○京都市文化財保護条例

昭和56年10月29日

条例第20号

京都市文化財保護条例を公布する。

京都市文化財保護条例

目次

第1章 総則(第1条~第5条)

第2章 市指定有形文化財(第6条~第23条)

第3章 市指定無形文化財(第24条~第29条)

第4章 市指定有形民俗文化財及び市指定無形民俗文化財(第30条~第35条)

第5章 市指定史跡名勝天然記念物(第36条~第40条)

第6章 指定文化財以外の文化財の登録(第41条)

第7章 埋蔵文化財(第42条)

第8章 文化財環境保全地区(第43条~第46条)

第9章 市選定保存技術(第47条~第50条)

第10章 文化財保護審議会(第51条~第54条)

第11章 雑則(第55条)

第12章 罰則(第56条~第58条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(以下「法」という。)第182条第2項及び第3項の規定に基づき、本市の区域内に存する文化財で本市にとって重要なものについて、これを保存し、かつ、活用するために必要な措置を講じ、市民の文化及び地域の文化の向上及び発展に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(本市の責務)

第3条 本市は、文化財が本市の歴史、文化又は自然を理解し、地域の特性を考えるために欠くことのできないものであり、かつ、現在及び将来にわたり、市民の文化及び地域の文化の向上及び発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存及び活用が適切に行われるために必要な措置を講じなければならない。

(市民、所有者等の責務)

第4条 市民は、本市がこの条例の目的を達成するために講ずる措置に協力しなければならない。

2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な市民の財産であることを認識し、これを公共のために適切に保存するとともに、できる限りこれを公開する等その活用に努めなければならない。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第5条 この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 市指定有形文化財

(指定)

第6条 教育委員会は、本市の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたもの及び文化財の保護に関する京都府条例(以下「府条例」という。)の規定により京都府指定有形文化財に指定されたものを除く。)のうち、本市にとって重要なものを京都市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 教育委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者(以下この章において「所有者」という。)及び権原に基づく占有者に通知するものとする。

4 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

5 教育委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、所有者に対し、指定書を交付するものとする。

(解除)

第7条 教育委員会は、市指定有形文化財が市指定有形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 市指定有形文化財について法第27条第1項の規定による重要文化財の指定又は府条例の規定による京都府指定有形文化財の指定があったときは、当該市指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。

3 前条第3項及び第4項の規定は第1項の規定による指定の解除について、同条第3項の規定は前項の場合について準用する。

4 所有者は、前項において準用する前条第3項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該市指定有形文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第8条 所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、市指定有形文化財を管理しなければならない。

2 所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 所有者は、前項の規定により管理責任者を選任したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任し、又は変更したときも、同様とする。

4 第1項の規定は、管理責任者について準用する。

(所有者の変更等)

第9条 所有者の変更により新たに所有者となった者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 所有者又は管理責任者は、その氏名又は住所(法人にあっては、名称又は主たる事務所の所在地)を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(管理団体による管理)

第10条 教育委員会は、市指定有形文化財について、所有者がない場合又は判明しない場合は、適当な団体を指定して、当該市指定有形文化財を保存するために必要な管理を行わせることができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該市指定有形文化財の権原に基づく占有者及び指定をしようとする団体の同意を得なければならない。

3 教育委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を告示するとともに、前項に規定する占有者及び当該指定を受けた団体(以下この章において「管理団体」という。)に通知するものとする。

4 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

5 第8条第1項の規定は、管理団体について準用する。

6 管理団体が行う管理に要する費用は、この条例において別に定めるもののほか、当該管理団体の負担とする。

第11条 教育委員会は、前条第1項に規定する事情が変更した場合その他特別の理由があると認めるときは、当該管理団体の指定を解除することができる。

2 前条第3項及び第4項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

(滅失、き損等)

第12条 所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、そのもの。次条及び第16条第1項において同じ。)は、市指定有形文化財の全部若しくは一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗まれたときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第13条 所有者は、市指定有形文化財が所在する場所を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他別に定める場合は、この限りでない。

(管理団体による修理)

第14条 管理団体は、市指定有形文化財を修理しようとするときは、あらかじめ、当該市指定有形文化財の権原に基づく占有者の意見を聞かなければならない。

(管理又は修理の補助)

第15条 市長は、市指定有形文化財の管理又は修理に要する費用について、所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の理由があると認めるときは、当該所有者又は管理団体に対し、予算の範囲内において、当該費用の一部を補助することができる。

2 前項の規定に基づく補助については、京都市補助金等の交付等に関する条例(第31条を除く。)の規定を適用する。

(管理又は修理に関する勧告)

第16条 教育委員会は、管理が適当でないため市指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗まれるおそれがあると認めるときは、所有者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

2 教育委員会は、市指定有形文化財がき損している場合において、これを保存するために必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定による勧告に基づき行う管理に関し必要な措置又は修理に要する費用については、予算の範囲内において、その全部又は一部を本市の負担とすることができる。

(有償譲渡の場合の納付金)

第17条 本市が修理又は管理に関し必要な措置(以下「修理等」という。)について、第15条第1項の規定により補助し、又は前条第3項の規定により費用を負担した市指定有形文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者(第2次以下の相続人、受遺者又は受贈者を含む。)は、当該補助又は費用負担に係る修理等が行われた後において、当該市指定有形文化財を有償で譲り渡したときは、当該補助金又は負担金の額の合計額から当該修理等が行われた後において当該市指定有形文化財の修理等のために自ら負担した額を控除して得た金額を本市に納付しなければならない。

2 前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を、補助又は費用負担に係る修理等が行われた市指定有形文化財又はその部分につき教育委員会が個別に定める耐用年数で除して得た額に、当該耐用年数から修理等が行われた後当該市指定有形文化財の譲渡までの年数を控除した残余の年数(1年未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た額に相当する金額とする。

3 市長は、補助又は費用負担に係る修理等が行われた後において、当該市指定有形文化財が本市に譲り渡された場合その他特別の理由があると認めるときは、第1項の規定により納付すべき金額の全部又は一部を免除することができる。

(現状変更等の制限)

第18条 市指定有形文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要に応急措置として行う場合その他別に定める場合は、この限りでない。

2 前項の許可には、文化財を保護するために必要な条件を付することができる。

3 教育委員会は、第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

4 本市は、第1項の許可を受けることができなかったことにより、又は第2項の許可の条件を付せられたことにより損失を受けた者に対し、その通常生ずべき損失を補償するものとする。

(修理の届出等)

第19条 所有者又は管理団体は、市指定有形文化財を修理しようとするときは、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、前条第1項に規定する許可を受けなければならない場合その他別に定める場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、市指定有形文化財を保護するために必要があると認めるときは、前項の規定による届出に係る修理に関し技術的な指導又は助言をすることができる。

(公開)

第20条 教育委員会は、所有者又は管理団体に対し、6箇月以内の期間を限って、教育委員会が行う公開の用に供するため当該市指定有形文化財を出品することを勧告することができる。

2 教育委員会は、所有者又は管理団体に対し、3箇月以内の期間を限って、当該市指定有形文化財を公開することを勧告することができる。

3 第1項の規定による出品のために要する費用については、本市の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用については、予算の範囲内において、その全部又は一部を本市の負担とすることができる。

4 本市は、第1項又は第2項の規定により出品し、又は公開したことにより市指定有形文化財が滅失し、又はき損したときは、当該所有者に対し、その通常生ずべき損失を補償するものとする。ただし、所有者、管理責任者又は管理団体の責めに帰すべき理由による場合は、この限りでない。

第21条 教育委員会は、前条第2項の規定による公開及び市指定有形文化財が所在する場所の変更を伴う公開並びに当該公開に係る市指定有形文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。

(報告の徴収)

第22条 教育委員会は、市指定有形文化財を保護するために必要があると認めるときは、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、当該市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況について報告を求めることができる。

(権利義務の承継)

第23条 所有者の変更により新たに所有者となった者は、この条例の規定により教育委員会が行った勧告、指示その他の処分による当該所有者でなくなった者の権利及び義務を承継する。

2 前項の場合においては、所有者でなくなった者は、当該市指定有形文化財の引渡しと同時に指定書を新たに所有者となった者に引き渡さなければならない。

第3章 市指定無形文化財

(指定等)

第24条 教育委員会は、本市の区域内に存する無形文化財(法第71条第1項の規定により重要無形文化財に指定されたもの及び府条例の規定により京都府指定無形文化財に指定されたものを除く。)のうち、本市にとって重要なものを京都市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めがあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 教育委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者(以下この章において「保持者」という。)又はその保持団体(以下この章において「保持団体」という。)に通知するものとする。

4 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後において、保持者又は保持団体として認定することが適当であると認めるものがあるときは、これを保持者又は保持団体として認定することができる。

5 第3項の規定は、前項の規定による認定について準用する。

(解除)

第25条 教育委員会は、市指定無形文化財が市指定無形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 教育委員会は、保持者が心身の障害のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体が保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があると認めるときは、その認定を解除することができる。

3 市指定無形文化財について法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定又は府条例の規定による京都府指定無形文化財の指定があったときは、当該市指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。

4 前条第3項の規定は、第1項の規定による指定の解除、第2項の規定による認定の解除及び前項の場合について準用する。

5 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、市指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合においては、教育委員会は、その旨を告示するものとする。

(保持者の氏名変更等)

第26条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他別に定める事情があるときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 前項の規定は、保持団体が名称、主たる事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散した場合について準用する。

(保存)

第27条 教育委員会は、市指定無形文化財を保存するために必要があると認めるときは、市指定無形文化財について自らによる記録の作成、伝承者の養成その他適当な措置を講ずることができる。

2 市長は、保持者、保持団体その他適当と認めるものに対し、予算の範囲内において、市指定無形文化財の保存に要する費用の一部を補助することができる。

3 前項の規定に基づく補助については、京都市補助金等の交付等に関する条例の規定を適用する。

(公開)

第28条 教育委員会は、保持者又は保持団体に対し当該市指定無形文化財を、市指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録を公開することを勧告することができる。

2 第20条第3項及び第21条の規定は前項の規定による公開について、第20条第4項の規定は当該公開に係る市指定無形文化財の記録について準用する。

(保存に関する助言又は勧告)

第29条 教育委員会は、保持者、保持団体その他適当と認めるものに対し、市指定無形文化財を保存するために必要な助言又は勧告をすることができる。

第4章 市指定有形民俗文化財及び市指定無形民俗文化財

(指定)

第30条 教育委員会は、本市の区域内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要有形民俗文化財に指定されたもの及び府条例の指定により京都府指定有形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち本市にとって重要なものを京都市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(同項の規定により重要無形民俗文化財に指定されたもの及び府条例の規定により京都府指定無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち本市にとって重要なものを京都市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。

2 第6条第2項から第5項までの規定は、前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定について準用する。

3 教育委員会は、第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定をしたときは、その旨を告示するものとする。

(解除)

第31条 教育委員会は、市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財が市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要有形民俗文化財若しくは重要無形民俗文化財の指定又は府条例の規定による京都府指定有形民俗文化財若しくは京都府指定無形民俗文化財の指定があったときは、当該市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財の指定は、解除されたものとする。

3 第6条第3項及び第4項並びに第7条第4項の規定は第1項の規定による市指定有形民俗文化財の指定の解除について、第6条第3項及び第7条第4項の規定は前項の場合における市指定有形民俗文化財について、前条第3項の規定は第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定の解除及び前項の場合における市指定無形民俗文化財について準用する。

(市指定有形民俗文化財の保護等)

第32条 市指定有形民俗文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他別に定める場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、市指定有形民俗文化財を保護するために必要があると認めるときは、前項の規定による届出に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

第33条 第8条から第17条まで及び第20条から第23条までの規定は、市指定有形民俗文化財について準用する。

(市指定無形民俗文化財の保存)

第34条 第27条及び第29条の規定は、市指定無形民俗文化財について準用する。

(市指定無形民俗文化財の記録の公開)

第35条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録を公開することを勧告することができる。

2 第20条第3項及び第4項並びに第21条の規定は、前項の規定による公開について準用する。

第5章 市指定史跡名勝天然記念物

(指定)

第36条 教育委員会は、本市の区域内に存する記念物(法第109条第1項の規定により史跡、名勝又は天然記念物に指定されたもの及び府条例の指定により京都府指定史跡、京都府指定名勝又は京都府指定天然記念物に指定されたものを除く。)のうち、本市にとって重要なものを京都市指定史跡、京都市指定名勝又は京都市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」という。)に指定することができる。

2 第6条第2項から第4項までの規定は、前項の規定による指定について準用する。

(解除)

第37条 教育委員会は、市指定史跡名勝天然記念物が市指定史跡名勝天然記念物としての価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 市指定史跡名勝天然記念物について法第109条第1項の指定による史跡、名勝若しくは天然記念物の指定又は府条例の規定による京都府指定史跡、京都府指定名勝若しくは京都府指定天然記念物の指定があったときは、市指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。

3 第6条第3項及び第4項の規定は第1項の規定による指定の解除について、同条第3項の規定は前項の場合について準用する。

(保護等)

第38条 第8条から第12条まで、第14条から第22条まで(第20条第1項を除く。)及び第23条第1項の規定は、市指定史跡名勝天然記念物について準用する。

(標識等の設置)

第39条 市指定史跡名勝天然記念物の所有者又は管理団体(前条において準用する第10条第1項の規定による指定を受けた団体をいう。次条において同じ。)は、別に定めるところにより、市指定史跡名勝天然記念物を管理するために必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

(土地の所在等の異動の届出)

第40条 市指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地の所有者(第38条において準用する第8条第2項の規定により選任した管理責任者又は管理団体がある場合は、そのもの)は、当該土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、町の名称の変更があった場合その他別に定める場合は、この限りでない。

第6章 指定文化財以外の文化財の登録

(登録)

第41条 教育委員会は、本市の区域内に存する文化財のうち、法の規定により指定され、又は登録されたもの及びこの条例の規定により指定されたもの以外のものについて、登録し、その保存及び活用が適切に行われるために必要な措置を講じることができる。

2 前項の規定による登録並びに登録した文化財の保存及び活用に関し必要な事項は、別に定める。

第7章 埋蔵文化財

(埋蔵文化財に関する責務)

第42条 教育委員会は、法第93条第1項に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地で本市の区域内に存するものについて、資料を整備するとともに、その周知の徹底を図るよう努めなければならない。

2 何人も、法第92条第1項に規定する埋蔵文化財を発見したときは、当該埋蔵文化財の損傷及び散逸の防止に努めるとともに、埋蔵文化財の発掘調査に協力するよう努めなければならない。

第8章 文化財環境保全地区

(指定)

第43条 教育委員会は、この条例の規定により指定し、又は登録した有形文化財又は記念物(以下「市指定有形文化財等」という。)を保存するため、その周辺の環境を保全する必要があると認める土地の区域を文化財環境保全地区として指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該区域内の土地及び建築物その他の工作物の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 第6条第3項及び第4項の規定は、第1項の規定による指定について準用する。

(解除)

第44条 教育委員会は、文化財環境保全地区について、その環境を保全する必要がなくなった場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 第6条第3項及び第4項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

(行為の届出)

第45条 文化財環境保全地区内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他別に定める場合は、この限りでない。

(1) 建築物その他の工作物の新築、増築、改築又は移転

(2) 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更

(3) 木竹の伐採又は土石類の採取

(4) 前各号に掲げるもののほか、教育委員会が定める行為

2 教育委員会は、前項の規定による届出があった場合において、市指定有形文化財等を保存するために必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該届出に係る行為に関し、必要な措置を講ずべきことを指示し、又は指導若しくは助言をすることができる。

(国等が行う行為の特例)

第46条 国、地方公共団体又は法第94条第1項に規定する法人(以下「国等」という。)が行う行為については、前条第1項の規定は、適用しない。この場合において、当該国等は、同項各号に掲げる行為をしようとするときは、あらかじめ、その旨を教育委員会に通知しなければならない。

第9章 市選定保存技術

(選定等)

第47条 教育委員会は、本市の区域内に存する伝統的な技術又は技能で文化財を保存するために必要なもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術に選定されたもの及び府条例の規定により京都府選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち、本市として保存するための措置を講じる必要があるものを京都市選定保存技術(以下「市選定保存技術」という。)として選定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による選定をするに当たっては、当該市選定保存技術の保持者又は保持団体(市選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 一の市選定保存技術についての前項の規定による認定は、保持者と保存団体とを併せて行うことができる。

4 第24条第3項から第5項までの規定は、第1項の規定による選定及び第2項の規定による認定について準用する。

(解除)

第48条 教育委員会は、市選定保存技術について保存するための措置を講じる必要がなくなった場合その他特別の理由があると認めるときは、その選定を解除することができる。

2 教育委員会は、市選定保存技術の保持者(以下この章において「保持者」という。)が心身の障害のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、市選定保存技術の保存団体(以下この章において「保存団体」という。)が保存団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があると認めるときは、その認定を解除することができる。

3 市選定保存技術について法第147条第1項の規定による選定保存技術の選定又は府条例の規定による京都府選定保存技術の選定があったときは、当該市選定保存技術の選定は、解除されたものとする。

4 第24条第3項の規定は、第1項の規定による選定の解除、第2項の規定による認定の解除及び前項の場合について準用する。

5 前条第2項の規定による認定が保持者のみについて行われた場合にあってはそのすべてが死亡したとき、同項の規定による認定が保存団体のみについて行われた場合にあってはそのすべてが解散したとき、同項の規定による認定が保持者と保存団体とを併せて行われた場合にあっては保持者のすべてが死亡し、かつ、保存団体のすべてが解散したときは、市選定保存技術の選定は、解除されたものとする。この場合においては、教育委員会は、その旨を告示するものとする。

(保存等)

第49条 第26条第1項の規定は保持者について、同条第2項の規定は保存団体について、第27条の規定は市選定保存技術について準用する。

(保存に関する指導又は助言)

第50条 教育委員会は、保持者、保存団体その他適当と認めるものに対し、市選定保存技術を保存するために必要な指導又は助言をすることができる。

第10章 文化財保護審議会

(文化財保護審議会)

第51条 本市における文化財の保存及び活用に関する重要事項について、教育委員会の諮問に応じ、調査し、及び審議するとともに、当該事項について教育委員会に対し、意見を述べるため、京都市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(審議会の組織)

第52条 審議会は、委員20人以内をもって組織する。

2 委員は、学識経験のある者その他教育委員会が適当と認める者のうちから、教育委員会が委嘱し、又は任命する。

(委員の任期)

第53条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(諮問)

第54条 教育委員会は、次の各号に掲げる事項について、あらかじめ、審議会に諮問するものとする。

(2) 第7条第1項第25条第1項第31条第1項第37条第1項又は第44条第1項の規定による指定の解除

(3) 第24条第2項若しくは第4項(第47条第4項において準用する場合を含む。)又は第47条第2項の規定による認定

(4) 第25条第2項又は第48条第2項の規定による認定の解除

(5) 第47条第1項の規定による選定

(6) 第48条第1項の規定による選定の解除

第11章 雑則

(委任)

第55条 この条例において別に定めることとされている事項及びこの条例の施行に関し必要な事項は、市長及び教育委員会が定める。

第12章 罰則

第56条 次の各号の一に該当する者は、50,000円以下の罰金又は科料に処する。

(1) 市指定有形文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者

(2) 市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らせた者

第57条 第18条(第38条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、教育委員会の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、市指定有形文化財若しくは市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、30,000円以下の罰金又は科料に処する。

第58条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産の管理に関し、前2条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、昭和57年4月1日から施行する。ただし、第10章及び第55条の規定は、公布の日から施行する。

(京北町の区域の編入に伴う経過措置)

2 京北町の区域の編入の日(以下「編入日」という。)前に旧京北町文化財保護に関する条例(以下「旧町条例」という。)第3条第1項の規定により指定された文化財は、第6条第1項第24条第1項第30条第1項又は第36条第1項の規定により指定された文化財とみなす。

3 前項に規定するもののほか、旧町条例の規定によってした処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によってしたものとみなす。

4 編入日前に旧町条例第7条の規定により交付された補助金については、編入日以後も、旧町条例第8条の規定の例により、その全部又は一部の返還を命じることができる。この場合において、同条各号列記以外の部分中「町」とあるのは「市長」と、同条第1号中「条例」とあるのは「旧町条例」と、「教育委員会規則」とあるのは「旧京北町文化財保護に関する規則」とする。

(平成17年3月25日条例第32号)

(施行期日)

1 この条例は、京北町の区域の編入の日(平成17年4月1日)から施行する。

(平成17年3月25日条例第80号)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

(平成21年12月22日条例第32号)

(施行期日)

1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。

(平成25年11月15日条例第52号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(令和4年3月30日条例第60号)

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

京都市文化財保護条例

昭和56年10月29日 条例第20号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
参  考
沿革情報
昭和56年10月29日 条例第20号
平成17年3月25日 条例第32号
平成17年3月25日 条例第80号
平成21年12月22日 条例第32号
平成25年11月15日 条例第52号
令和4年3月30日 条例第60号