考慮するとともに、学校運営協議会(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5第1項に規定する学校運営協議会をいう。)の会議の開催その他の適切な方法により、保護者、地域住民その他の関係者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

4 市立学校は、学校いじめの防止等基本方針を定め、又は変更したときは、速やかにこれを公表し、保護者、地域住民その他の関係者の理解と協力を得るよう努めなければならない。

(本市の施策)

第11条 本市は、法第3章及び第4章に定めるもののほか、次に掲げるいじめの防止等のための施策を推進しなければならない。

(1) 子どもがいじめの防止等のための方法について考え、実践する取組の実施

(2) 保護者が行う家庭教育の支援

(3) 子ども、その家族、学校の教職員その他の関係者及び地域住民がいじめに関し、安心して相談を行うことができる体制の整備

(4) 本市の職員の資質の向上を図るための研修の実施

(5) 心理、福祉等に関する専門的知識を有する職員の市立学校への配置

(6) 国、京都府その他の関係者及び市立学校以外の学校その他の本市以外の者が設置する育ち学ぶ施設(子どもを共に育む京都市民憲章の実践の推進に関する条例第2条第3号に規定する育ち学ぶ施設をいう。以下同じ。)相互間の連携の強化その他必要な体制の整備

(7) 育ち学ぶ施設におけるいじめの防止等のための取組に関する情報の共有の促進

(8) その他いじめの防止等のために必要な施策

第3章 子どもの豊かな心と規範意識を育む関係者会議

(関係者会議)

第12条 教育委員会は、いじめの防止等のための取組及び子どもの豊かな心と規範意識を育むための取組について、法第14条第1項に規定する機関及び団体との連携を図るため、同項に規定するいじめ問題対策連絡協議会として、京都市子どもの豊かな心と規範意識を育む関係者会議を開催するものとする。

(秘密を守る義務)

第13条 前条の会議の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

第4章 重大事態への対処

第14条 法第28条第1項の規定により学校の設置者が行う組織の設置及び調査は、教育委員会が行うものとする。

2 教育委員会又は市立学校は、法第28条第1項の規定による調査の結果を遅滞なく市長に報告しなければならない。

第15条 市長は、法第30条第2項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた子ども及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係その他の必要な情報を適切に提供するものとする。

第5章 いじめ問題調査委員会

(調査委員会)

第16条 重大事態に関する事項について、教育委員会の諮問に応じ、調査し、及び審議するため、京都市いじめ問題調査委員会(以下「調査委員会」という。)を置く。

(調査委員会の組織)

第17条 調査委員会は、委員20人以内をもって組織する。

2 委員は、学識経験のある者その他教育委員会が適当と認める者のうちから、教育委員会が委嘱する。

(委員の任期)

第18条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(特別委員及び専門委員)

第19条 調査委員会に、特別の事項を調査し、又は審議させるため必要があるときは特別委員を、専門の事項を調査させるため必要があるときは専門委員を置くことができる。

2 特別委員及び専門委員は、学識経験のある者その他教育委員会が適当と認める者のうちから、教育委員会が委嘱する。

3 特別委員は特別の事項に関する調査又は審議が終了したときに、専門委員は専門の事項に関する調査が終了したときに、それぞれ解嘱されるものとする。

(部会)

第20条 調査委員会は、特定又は専門の事項について調査し、又は審議させるため必要があると認めるときは、部会を置くことができる。

(秘密を守る義務)

第21条 調査委員会の委員(特別委員及び専門委員を含む。)は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

第6章 いじめ問題再調査委員会

(再調査委員会)

第22条 市長は、法第30条第2項の規定による調査に関する事項について、市長の諮問に応じ、調査し、及び審議させるため、いじめ問題再調査委員会(以下「再調査委員会」という。)を置くことができる。

(準用)

第23条 第17条から第21条までの規定は、再調査委員会について準用する。この場合において、第17条の見出し及び同条第1項中「調査委員会」とあるのは「再調査委員会」と、同条第2項中「教育委員会」とあるのは「市長」と、第19条第1項中「調査委員会」とあるのは「再調査委員会」と、同条第2項中「教育委員会」とあるのは「市長」と、第20条及び第21条中「調査委員会」とあるのは「再調査委員会」と読み替えるものとする。

第7章 雑則

(委任)

第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長及び教育委員会が定める。

 抄

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

京都市いじめの防止等に関する条例

平成26年10月10日 条例第16号

(平成26年10月10日施行)